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千葉県3大壇林跡短訪


江戸時代の学問所

壇林とは(全20本)
 

青山貞一 Teiichi Aoyama・池田こみち Komichi Ikeda
2021年10月15日視察 2021年10月31日公開
独立系メディア E-wave Tokyo


森の中の飯高寺の講堂(=飯高壇林) 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

壇林とは    法華経とは  短訪計画    多古道の駅   中村壇林1
中村壇林2   中村壇林3  中村壇林4   中村壇林5    飯高壇林1
飯高壇林2   飯高壇林3  昌山妙福寺1  昌山妙福寺2   飯高神社1
飯高神社2   飯高神社3  飯高神社4   小西壇林1    小西壇林2
  
はじめに

 檀林(だんりん)は、仏教寺院における僧侶の養成機関、仏教宗派の学問所。談所、談処、法談所、談義所、学寮、学林、禅林、などとも称された。

 檀林は、栴檀林の略で、僧侶の集りを栴檀(センダン)の林に例えた、仏教における学問所のこと。宗派の立場を超えた仏教学の研究が行われ、その中で学派も分かれていった。檀林は、学制発布により廃止されたが、大学として現在もその名跡を継いでいる。

 原始仏教:法華経とは

各宗派の著名な檀林

天台宗
 津金寺、中院、大光普照寺、千妙寺、月山寺、江戸崎不動院、宗光寺、薬王院、逢善寺、長福寿寺、龍蔵寺、真光寺、円乗寺

真言宗
 関東十一檀林(真言宗智山派)- 高尾山薬王院、金剛寺、宝生寺 、三宝寺、三学院、錫杖寺、法恩寺、明星院、龍花院、長久寺、一乗院

 大蔵経寺、円楽寺、根来寺、興生寺、自性院、明王寺、六地蔵寺、長楽寺、大観寺、延命寺

浄土宗
 関東十八檀林 - 増上寺、伝通院、霊巌寺、霊山寺、幡随院、蓮馨寺、勝願寺、大善寺、浄国寺、光明寺、弘経寺、東漸寺、大巌寺、弘経寺、大光院、善導寺、常福寺、大念寺

西山浄土宗
 総持寺、正覚寺、曼荼羅寺

浄土真宗
 高倉学寮

曹洞宗
 旃檀林

禅林
 禅宗寺院のことで、禅院(ぜんいん)とも呼ばれている。また、叢林(そうりん)という名称で用いられる場合もあるが、日本において「叢林」は中世以後の五山制度及びそれに所属していた寺院(曹洞宗及び臨済宗大応派)を一括した総称としても用いられている。この場合には、五山叢林(五山派)などとも称せられている。

日蓮宗
 関東三大檀林 - 飯高檀林、小西檀林、中村檀林


 野呂檀林、玉造檀林、三昧堂檀林、南谷檀林(池上本門寺)、西谷檀林(身延山久遠寺)、松ヶ崎檀林、求法檀林、東山檀林、鷹峯檀林、山科檀林、鶏冠井檀林、尼崎檀林、大沼田檀林、細草檀林、宮谷檀林、大亀谷檀林、小栗栖檀林、三沢檀林


 以下の表で紫色の壇林は2021年10月15日訪問壇林。いずれも日蓮宗の壇林で、千葉県の匝瑳市、大網白里市、多古町に所在している。

檀林名 寺名 国郡 所在 学寮 寺格 概要
飯高
檀林
飯高寺 下総国
香取郡
千葉県匝瑳市 中台谷 一般寺院 関東三大檀林の一つ。元は飯塚光福寺にあった飯塚講肆。教蔵院日生が1580年(天正8年)に開設。組織としての直接的な系譜ではないが、立正大学の前身と位置付けられている。中台、城下(ねごや)、松和田(まつわだ)の三つの学寮があった。
小西
檀林
正法寺 上総国
山辺郡
大網白里市 江戸谷 由緒寺院・本山 関東三大檀林の一つ。1580年(天正8年)(1590年(天正18年)とも)、松ケ崎檀林の通王院日裕が招かれて成立。(本山めぐり、立正大学)。『諸檀林並精貞法類』には伊豆谷の記載がない。
中村
檀林
日本寺 下総国
香取郡
香取郡多古町 東谷 由緒寺院・本山 関東三大檀林の一つ。飯高壇林の恵雲院日円が晋山し、全国から学徳を慕って僧が集まったため、やむを得ず1599年(慶長4年)に壇林を開いたという。(本山めぐり)
松崎
檀林
顕実寺 下総国
香取郡
香取郡多古町 一般寺院 大永年間(1521-28)に常寂院日輝が開設。早期に廃絶。
西谷
檀林
久遠寺善学院 甲斐国
巨摩郡
身延町 廃絶 身延山久遠寺の塔頭寺院。1604年(慶長9年)、善学院日鏡が善学院を創建し、開設。明治以後、甲府に移転して廃止となる。直接的な後身ではないが、身延山大学がその伝統を受け継いでいるとされる。(身延山大学図書館ウェブサイト)。心性院日遠を初代化主とする
玉造
檀林
蓮華寺 下総国
香取郡
香取郡多古町 一般寺院 長遠院日遵が1637年(寛永14年)開設。
三昧堂
檀林
久昌寺 常陸国
久慈郡
常陸太田市 由緒寺院・本山 1682年(天和2年)(翌年とも)、徳川光圀が中村檀林の日耀を招いて開設。もともと稲木にあったが幕末明治期に現在地の新宿町にあった蓮華寺に合併。
南谷
檀林
池上本門寺照栄院 武蔵国
荏原郡
東京都大田区 一般寺院 池上本門寺の塔頭寺院。1689年(元禄2年)(貞享年間とも)、妙悟院日玄が鎌倉の宝筺学室を移して開設。

 このように、近世、日蓮宗に於いて多くの檀林が成立する。中世末期から近世の移行期に、法華宗近世檀林として、下総飯高と京都松ヶ崎檀林が成立する。

 その後、近世初頭には多くの檀林が開檀するが、就中、飯高・松ヶ崎は関東・関西の根本檀林とされる。また、関東檀林中の下総飯高、上総小西、下総中村檀林は関東三檀林と称し、大檀林と云われた。


法華経とはへつづく