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いわき市>
勿来火力の復旧状況

 青山貞一  池田こみち 
掲載月日:2011年1月1日
 独立系メディア E−wave 無断転載禁

第5次福島県内現地調査〜歴史文化編〜(2011.12.25-27)
@<北茨城>六角堂と岡倉天心 F<会津若松市>蒲生氏郷と鶴ヶ城
A<いわき市>勿来の関 G<会津若松市>蒲生氏郷と茶室・麟閣
B<いわき市>勿来火力の復旧状況   H<奧会津>西会津の冬景色
C<いわき市>岩間の復旧状況 I<奧会津>下郷町の雪風景と大内宿
D<いわき市>漁港の復旧・復興状況 J<奧会津>いつもと変わらない南会津
E<いわき市>豊間海岸と薄磯海岸

 私たちは、北茨城市の大津港そして六角堂を視察した後、福島県いわき市に入った。福島県に入ってすぐはいわき市の勿来(なこそ)である。その昔はここに勿来関があったのだろうが、現在、勿来には、巨大な勿来火力(正式には常磐共同火力発電所)がある。

 2011年4月上旬に現地視察したとき、勿来火力は3.11の津波をかぶり稼働が停止していた。以下は、常磐共同火力のWebにある3.11当日の被災状況である。

発生経緯
2011 年 3 月 11 日(金)プラント負荷 225MW にて運転中。宮城沖を震源地とする大地震が発生し(M9.0 いわき市震度6強)、プラント停止した。その後の地震に伴う津波がプラント全域に来襲し、1階面フロアの機器がほぼ水没する被害を受けた。

14:46 頃 地震発生
プラント停止(タービン第二軸受振動大)
IGCC 所内全停(地震により常磐共同火力停止、東京電力系統(阿武隈線)電圧ゼロ)所内全停となった。
15:30 頃 津波(第一波)来襲、1FL 面(1〜2m 程度)水没、その後2,3波襲来。
15:35 IGCC 非常用電源復旧(常磐共同火力 M/C より受電)

被害状況
・CCP 職員および家族は全員無事を確認。けが人なし
・火災、爆発などなし。危険物等の大量流出なし。(灯油、アンモニア、薬液、潤滑油)
・プラント1FL の各機器は津波により水没したものの、主要機器(ガス化炉、ボイラ、等)の倒壊はなし。
・水没により、各機器には大量の泥が堆積。 特に電気品に短絡・絶縁不良等多発。
・CCP 事務所は1FL が津波で崩壊状態。
・通勤用の車両は全台水没・損

 また以下は産経新聞の5月31日時点での記事である。

◆福島県いわき市・勿来発電所 希望の灯「火力」復活心待ち
2011.5.31 07:51 産経新聞

 「あっという間に堤防が決壊し、大量の海水が流れ込んだ。押し流される民家や車…。現実とは思えなかった」。3月11日、震度6弱の揺れに見舞われた約1時間後、常磐共同火力勿来(なこそ)発電所(福島県いわき市)を津波が襲った。細田誠一副所長(56)は“その瞬間”を鮮明に記憶している。被災で施設は完全に機能を失った。

 所内の発電施設は9つ。震災当時、運用されていたのは7〜9号機。他は廃止や長期停止になっていた。しかし、福島第1原発の事故に端を発した夏場の電力不足への懸念から、火力発電への期待は急上昇。今、比較的被害が小さかった8、9号機の復旧作業が急ピッチで進んでいる。

 供給能力は2機で計120万キロワット。細田副所長は「8号機は7月中旬に、9号機は7月上旬に、それぞれ再稼働できそう」と話す。作った電気は東京電力と東北電力に供給される。

 地元では発電所を親しみを込めて「火力」と呼ぶ。震災でいわき市は死者305人、全壊家屋5234棟(5月29日現在)という甚大な被害を出した。同市小浜町の熊谷誠次さん(67)は「一日も早く火が入って、いわき復興の象徴になってほしい」と復活を心待ちにしていた。(写真報道局 古厩正樹)
 

 以下は、10月16日、第4次福島県内空間放射線量測定調査で現地入りしたときにいわき市小名浜港から撮影した常磐共同火力からの煙である。


小名浜港から見た勿来火力
撮影:青山貞一 CoolPix S8 2011.10.16

◆環境総合研究所:福島県南部 浜通り 被災地視察(2011.4)  Ch 5
 ※勿来、岩間地区は上記動画の最後の部分に収録されている。

◆環境総合研究所:福島県内沿岸被災地、復旧・復興状況(10月16日)  

 今回の現地調査では、下の写真にあるように勿来火力は見るからに復旧していた。


稼働を開始したいわき市の勿来火力
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  2011.12.25

 いわき市にある勿来火力の許可出力は、下表にあるように約163万キロワットある。小さな原発2基分ある勘定だ。 

表1 勿来火力の主要設備
許可出力
1,625,000kW
ユニット
6号機
7号機
8号機
9号機
出力
175,000kW
250,000kW
600,000kW
600,000kW
運転開始年月日
昭和41年
11月30日
昭和45年
10月26日
昭和58年
9月9日
昭和58年
12月15日
ボイラー型式
定圧貫流形
強制循環形
変圧貫流形
変圧貫流形
使用燃料
重油
石炭・
炭化燃料
石炭
石炭・重油
・炭化燃料
敷地面積
697,000u
http://www.joban-power.co.jp/k_kaisya/kig_kabu.htm

 勿来火力の持ち株出資比率は、下表のように東北電力が49%、東京電力が49%となっている。立地場所は福島県にあるが、東京電力が約半分の株を持っており、図にあるように電力のかなりの部分は茨城県を経由し東京電力管内に送られている。 

表2 勿来火力の株主名と持株比率
株主名
持株比率
 東北電力株式会社
49.11
 東京電力株式会社
49.11
 常磐興産株式会社
0.62
 古河機械金属株式会社
0.59
 株式会社南悠商社
0.26
 戸部商事株式会社
0.18
 日新商事株式会社
0.08
合計
100.00
http://www.joban-power.co.jp/k_kaisya/kig_kabu.htm


図1 勿来火力の送電先
http://www.joban-power.co.jp/k_kaisya/kig_kabu.htm

 この種の共同火力や東京電力の火力発電所は、表3、表4に示すように、福島県内には勿来以外にもあり、発電する電力の多くは東京電力管内に送電されている。

 結果として、これらの巨大火力の存在により福島第一原発が完全停止しても東京はじめ東電管内の電気が停電せずにすんでいると言えよう。

表3 福島県内にある共同火力の主要設備
発電所名 使用燃料 総出力 所在地 運営会社
新地発電所* 石炭 200万kW 福島県相馬郡新地町 相馬共同火力発電
勿来発電所* 石炭、重油、炭化燃料 162.5万kW 福島県いわき市 常磐共同火力
出典:Wikipedia 日本の火力発電所一覧

表4 福島県内にある東京電力火力の主要設備
発電所名 使用燃料 総出力 所在地
広野火力発電所 重油、原油、石炭 380万kW 福島県双葉郡広野町
出典:Wikipedia 日本の火力発電所一覧


広野町にある巨大な火力発電所。この写真を撮影した
2011年4月16日は津波の影響で完全に停止していた。
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  2011.4.16

つづく