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   東南アジア最後の秘境 ミャンマー

2.ミャンマー基礎情報(1)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2016年8月4日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
(1) 構想からヤンゴン到着  (2) ミャンマー基礎情報@  (3) ミャンマー基礎情報A
(4) ヤンゴン一周鉄道に乗る  (5) ヤンゴンの巨大下町で夕食


 先に進む前にミャンマーの概要、歴史などを概観しておきます。

◆ミャンマーの概要

 ミャンマー連邦共和国、通称ミャンマーは、東南アジアのインドシナ半島西部に位置する共和制国家です。

 独立した1948年から1989年までの国名はビルマ連邦であり、ASEAN加盟国、通貨はチャットです。2014年現在の人口は 5,142万人、首都はネピドー(2006年まではヤンゴン)です。

 下の地図にあるように、南西はベンガル湾、南はアンダマン海に面しています。南東はタイ、東はラオス、北東と北は中国、北西はインド、西はバングラデシュと多くの国境を接しています。

 ミャンマーは南北に伸びる長い国土が特徴です。他国との境界線の総延長距離は約4,600kmに達しています。 海側はアンダマン海とベンガル湾に面し、海岸線の全長は約2,000kmです。

 なお、国土面積は日本の1.8倍もあります。人口は日本の半分以下ですので、人口密度は日本の1/4近くと低いことになります。


ミャンマーの地形と接する国々 出典:Wikipedia


東南アジアとミャンマー  出典:ミャンマーガイド

◆ミャンマー内の主要都市、地域

 以下はミャンマーの主要都市、地域です。今回は、ヤンゴン、マンダレー、サガイン近くのインワ、バガンの4都市(地域)ですが、南北に長いミャンマーでは、北東部では中国と接しており、一方、北西部がインパール、コヒマなど日本軍が大失態を演じたインドとの国境に近くのインドの都市があります。さらにミャンマー、タイ、ラオス国境の三角地点(地域)が東部にあります。

 なお、現在の首都は内陸にあるネピドーです。


出典:ミャンマー旅行への誘い


◆気候

 国土の大半が熱帯又は亜熱帯に属していますが、気温や降水量は地域による差異が大きいのが特徴です。

 ベンガル湾やアンダマン海の沿海部は年間降水量が5000mmを越える有数の多雨地域で、マンダレーやバガンが位置する内陸部は熱帯サバンナ気候(Aw)で、年間降水量が1000mmを下回る地域があります。

 またシャン州、カチン州やチン州の山岳地帯では最寒月の平均気温が18度を下回る地域があり、温暖冬期少雨気候(Cfw)に分類されています。

 以下は今回の現地視察で行く3地域の年間気温と降水量を東京都の比較で示しています。とくにマンダレー、バガンは一年を通じて降水量が少なくなっています。

 一方、ヤンゴンは5月から9月の降水量が多くなっています。いずれも最高平均気温、最低平均気温のパターンは類似しており、4月が年間を通じての最高気温、1月が年間を通じての最低気温となっています。

 平均気温は、バガン>マンダレー>ヤンゴン、とバガンが一番高くなっており、実際に現地で体感した結果でもバガンが一番気温が高く、日中は35℃超となっている日が多かったと言えます。

 下の写真は灼熱のバガンのスラマニ寺院を背景にした青山、池田です。


撮影: Nikon Coolpix S9900  2016-6-8


出典:Zen Tech


出典:Zen Tech


出典:Zen Tech

水理

 国土の中央をエーヤワディー川(旧イラワジ川)が縦断しており、河口付近は広大なデルタ地帯を形成しています。 主要な河川としては他にサルウィン川やチンドウィン川等があります。

人口

 2014年春、31年ぶりに国勢調査が行われた。3月30日時点での人口は51,419,420人で、前回に行われた1983年国勢調査値(31,124,908人)から二千万人増えていた。 しかし、1983年国勢調査以降にビルマ/ミャンマー政府が出していた推計人口(2012年では60,975,993人)は六千万人台であった為、九百万人近く多く見積もられていたことが発覚した。[48]それまでは国際通貨基金(IMF)やアジア開発銀行(ADB)が6100万〜6400万人程度と推計していた。


民族(8部族、138民族)

 ビルマ族68%  シャン族9%  カレン族7%  ラカイン族3.5%、緬甸華人2.5%、モン族2%、カチン族1.5%、緬甸印僑1.25%、カヤー族0.75%、他(チン族、ワ族、ナガ族、ラフ族、リス族、トーアン族他) 4.5%など。

 数はミャンマーの8部族、138民族の分布図です。

 私達が今回出かけたミャンまーのヤンゴン、マンダレー、インワ、バカンの4都市は、下の分布図の白色部分(ビルマ族)に位置しています。しかし、その周辺には130種以上の少数民族が暮らしていることが分かります。

 さらにこれとは別に、ミャンマーにはイスラム系のロヒンギャという部族がおり、今なお大きな社会問題となっています。

 なお、ミャンマーの少数民族問題については、たとえば、NHKの以下が参考になります。

◆BS1スペシャル 「帰りたるわが故郷は 〜“ビルマ難民”25年目の帰国〜 」
 2016年 9月24日(土)午後9時〜
http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/#schedule-onair

今年3月、アウン・サン・スー・チー氏率いる政党のテイン・チョウ大統領が就 任。民主化に向けて本格的に動き始めたミャンマー。日本には、1988年8月8日の民主化デモ後の弾圧をきっかけに、政治亡命したミャンマー人たちがいる。彼らは東京・高田馬場周辺に居を構え、飲食店などで生計を立てながら祖国の行方を見守ってきた。四半世紀が経ち、祖国の民主化に手を貸したいと、かつての運動家たちがミャンマーを訪れた。しかしそこで目にしたものは、経済利権を握る軍部の隠然たる力と、民主化に沸く都市部とは程遠い地方の厳しい現実だった。番組では、亡命ミャンマー人たちの目を通し、民主化に立ちはだかる壁とそれを乗り越えようとする人々の姿を描く

◆総選挙直前、ミャンマー少数民族 和平への遠い道 2015年10月27日(火)

◆ロヒンギャ漂流問題 ミャンマー少数民族の対立と迫害の歴史 The Page



出典:Wikipedia

・カチン族
カチン族 (Kachin) は、カチン族、タロン族、ダラウン族、ジンポー族、ゴーリー族、カク族、ドゥイン族、マル族(ロンウォー族)、ラワン族、ラシ族(ラチ族)、アツィ族、リス族と呼ばれる12の人種によって構成されている。

・カヤー族
カヤー族 (Kayah) は、カヤー族(カレンニー族)、ザヨウン族(ラタ族)、カヤン族(パダウン族)、ゲーコー族、Kebar、ブレ族(カヨー族、コヨウ族、ラク族)、マヌマノー族(マノー族)、インタレー族、インバオ族と呼ばれる9の人種によって構成されている。

・カイン族
カイン族、またはカレン族 (Kayin) は、カレン族、カレンビュー族、Pa-Le-Chi、MonKayin (Sarpyu)、スゴー族(スゴーカレン族)、Ta-Lay-Pwa、パク族(パクカレン族)、ブエ族(ブエカレン族)、モーネプワー族、モブワ族、Shu (Pwo) と呼ばれる11の人種によって構成されている。

・チン族
チン族 (Chin) は、チン族(英語版)、Meithei (Kathe)、サライン族、Ka-Lin-Kaw (Lushay)、Khami、AwaKhami、Khawno、Kaungso、KaungSaingChin、Kwelshin、Kwangli (Sim)、Gunte (Lyente)、Gwete、Ngorn、Zizan、Sentang、SaingZan、Za-How、ゾトン族、Zo-Pe、ゾウ族、Zahnyet (Zanniet)、Tapong、ティディム族 (Hai-Dim)、Tay-Zan、Taishon、タドー族、Torr、Dim、Dai (Yindu)、ナガー族、Tanghkul、Malin、Panun、Magun、Matu、Miram(マラ族)、Mi-er、Mgan、Lushei (Lushay)、Laymyo、Lyente、Lawhtu、ライ族 (Haka Chin)、Laizao、Wakim (Mro)、Haulngo、アヌー族、Anun、Oo-Pu、Lhinbu、アショウ族 (Plain)、Rongtuと呼ばれる53の人種によって構成されている。

・モン族
モン族は、モン族と呼ばれる1の人種によって構成されている。

・ビルマ族
ビルマ族(ビルマ文字: BamaLumyo.png, Bamar)は、人口の半数以上を占めている民族であり、ビルマ族(バマー族)、タヴォイ族、ベイ族(メルギー族)、ヨー族、ヤベイン族、カドゥー族、ガナン族、サロン族(モーケン族)、ポン族(プン族)と呼ばれる9の人種によって構成されている。

・ラカイン族
ラカイン族 (Rakhine) は、ラカイン族(英語版)(アラカン族)、Kamein、カミー族、ダインネット族、マヤマジー族、ムル族、テッ族(サック族)と呼ばれる7の人種によって構成されている。

・シャン族
シャン族 (Shan) は、シャン族、ユン族(ラオ族)、クワイ族、ピイン族、ヤオ族、ダノー族(サノー族)、パレ族、イン族、ソウン族、カム族、 コー族(アカ族、イコー族)、Kokant(コーカン)、カムティシャン族、クン族、タウンヨー族、ダヌー族、パラウン族、 ミャウンジー族、インチャー族、インネッ族、シャンカレー族、シャンジー族、ラフー族、インダー族、Eik-swair、パオ族(トンスー族、黒カレン族)、タイ・ロイ族、 タイ・レム族、タイ・ロン族、タイ・レー族、マインタ族(アチャン族)、モーシャン族、ワ族と呼ばれる33の人種によって構成されている。


言語

 ビルマ語(公用語)、少数民族諸語(シャン語、カレン語、ロヒンギャ語、チンプオ語、クキ・チン諸語、モン語など)

◆宗教

 上座部仏教90%、キリスト教4% (バプテスト教会3%、ローマ・カトリック教会1%)イスラム教4% 精霊崇拝(信仰) 1%、その他(ヒンズー教など) 1%


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900  マンダレーの旧王宮にて
 
◆地方行政区

 ミャンマーは、7つの地方域(タイン・データー・ジー)と7つの州(ピーネー)に分かれています。

 大きな特徴としては、地方域は主にビルマ族が多く居住する地域の行政区分であり、州は、ビルマ族以外の少数民族が多く居住する地域となっているなど、少数民族に対応したものになっていることです。。




出典:Wikipedia

◆経済

 IMFの統計によると、2013年のミャンマーのGDPは564億ドル、一人当たりのGDPは869ドルであり、国際連合による基準に基づけば、後発開発途上国と位置づけられています。ミャンマーの主要経済は農業となっています。

・主要貿易品目
(1)輸出
 天然ガス,豆類,衣類,チーク・木材,米
(2)輸入
 機械部品,精油,製造品,化学品

・主要貿易相手国
(1)輸出
 タイ,中国,インド,シンガポール,日本
(2)輸入
 中国,シンガポール,タイ,日本,マレーシア
(ミャンマー中央統計局(2013/14年度))

◆経済概説

(1)1962年に発足したネ・ウィン政権は,農業を除く主要産業の国有化等社会主義経済政策を推進してきましたが,この閉鎖的経済政策等により,外貨準備の枯渇,生産の停滞,対外債務の累積等経済困難が増大し,1987年12月には,国連より後発開発途上国(LLDC)の認定を受けるに至りました。

(2)1988年9月に国軍がクーデターにより軍事政権が成立し,社会主義政策を放棄する旨発表するとともに,外国投資法の制定等経済開放政策を推進しましたが,非現実的な為替レートや硬直的な経済構造等が発展の障害となり,外貨不足が顕著化しました。

 2003年2月には,民間銀行利用者の預金取付騒ぎが発生し,民間銀行や一般企業が深刻な資金不足に見舞われました。更に,同年5月のアウン・サン・スー・チー氏の拘束を受け,米国が対ミャンマー経済制裁法を新たに制定したことが国内産業への打撃となり,経済の鈍化を招き,加えて,2004年10月には,EUがミャンマーの民主化状況に進展が見られないとして,ミャンマー国営企業への借款の禁止等を含む制裁措置の強化を決定しました。

 2007年8月には,政府によるエネルギーの公定価格引き上げ(最大5倍)が翌9月の大規模なデモの発端となとなりました。デモ参加者に対するミャンマー当局の実力行使を受けて,米・EUは経済制裁措置の強化を行い,豪州も金融制裁措置を取りました。

(3)2010年11月に実施された総選挙で,連邦連帯開発党(USDP)が約8割の議席を確保,その直後に,アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁を解除しました。

 翌2011年3月に,現テイン・セイン文民政権が発足し,民政移管が実現し,民主化を推進するとともに,経済改革等の取組を断行中です。例えば,中古車両の廃車許可(2011年12月から40年以上,翌2012年1月には生産から30年以上経過した車両)及びそれに代替する車両輸入許可を行うようになり,国内を走る車両が格段に新しくなりました。

 同年4月には,為替レート統一化に向け,管理変動相場制を導入しました。また,同年11月には,外国投資受入の円滑化のため,制限的な内容だった外国投資法を改正しました。

(4)欧米諸国は,ミャンマーが進めている政治・経済改革を評価し,米国は2012年11月に宝石一部品目を除くミャンマー製品の禁輸措置を解除し,EUも2013年4月に武器禁輸措置を除く対ミャンマー経済制裁を解除しました。   出典:日本外務省 


つづく