東南アジア最後の秘境 ミャンマー ヤンゴン一周鉄道に乗る 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 掲載月日:2016年6月24日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
(1) 構想からヤンゴン到着 (2) ミャンマー基礎情報@ (3) ミャンマー基礎情報A (4) ヤンゴン一周鉄道に乗る (5) ヤンゴンの巨大下町で夕食 ホテルに到着したのは午後1時過ぎでしたが、荷物を部屋に置き、あらかじめ予定していたヤンゴン市内を環状で走る鉄道に乗ることにしました。 ◆ヤンゴンを3時間20円で一周する鉄道に乗る! この鉄道はヤンゴン市を三時間でゆっくり一周する列車です。理由は簡単、一周すればヤンゴン市の概要がわかると考えたからです。 下の写真は駅で切符を買う池田です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 下の写真は時刻表です。しかし、ご覧のようにビルマ語で書かれており、さっぱりわかりません(笑い)。池田はその後、ビルマ語の数字を覚えましたが、以下では数字もビルマ語です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 驚くことなかれ、一周で3時間乗る列車の料金は大人(外国人でも)一人20円(現地通貨で200チャット、日本円にすると約1/10)です。さらに驚いたのは、列車という列車が全てJR の列車の払い下げ(リユース)だったのです。したがって、車体には、JR とかキハとか書いてありました。実に長閑で、昭和30年代の感じです。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 下はヤンゴンを一周する鉄道の駅名です。一周で38駅あります。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 私たちが乗った駅は、下の写真にあるように Ahlone Road という駅で、ヤンゴン駅から右回りで5つ目となります。 改札はなく、時折車内に検察が乗り込んできます。これはEU諸国でも同じですが、もともと一周しても20円と廉価なので、タダ乗りして罰金を取られるより真面目に支払っているようです。また中高生らしき人がたくさん載ってきましたが、おそらく定期券があるはずです。 下は検察後の切符です。赤い線が入っています。わずかに31 May 2016だけが読めます(笑い) 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 なお、ホームが非常に低くできているために、日本の電車のように段差なく容易に乗れません。なかなかうまく乗れなかったり、荷物を持っていた降りづらい時は、周りの人が家族のようにアシストしています。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 以下のペインティングで楽しげな鉄道も、日本のJRのリユースです。改造の一つの特徴は、下の客車でもそうですが、大きなドアが開けっぱなしとなっていることです。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 もう一つの特徴は、下の写真にあるように電車ではなく、ディーゼル機関車によって牽引されているということです。先頭にディーゼル車があります。DF...となっており、これも日本製のリユースのはずです。見てわかるように架線はありません。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 ところで私たちの専門から見ると、線路沿いは両側ともごみだらけで、まるで線路がごみ捨て場となっているようでした。決してヤンゴンの町がごみだらけという訳ではありません。よくみれば、線路沿いにバラックが沢山建っていてそこに、低所得層の子供や犬とともに家族が生活していたのです。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 また、駅に停まる度に、野菜、果物始め、ありとあらゆる農産物が車内に積み込まれ、同時に色々なものを車内で売り歩く売り子(おじさんやおばさんを含め)が行ったり来たりしています。お客は座席に寝転がったり、座り込んで居ます。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 駅のホームも物売り、露店の食べ物やさんでいっぱいです。売っているものも、多種多様、いずれも生活に密接に関係するもの売っておりを驚くほど安いようです。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 一方、沿線には大小さまざまキンピカの仏塔(パゴダ)や寺院があります。このコントラストは、まさにミャンマーの各地でみられるものです。貧しい人は貧しいなりに、裕福な人は応分に寄進してこれらの仏塔などがつくられているのです。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 ヤンゴン一周電車も空港がある北の方に行くにつて写真のようなのどかな田園風景が続きます。この後、ミャンマー一の密集した下町、ヤンゴン中央駅に列車は滑り込みます。 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 3時間かけ、一周してわかったことは、ミャンマー第一の都市ヤンゴンの社会経済的弱者の多くがこの鉄道の沿線や主要道路の沿道にバラックで住んだり、露天を構えているのが当たり前だったことです。これは、大使館の有るような高級住宅地でも、地方裁判所が有るような官庁街でも同じでした。 このような風景はフィリピンのマニラでも、タイのバンコックでも、東南アジアでよく見る風景ですが、ヤンゴンでは市内を一周する鉄道の沿線が「スラム街」であり、「スモーキーマウンテン」だったのです。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900 2016-5-31 おそらく日本人の観光客は、この3時間20円で一周するヤンゴンのこの鉄道に乗っていないと思いますが、最初にこの鉄道に3時間乗ったのは、ミャンマーの巨大都市ヤンゴンを知るうえで非常によかったと思いました。 なお、都市のごみ問題はどこの途上国でも大きな課題となっていますが、ミャンマーではまだごみの収集サービスが行われていない様子で、人々は所構わずごみを投げ捨てていました。 鉄道の線路内はもとより、水路にもごみが一杯で、都市は食べ物の香辛料の臭いとごみの臭いでむせかえるような熱気でした。 電車に乗り込んでくる人々は、貧しい生活だと思いますが、みな元気で活気があり、エネルギーに満ちあふれているように見えました。蠅がたかろうと何の其のです。まさに日本の戦争直後の風景を彷彿とさせますが、違うところは人々の明るい表情です。 町中では外国人とみると、物売りがしつこく寄ってくるのですが、この環状鉄道ではみんなのんびりとサンダルを脱いで座席に上がり込み、おしゃべりをしたり、居眠りをしたり、食べたりそれぞれがひとときの移動時間を楽しんでいるようでもありました。 ところで、ヤンゴンなどミャンマーでがんばる日本の車両はすでに100両を越えているそうです。そしてさらに増え続けているとのことです。 そのうち古い車両は日本から輸出され10年以上が経ちます。 なお、最近JR東海やJR東日本からかなりの数の車両がミャンマーに譲渡され、環状線で運転を開始しています。そして以前にミャンマ−にやって来た車両の多くはマンダレーなど地方にへ移り、またモハなどの車両は、自走せずに機関車などにけん引してもらう車両として活躍しているようです。 いすれにしても、日本の列車、客車などがミャンマーでリユースされていることは、非常に素晴らしいことです。 つづく |