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宮城/岩手被災復旧復興調査
H宮城県石巻市長面浦地区

池田こみち・青山貞一
環境総合研究所顧問
掲載月日:2012年12月12日
 独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
宮城/岩手被災復旧復興調査
@宮城県気仙沼市階上地区    F宮城県南三陸町
A宮城県気仙沼市気仙沼地区    G宮城県石巻市大川小学校
B岩手県陸前高田市    H宮城県石巻市長面浦地区
C岩手県釜石市唐丹町    I宮城県石巻市雄勝町
D岩手県釜石市鵜住居町    J宮城県名取市閖上地区
E岩手県釜石市大槌町    K全体総括表
福島県新地町被災者から届いた一通の手紙
宮城/岩手仮設焼却実態調査報告はこちら!

 2012年11月22日〜25日、青山貞一、池田こみち(ともに環境総合研究所顧問、東京都品川区)は、宮城県、仙台市および岩手県内の「がれき処理状況」を現地視察したが、それに関連し、津波被災地を訪問してきたので、概要を紹介したい。

第2日目 2012年11月24日(金)

■宮城県石巻市長面浦

石巻市立大川小学校から石巻市長面地区へ

 大川小学校のお参りを終え、北上川河口追波湾に向かって長面地区へと進む。


出展:グーグルマップ

  以下は宮城県内の市町村別の死者、行方不明者数である。
 

出典:東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会配付資料


動画撮影:青山貞一 Yashika ADV-1025HD 2012-11-24

 この北上川、追波湾、長面浦と三方を水に囲まれた長面地区は、震災前は風光明媚、まさに水と緑の住宅地だっただろうが、津波ですべて流され一軒の家も残されていない。家の土台もすべて片付けられ、コンクリート瓦礫はまとめて積み上げられていた。地盤の嵩上げなどに再利用されるものと思われる。

 宮城県石巻市長面地区では全住民の約 2 割にあたる100 余名が死者あるいは行方不明者となっている。

 この長面浦地区には400年近い歴史を持つ法印神楽も衣装や舞台も流失した。この例祭を見送る考えもあったが、近隣の神楽保存会から道具を借り、2011年秋に仮設住宅集会場で舞を披露している。

 2012 年は衣装を揃えて公演することで、仮設で暮らす方々の疲れを癒し、地域を勇気づけたいとしている。

 下の動画と写真は、昨年の同時期に現地調査したときのものである。長面浦地区は、ほぼ全域が浸水しており海上都市の体をなしていることが分かった。

◆2011年11月調査時に石巻市長面浦地区を調査した際
  に撮影した動画と写真


石巻市長面地区の壊滅的な被災状況。ほぼ全地域が現在でも浸水している
動画撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S10 2011.11.21

 昨年11月時点では、浸水が著しく復旧が遅々として進んでいなかった。


未だ浸水が著しい長面地域の被災状況
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S10 2011.11.21

◆参考動画:石巻市雄勝地区の津波の様子
http://www.youtube.com/watch?v=bn-tTDFs0BY



 以下は、今年撮影した長面浦地区である。浸水した住宅地は同時に地盤沈下しており、一向に水が引いていないことが分かった。


住宅地が陥没し未だに水が引かない長面浦地区
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2012-11-24

動画撮影:青山貞一 Yashika ADV-1025HD 2012-11-24

 現状は、一帯が地盤沈下してあちこちに水が溜まり、多種多様な水鳥たちが飛び交い、餌をついばんだりしていた。この地区でも大勢が犠牲になったことと思うが、今後は、湿地帯として生物の宝庫によみがえらせるのが一番と思えた。
http://memory.ever.jp/tsunami/higeki_okawa.html
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

動画撮影:青山貞一 Yashika ADV-1025HD 2012-11-24

「いま、被災地は」 石巻市長面浦
  2012年11月16日 朝日新聞

 囲炉裏でまきがぱちぱちと音を立てる。炎にあぶられ、朝とったばかりのハゼが身を躍らせた。

 「焦げたでねーか」。榊正吾さん(69)の心配をよそに妻の照子さん(68)が「大丈夫だ」。串に刺して背中、腹と焼き、1時間ほどできつね色になった。

 東日本大震災で被災した石巻市の長面(なが・つら)浦で、焼きハゼ作りが最盛期を迎えている。伝統的な仙台雑煮のだしに使われ、すっきりした味わいを作り出す。
 夫婦の自宅があった長面地区は津波で壊滅した。3軒の作り手のうち榊さんだけが再開し、今年は得意先に卸せるまでになった。

 囲炉裏からはもくもくと煙が上がる。この煙で約1週間いぶすのが長面独特の製法。「光沢が出て、生臭さが抜ける」。毎朝2人で仕掛けた網を上げ、とったハゼを焼くのが3代目の照子さんの仕事。小学生から家業を手伝ってきた。

 一度はあきらめかけたが「伝統の味をなくさないで」という声に押された。昨年、かつての自宅近くにある夫の実家を借り、知り合いに配る分だけ作った。

 「海を見るのも怖かった。けど、体には仕事がしみこんでいる」。今年は乾物屋や道の駅などからの注文も入り、昨年の4倍の約6千匹焼く予定だ。石巻市内の仮設住宅から30分近く軽トラックに乗って毎日通い1日100匹ほど焼く。

 津波で被災し、水面に沈んだ地域もある。だが「長面の焼きハゼ」として名は残り、郷土料理を支える。「海は宝。ここに戻ると元気がでる」。来月20日まで作業を続け、震災後2度目の正月に備える。(向井宏樹)

つづく