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A Field Trip to Republic of Seychelles, Indian Ocean (1) (2) (3) (4) ◆メディア及び電力事情 電波メディアは、国営テレビ局が一局、ラジオ局が一局、英国BBCの中継局が一局だけで、それも一日6時間程度の放送である。 セーシェルには、その後、BBC以外にFM局、AM局など3局のラジオ局が設置されていることが分かった。 周波数 ラジオ局の名称 場所 ジャンル 92.6 FM Paradise FM Victoria 多様性 102.8 FM RFI 1 Afrique Victoria フランス語 106.2 FM BBC World Service Victoria Victoria 情報 1368 AM SBC Radio Victoria ひとびとは、いわゆるレンタルビデオで映画などの娯楽を楽しんでいる。旅行中、一度もテレビは見なかったが、日本のテレビに毒されているひとびとも、これほど自然が豊かで美しい土地にくれば、ほとんどテレビなどいらなくなるのではないか。 なお、1996年以降、セーシェルにもインターネットが導入され、約2000カ所、そのうち60%が家庭、40%が行政、ビジネスなどで利用されているという。当然、私たちが出かけたときはインターネットはなかった。 家庭やオフィスに供給されている電気は240Vの交流である。プラグは成田などで売っている欧州/アフリカ系のものが使える。 当時の電力事情はよくなかった。週に数回は停電するという。 それも予告なく停電するから、日本的に考えると一大事だが、現地では年中行事となっており、それほどひとびとは驚かない。 停電は、朝から夕方の間に3〜4時間単位で起こる。夜はめったの起こらないと言う。 停電の原因は、オフィスやホテルを中心としたクーラー利用によるピークロードの発生、フランスから導入している火力発電の故障、椰子の木が倒れ電柱がショートしたなどさまざまだ。 滞在した場所は、マヘ島(本島)北端のマカビー地区のゲストハウス(民宿)で南に100mほどの山を背にしていたが、持参した送受信機で日本などと交信している最中でも突然、停電は起きていた! ◆セーシェルから世界に地球環境保全を無線で呼びかける! このインド洋に浮かぶセーシェルにでかけた主な目的は、国際的な趣味であるアマチュア無線により、この島に東京から様々な機材を持参し、それを使ってセーシェルから世界中のアマチュア無線家に、地球環境保全の大切さを電波で発信することにあった。 下の写真は、筆者(コールサインS79IDY)と交信した世界中のアマチュア無線家に送くった交信証(QSLカード)である。Save the Global Environment!と書き送った! ちなみに筆者の日本におけるコールサインはJA1IDYである。東京からセーシェルまで同行してくれた草野利一さんのコールサインはJA1ELYである。 私と交信した世界中のアマチュア無線家、数1000局に送った交信証 Save the Global Environment!と書き送った! 私たち以外にもセーシェルにでかけて世界中のアマチュア無線家と交信しているアマチュア無線家がいる。下の交信証は、ドイツのシュミットさんのもの。ドイツでのコールサインはDL3NEOである。 下はその昔(セーシェル共和国の独立前)、セーシェル諸島のアルダブラ島やデスロチェス島にアマチュア無線家が遠征したときの交信証である。アマチュア無線家の世界では、この遠征をDX-Peditionと言っている。これらの島々は、生物多様性の観点からも生物学者、生態学者らにとって有名な島である。 コールサインにVQ9とあるのは、英領のインド洋の場合VQ9が用いられていた。現在でも英領のチャゴス島はVQ9が用いられている。 一方、下の写真の左側はセーシェル在住の数少ないアマチュア無線家のキース氏である。もともとキース氏はイギリス人で、コールサインはS79KMB。私たちが泊まっていたホテルに訪ねてきてくれた。 キース氏(左)と筆者。ゲストハウス(コーラル・スタンド・ホテル)にて 出典:月刊ファイブナイン誌、1992年12月号 下はセーシェルでのアマチュア無線局を設置したゲストハウス。ブーゲンビリアそれに複数の八木アンテナを表紙にした月刊ファイブナイン誌、1992年12月号。草野利一氏は、この雑誌の編集人である。海の向こうはインド洋を隔てて日本である。 月刊ファイブナイン誌、1992年12月号の表紙 セーシェルでは、1.9MHz、3.5MHz、3.8MHz、7MHz、10.1MHz、14MHz、18MHz、21MHz、24MHz、28MHz、50MHzの各周波数帯を使い日本と交信した。下は1.9MHz、3.5MHz、3.8MHz、7MHz用に使ったアンテナ群である。日本から持って行った銅線と現地で調達した椰子の木などで作った。→JAは、日本側の方角の意味。 1.9MHz、3.5MHz、3.8MHz、7MHz用に使ったアンテナ群 ◆インド洋の島(国)について 現時点でのインド洋にある島々の名称とアマチュア無線のコールサイン(プリフィックス)の割り当ては以下の通りである。表では独立している場合、どこの国から独立したかについても表記した。世界全体について
◆おわりに セーシェル共和国は日本から距離的にも文化的にも、さらにライフスタイルからも、あまりにも遠い国というのが率直な印象である。 しかし、逆説すると、現在の日本人にもっとも足りない部分をすべて持ち合わせている国であるとも言える。 質素で素朴、シンプルで自然と共生したライフスライル、定常的で循環的な物や経済の流れ、そして何よりもこの地に住んでいる人々は心が豊かである。 よく考えれば、これからの地球環境時代にあって、セーシェル共和国は最良の国家選択をしているとも言える。また、今や死語とさえなっている社会主義がこの国ではそれなりに機能しているのではないかと思えた。 セーシェルの人々(魚取りが終わったところ) Source:English Wikipedia セーシェルの海辺にて 経済は市場化されており、土地の私的な所有も認められている。 しかし、重要な公共施設や教育・医療と言ったインフラストラクチャーは国家が提供しており、米国やソ連で見られる「物乞い」は滞在中にひとりも見ることがなかった。 むろん、市場化とは言っても、超小国のセーシェルでは、日本で言う入り会いもやい、中宿といった、本来の意味でのマーケットが生きている。 そこでは、貨幣と物の交流だけでない、さまざまな文化・生活の情報交流が日々なされている、という印象を強くもった。ちなみに、出国前に、オープンマーケットでカレーやサフランの粉をおみやげで買わせて頂いた。 一方、経済の市場化や土地の私的な所有も無制限というわけではなく、たとえば、土地の利用は環境保護や公的な利用との間で一定の制限がもうけられている。 しかも、これは国家権力による一方的な制限ではなく、住民相互、自然保護団体との話し合いが前提にあるという。 最後に、現地まで同行して頂いた草野利一さんそして現地での各種の案内その他ご協力頂いた山本浩二さんにこの場をかりて感謝の意を表したい。 セーシェルのコラムはこれで了 今後、他のインド洋の島嶼についても論考化する予定です(青山貞一) ちなみにインド洋のコモロイスラム共和国とマヨット島(仏領)の位置は以下の通りである。 Source:http://www.international.ucla.edu/africa/ Source:http://www.international.ucla.edu/africa/ |