港の歴史を伝える貴重な遺構が公開され、
大勢の市民らが足を運んだ見学会=象の鼻地区
横浜港発祥の地である「象の鼻地区」(同市中区)から発見された遺構の見学会が十九日、同所で開かれた。大勢の市民らが足を運ぶ中、専門家は「重要文化財並みの宝だ。市民は誇りに思ってほしい」と訴えていた。
同地区は、横浜開港百五十周年事業の一環で、来年六月二日に約四ヘクタールの公園としてオープンする予定。今年五月、工事現場から開港から明治期にかけての遺構である鉄軌道(線路)と転車台(ターンテーブル)、旧横浜税関の倉庫基礎部分、石積みの防波堤などが見つかった。
公開されたのは、幅約三メートル、長さ約十五メートルにわたる鉄軌道(幅員一・〇六メートル)と四つの転車台(外径約二・五メートル)。元文化庁の主任文化財調査官の堀勇良さんは「もともとペリーが来航したといわれる場所。その後に大さん橋ができ、大型船が入れるようになった。明治二十八(一八九五)年にはこの鉄軌道と転車台が整備され、港から倉庫に運んだ。
大正初期には(近くを走る)新港埠頭(ふとう)の貨物線にもつながっていた」などと歴史を説明した。
横浜市歴史的資産調査会委員の米山淳一さんは「(転車台は)東京・汐留の再開発でも見つかったが、保存されなかった。状態良く残っていた意味でもこれは大発見だ」と価値を強調していた。横浜市では港の歴史を後世に伝える貴重な遺産として、来園者に親しまれる形で保存・展示する方針という。