メアリー・ステュアートの足跡を追って スコットランド2200km走破 スコットランドの偉人 Scottish great men 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 2018年12月10日公開 独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁 |
スコットランド総目次へ* 闘いと苦難の歴史 ウォレス・モニュメント ウィリアム・ウォレス スターリングブリッジ戦場 ロバーツ・ブルース バノックバーン戦場 スターリング大学 スコットランドの偉人 スコットランド人の独創性 ◆出典、翻訳等について 本稿では、現地調査時に入手した資料、撮影した写真以外に、概要、歴史などでは日本語、英語のWikipediaを、また写真についてはWikimedia Commonsを、さらに地図についてはグーグルマップ、ストリートビューを使用しています。その以外については逐次出典を付けています。さらに、Wikipedia の英文版など外国語版などについては、逐次池田、青山が日本語訳しています。 以下はウォレスタワーの中などに掲示されていたスコットランドの偉人です。 この中には、ウィリアム・ウォレス、ロバート・ザ・ブルース、メアリー・スチュアートなどに加え、近代以降の偉人として、 ジェームス・ワット、アレクサンダー・グラハム・ベル、 ジェームズ・クラーク・マクスウェル、アレクサンダー・フレミング、ジョゼフ・ブラック 、チャールズ・マッキントッシュ、チャールズ・レニー・マッキントッシュ、ジェームズ・スターリング、アダム・スミス、ジェームス・ヒューム、ジョージ・ブキャナンジョン・ミラー、ジョゼフ・ジョン・トムソン、ウィリアム・ラムゼー、チャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソン。アーサー・ヘンダーソン、ジェームズ・マーリーズ、アレクサンダー・ベイン、ジョン・ロジー・ベアードジョン・ボイド・ダンロップ、ジョン・ロウドン・マカダム、ジョゼフ・リスター、デビッド・リビングストン、ジェームス・クックの父親、ウォルター・スコット、トーマス・カーライル、キーツ、コナン・ドイル、ロバート・ルイス・スティーヴンソン、ショーン・コネリー、ユアン・マクレガー、ジェラルド・バトラーが含まれます。 以下では世界的著名人について概要を紹介します。 以下はロバート・ルイス・スティーヴンソン(Robert Louis Stevenson、1850年11月13日 - 1894年12月3日)です。彼は、イギリスのスコットランド、エディンバラ生まれの小説家、詩人、エッセイストです。代表作に冒険小説『宝島』『ジキル博士とハイド氏』などがあります。 ロバート・ルイス・スティーヴンソン Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link 日本との関係においても、幕末から明治維新に工部大学校(東京大学工学部の前身)の初代総長となったヘンリー・ダイヤー、同じく東大医学部の前身東京医学校の初代校長ウィリアム・ウィリス、そして軽井沢開発のアレクサンダー・クロフト・ショーなどもおります。 ウィリアム・ウィリス Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link アレクサンダー・クロフト・ショー Source:Wikimedia Commons By 守部喜雅 - 『聖書を読んだサムライたち』, Public Domain, Link スコットランド人口は現在でも約500万人だが、上記の希有な人材が活躍した頃はさらに少なかったことから察しても、スコットランドがいかに自然科学、社会科学、人文科学を問わず、また理論、実学を問わず、世界の知性の殿堂であったかが分かるというものです。 最後に2012年イギリスのロンドンでオリンピックが開催されましたが、イギリスがここまでに獲得したメダルの合計は48個、そのうち11個がスコットランド人選手によるものです。 イギリス代表のメダルの約4分の1に貢献しているスコットランドですが、繰り返すように人口は約500万人、イギリス全体の人口の約12分の1に過ぎません。実はオリンピックでのスコットランドの大活躍、実績に刺激され、「スコットランド独立論」が熱を帯びています。 ●スコットランドは人材の宝庫そして知性の殿堂である! スコットランドを知れば知るほど、スコットランドの魅力に惹かれる。その理由のひとつは独創性、独自性そして創造性が実に豊かなことです。しかも、「隗よりはじめよ」、「率先遂行」など、独創性があるだけでなく、考えた理論を現場で実行に移すことの重要性を深く認識しています。 スコットランド人には、それのためのミッション、パッション、アクションの3つが備わっているように感じます。ミッションは社会的使命、理念、知性、理性、パッションは情熱、感性そしてアクションは行動、実行です。 いくら高邁なミッションを持っていても、アクションがなければ社会は変わりません。そのアクションを促すのがパッション、すなわち感性であり情熱なのです。 ◆スコットランドをイングランドからの独立に導いた2人 ところで歴史的に見るとスコットランドは、外部から侵略してくるローマ帝国、バイキングそしてイングランドとの闘いに明け暮れてきた国です。 闘わなければ死か隷属という極限的で過酷な状況に絶えず置かれてきたのです。欧州ではどこの国にも似たような状況はあったでしょうが、とりわけスコットランドにとって、ブリテン島で国境線を接するイングランドとの闘いは、建国以来つづくものであったといえます。 外敵と闘い、独立するためには、まさに命をかけ闘わなければなりません。 その意味でスコットランドの歴史における最大のテーマ、ミッションは独立であった。生死をかけ民衆とともにイングランドと闘い歴史上はじめて独立を勝ち取ったのは、ウイリアム・ウォレス、ロバート・ザ・ブルースの二人です。13~14世紀のことです。 ウィリアム・ウォレス ウォレスは映画、Brave Heartの主人公としても世界的に有名 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 ウォレスの意志を継いで独立を果たしたロバート・ザ・ブルース 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 スターリングの国立ウォレス記念塔内にあるスコットランドの偉人像 Source: National Wallace Monument ◆女性蔑視、差別のなかで若くして断頭台に消えたメアリースチュアート 16世紀後半、若くしてスコットランド、イングランド、フランスの王位継承権を持ちながらイングランドのエリザベス女王によって断頭台に送られ露と消えた悲劇の女王、メアリー・スチュアートも、スコットランド独立に命を捧げた重要なひとりです。 ●青山貞一・池田こみち:メアリー女王の足跡を辿る旅:スコットランド・エジンバラ城 You Tube イングランドのエリザベスに19年間幽閉されたあげく断頭台で処刑されたスコットランドのメアリー・スチュアート女王 スコットランド国立博物館にて 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 メアリー・スチュアート女王のデスマスク NHKBS 悲劇の女王メアリースチュアート 身長が180cmあったというメアリー・スチュアートのレプリカの墓の前にて。本物は息子のジェームス6世によりロンドンのウエストミンスター寺院にエリザベス一世と並んで葬られています。スコットランド国立博物館にて撮影 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 息子のジェームス6世によりロンドンのウエストミンスター寺院 にエリザベス一世と並んで葬られているメアリースチュアート一世 NHKBS 悲劇の女王メアリースチュアート ◆世界の産業革命を先導したのはスコットランド人 人口わずか500万人のスコットランドは、多くの分野で信じられないほど多くの人材を輩出してきました。 それも数学、物理学、化学、細菌学など基礎的科学にはじまり、電気通信、医学など技術・工学の分野、さらに文学、思想、哲学、経済学に至るまで、あらゆる分野で希有で秀逸な能力をもつ人材を輩出してきた。これは世界に類例を見ないことです。 スコットランドは産業革命より前から世界の科学技術の中心地であり、それを支えた多くの科学者・技術者を輩出しています たとえば、蒸気機関を発明したジェームス・ワット、世界の発明家で電話を発明したアレクサンダー・グラハム・ベル、 物理学者でマクスウェルの方程式など電磁気学の基礎を作ったジェームズ・クラーク・マクスウェルもおります。 ジェームス・ワット Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link アレクサンダー・グラハム・ベル Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link ジェームズ・クラーク・マクスウェル Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link 世界史に残る細菌学者アレクサンダー・フレミング、物理学者であり化学者で熱素説のジョゼフ・ブラック 、化学者で発明家のチャールズ・マッキントッシュ、建築のチャールズ・レニー・マッキントッシュ、スターリングの公式で知られる数学者のジェームズ・スターリングなど。 アレクサンダー・フレミング Source:Wikimedia Commons スコットランドには多くのノーベル賞受賞がいます。 ジョゼフ・ジョン・トムソンは電子と同位体の発見者であり、質量分析器の発明者であり物理学賞を受賞しました。化学賞を受賞した化学者ウィリアム・ラムゼー。霧箱で知られる物理学賞を受賞したチャールズ・トムソン・リーズ・ウィルソンなど。 アーサー・ヘンダーソンは政治家、軍縮主義者で平和賞を受賞しています。ジェームズ・マーリーズは経済学賞を受賞するなど多くの研究者、経済学者、政治家らがノーベル賞を受賞しています。 ジョゼフ・ジョン・トムソン Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link ウィリアム・ラムゼー Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link チャールズ・トムソン・ウィルソン Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link アーサー・ヘンダーソン Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link 生活に近い分野では、ファックスを発明したアレクサンダー・ベイン、テレビを発明したジョン・ロジー・ベアード、空気入りタイヤを発明したジョン・ボイド・ダンロップ、道路のアスファルト舗装(マカダム舗装)を発明したジョン・ロウドン・マカダム、消毒による無菌手術を開発したジョゼフ・リスター、また19世紀、当時「暗黒大陸」と呼ばれていたアフリカ大陸を縦断したデビッド・リビングストンもスコットランド人です。 探検と言えば、オーストらリア、ニュージーランド、ハワイなどを発見したジェームス・クックの父親もスコットランド人です。 デビッド・リビングストン Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link ジェームス・クック Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link 以下の地図は、カナダ最東端にあるニューファンドランド島を表したものです。 上はジェームズ・クックの探検によるニューファンドランド島地図、1775年。下は現代の測量技術によって描かれたニューファンドランド島の地図です。 ジェームズ・クックの探検によるニューファンドランド島地図、1775年 現代の測量技術によって描かれたニューファンドランド島の地図 出典はともにSource:Wikimedia Commons CC BY-SA 3.0, Link ◆傑出した社会科学、人文科学者もスコットランド人 社会科学、人文科学分野でも傑出した人材を輩出しています。 たとえば「経済学の父」と言われ国富論など著し経済学の基礎をつくったアダム・スミス、哲学者であり歴史学者、政治思想家出でもあったジェームス・ヒューム、歴史家のジョージ・ブキャナン、社会学の祖とされるジョン・ミラーもスコットランド人です。 デヴィッドo・ヒューム Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link アダム・スミス Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link 詩人で作家のウォルター・スコットはスコットランド人の心の故郷となっています。 スコットはエディンバラ大学で法学を学び、父の跡を継いで弁護士となるが25歳より文筆活動を始め、当初は詩人として、後に歴史小説作家として名声を博しています。 スコットランドの作家としては存命中に国外でも成功を収めた、初めての人気作家といえます。日本にも関係ある歴史家、トーマス・カーライルもスコットランド人です ウォルター・スコット Source:Wikimedia Commons Public Domain, Link トーマス・カーライル Source:Wikimedia Commons パブリック・ドメイン, リンク 以下はスコットランドの著名人(Famous Scottish People)という英語の動画です。 Source:Famous Scottish People 「スコットランド人の独創性」につづきます スコットランド総目次へ* |