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序論
◆国単位ではなく大都市圏の経済を世界300都市圏でランキング
独立系メディでは世界ランキングとして、社会、経済、政治、外交、軍事はじめ幸福度に至るまでさまざまな分野(指標)で国別のランキングを 世界ランク として紹介してきました。
今回、米国のブルッキングス研究所による世界の300大都市圏を対象とした主要経済指標(一人当たりGDP、雇用とこれら2つ指標の総合指標)の世界300都市圏ランキングデータを紹介します。以下が調査報告のタイトルです。
Source: ・2014 GLOBAL METRO MONITOR MAP
Combined Change in Employment and GDP Per Capita
(Index of Both Rates), 2013〜2014
<世界300都市経済圏ランクマップ> 総合・一人当たりGDP・雇用
上記の報告の冒頭でブルッキングス研究所は調査の目的について次のように概説しています。
世界300の大都市圏の経済は、2014年度で見ると、世界全体の生産量のほぼ半分を占めています。
本調査報告は、世界300の大都市圏における経済成長パターンを2つの重要な経済指標、すなわち実質
1人当たりGDPおよび年間雇用の伸び率を一定期間内で評価、ランキングしたものです。
これらの指標は、今後、大都市圏の人口や経済にかかわる政策立案者が、当該地域の所得や生活水準の向上に寄与するため、また広範な労働市場機会を生み出す重要性を反映している点で重要です。
上述のように、調査対象とした個別経済指標は、ふたつ、すなわち年間の 1人当たり当たりの実質GDPと年間の雇用の伸び率です。
調査報告では世界の300の大都市圏ごとに、上記の総合指標について、@2013年〜2014年、A2009年〜2014年、B2000年〜2014年の3つの時間区分における変化についてランキング(順位)が示されています。
なお、本著で日本・韓国、中国、米国、G7などで示したランク、また1〜50、51〜100などのランクは、いずれもB2000年〜2014年のランクです。以下は大東京都市圏の場合です。ランキングは、一番右のランク、すなわちこの場合には212位を意味します。
出典米国ブルッキングス研究所
本調査の対象は、全世界の300大都市経済圏です、
以下の地図はそのうちアジア部分を示したものです。
日本は全面的に赤色グループの●があります。これは伸び率が停滞しているか下落していることを示しています。
一方、中国には多くの青色の●があります。これは伸び率が高いグループであることを示しています。
出典米国ブルッキングス研究所
以下は日本、韓国、中国部分の拡大図です。
出典米国ブルッキングス研究所
以下の地図はそのうち欧米、中南米、アフリカの部分を示したものです。
出典米国ブルッキングス研究所
以下の地図は米国とカナダを示したものです。
出典米国ブルッキングス研究所
以下の地図は欧州を示したものです。
出典米国ブルッキングス研究所
以下は西アジア、中東諸国の都市圏です。
出典米国ブルッキングス研究所
◆ランキング指標の説明
総合指標は地図は大別して、青色と赤色の円で表示されています。
青は一人当たりGDPと雇用の複合指標の伸び率が高い都市圏であり、赤は伸び率が低い大都市圏です。
世界300の大都市圏が次のようにランキングされ、色分けされます。
1位から60位、61位から120位が伸び率の高いグループを2段階の青色
121位から180位は停滞あるいは成熟グループを薄い青色
181位から240位、241位から300位が伸び率の低いグループを2段階の赤色
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以下が凡例の実物です。
出典ブルッキングス研究所(米国)
後述するように、日本はすべて赤色グループとなっており、一人当たりGDPと雇用による総合指標の伸び率が低いことを物語っています。
なお、本調査では上記の総合指標では、一人当たりのGDPとしてGDP ppp すなわち購買力平価が使用され市圏別に表示されます。
凡例にあるGDP ppp がそれです。これは円〈●)の大きさで表示されます。またGDP pppはGDPを人口で割った値としてGDP ppp per capita すなわち一人当り購買力平価と呼んでいます。
以下はGDP ppp (購買力平価)と一人当り購買力平価についての解説です。
◆GDP ppp(購買力平価) とは
各国または各地域で産み出された付加価値の総額の比較は、名目国内総生産(GDP)と為替レート(通貨換算比率)を用いて行われますが、これは国や地域ごとの生活のコストを反映しておらず、また国家間の資本移動の影響をうけやすくなっています。
そこで市場取引における為替レートではなく、その地域の生活関連コストやインフレ率や収入の差などの要素を考慮した購買力平価(PPP)を用いることで、貿易や国家間投資のような、国際間資本移動の影響を受けにくいレートで比較することができるようになります。
◆GDP ppp per capita(一人当り購買力平価)とは
この一人当り購買力平価で見ると、日本は香港やシンガポール、台湾には遠く及ばず、韓国やギリシア・イタリアなどと同等という結果になります。日本は物価が高く、「消費出来る量」という観点からの所得(GDP PPP per capita)は少なく計算され、通常の「一人当たりGDP」よりも、実際の生活者の経済水準をより正確に反映していると言えます。
◆参考:国の場合の国内総生産順リスト (一人当り購買力平価)
国の国内総生産順リスト (一人当り購買力平価)は、世界各国・各地域における各年の平均人口または年央における人口により除して割り出された、1人あたりの生産最終財やサービスの価値を、購買力平価(PPP)を用いて計算し表したもの。リストは国際通貨基金(IMF)、世界銀行(World
Bank)及びアメリカ中央情報局(CIA)によるもの。
以下は国単位の一人当り購買力平価の例です。
2015年、国際通貨基金によるUSドル表示の購買力平価による
1人当たりGDPを示した世界地図 IMF版
以下は凡例。 日本は41,275ドル=約4622800円(一ドル=112円として)
File:Countries by GDP (PPP) Per Capita in 2015.svg 作成: 2015年9月19日
出典:Wikipedia等 |
実際の地図では、カーソルを都市圏の位置に持ってゆくと順位や得点、さらに伸び率などが折れ線グラフで表示されます。
◆実際の地図と都市圏クリック後に示されるデータ
https://www.brookings.edu/research/global-metro-monitor/
以下は日本の大東京都市圏の例です。
個別都市圏指標は、以下のように示されます。
時間区分における変化は、@2013年〜2014年が201位、A2009年〜2014年が204位、B2000年〜2014年が212位であり、それに対応した雇用と一人当たりGDPの変化(伸び率)が%で示されます。
2008年〜2009年に一人当たりGDPがガクンと大きく下がっているのは、リーマンショックによる影響です。
左下には当該大都市圏の産業分野の割合も円グラフで図示されます。
なお、右下に人口、GDP PPP 、GDP per captta (PPP) そして雇用が数値で示されます。
出典米国ブルッキングス研究所
ちなみに以下は2014年時点での日本の主要都市圏の一人当たりGDP(購買力平価)です。
2014年時点の日本主要都市圏の一人当たりGDP(購買力平価)です。調査対象の世界中の都市圏は300です。大東京圏は119位ですが、雇用とあわせた総合指標では212位にすぎません。同じ日本でも随分差があることが分かります。おそらく現在であればさらに差がついていると思われます。
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なお大東京圏のGDPpppは世界一位です。しかし、重要なことは一人当たりのGDPであることはいうまでもありません。、,
2014年時点の日本主要都市圏の一人当たりGDP(購買力平価)
大東京圏 43664ドル 119位
福岡北九圏 34822ドル 176位
鹿児島圏 31764ドル 195位
名古屋圏 40144ドル 141位
熊本圏 29656ドル 202位
静岡圏 41472ドル 132位
岡山圏 35198ドル 171位
大阪神戸圏 35902ドル 165位
広島圏 36900ドル 155位
札幌圏 32446ドル 189位
新潟圏 36756ドル 156位
仙台圏 33765ドル 181位
参考
ニューヨーク 69915ドル 10位
サンフランシスコ 72390ドル 9位
デトロイト 48421ドル 84位
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出典:米国ブルッキングス研究所
出典米国ブルッキングス研究所
<参考> 大東京都市圏の範囲について
ブルッキングス研究所報告にある日本の「大東京都市圏」の人口は2014年にで約3700となっています。
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一方、掲載した2枚のデータと図は、「首都圏」の人口と範囲を表しており、ぶるっキングス研究所の人口データより若干人口が多めとなっています。
世界の大都市圏〈メトロポリタンエリア)
首都圏に含まれる都県 Source: Wikipedia
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首都圏に含まれる都県 Source: Wikipedia
おそらく、ブルッキングス研究所の「大東京都市圏」の人口では山梨県の人口が外されているものと推察されす。
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Wikipediaにある世界の大都市圏(Metropiritan Area)のランキングも掲載していますが、やはり日本の首都圏=大東京都市圏は世界第一となっています。
つづく 日本・韓国へ
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