敢然と東九州道の 路線変更に挑む農園主F 〜国会で大いに議論を!〜 青山貞一 東京都市大学名誉教授 掲載日:2008年2月15日 独立系メディア E-wave Tokyo 転載禁 |
昨日(2008年2月14日)、午前11時から12時までの約1時間、民主党参議院の福山哲郎議員の議員会館事務所を訪れ、東九州道問題を議論した。 参加したのは、環境行政改革フォーラムから青山貞一代表、池田こみち副代表、横田一幹事、当該問題にかかわる弁護士3名の計6名である。 福山議員と、個別具体の公共事業問題で議論するのは和歌山県雑賀崎関連の港湾計画以来のことである。 民主党参議院の政策調査会長代理の福山参議院議員 参議院議員会館にて 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix もっぱら、福山さんからは何度か参議院の国土環境委員会(当時)などに青山が参考人として招致され、当時中村敦夫議員などと連携し「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(いわゆる自動車NOx法)改正問題などで一緒にバリバリやってきた。私は衆参両院ですでに9回参考人招致され、環境政策、環境法に関連した質疑をしている。 とくに上記の自動車NOx法(現自動車NOx・PM法)では、環境省が国土交通省はじめ各省庁と国会での議論以前に談合的にそれぞれの省庁縄張りを覚え書きの形で約束していたことが分かり、それを私が委員会で暴露したため、上に下への大騒ぎとなった。 最終的に環境大臣が覚え書きを破棄することで一段落したが、国会の委員会に招致された者の発言で省庁間の覚え書きが破棄されるという例はおそらくないだろう。 ...... ところで、東九州道に関してはすでに民主党の国会議員4名が宮崎県側から現地視察に入っており、今後、国会質問もある状態にあります。またマスメディアはテレビ、雑誌を中心にガンガン動き報道されている。 東九州道を含むいわゆる国土幹線自動車道系高速道路の実施は民営化された西日本高速道路株式会社が当たるのだが、案の定、民営化されたことによって情報開示が従来以上に効きにくくなっていること、通常の情報開示請求ではまともなデータがでてこないこと、また民営化されたのに国土交通省がさまざまな形で裏から関与していることを含め、多くの弊害が露わになっている。 私に言わせてもらえば今更といえるが、現在、国会で大騒ぎとなっている「関東軍」(=国土交通省)が暴走している問題としては、 @道路特定財源そのもののあり方の問題、 Aその一部としてのガソリン暫定税率の問題、 B道路以外のハコモノや国土交通省職員の私物的なものに使われるなど、そのトンデモナイ使途の問題、 C冬柴大臣が国土交通官僚の言いなりになっており、何ら関東軍の暴走を食い止めるどころか、そのつゆ払い役となっていることの問題、 D従来、国土幹線自動車道の整備延長距離を9342kmとしていたのに、 E今後10年間で59兆円かけ、高規格道路を含め14000km超と整備路線を勝手に増やしたことの問題、 などがある 以下はデータで見る高速道路の状況。 ●道路公団の長期債務27兆円(首都、阪神、本四で債務12兆円。本州四国連絡橋公団は3.8兆円) ●道路公団が民営化後に支払う固定資産税は年間3000億円 ●第2東名・第2名神(456q、10.6兆円の建設費。第2東名建設完了時には現在の料金の約3倍でないと採算ならず) ●高速道路の未整備区間=2,383q ●高速道路の整備計画=9,342q ●未供用区間の全体事業費 19兆4,690億円 問題の東九州道は当初の9342kmの整備路線の一部だ。その詳細はブログに書いているが、以下に箇条書き的に示す。 @一般国道(10号線)で十分な交通量であり、 A有料道路料金まで払って地元内外のひとびとが当該高速道路を使う可能性はきわめて低いこと、 Bわざと整備路線を山すそから里地にもってくることで用地買収費、補償費、工事費などがつり上がったこと、 Cそれを最終的に議員の票や政治資金に還流する仕組みとなっていること、 D環境アセスメントはきわめて杜撰であり、 E結果として日本有数の高い環境質が破壊されること、 F地元の優良農地が破壊されること GB/Cはどう見ても大赤であること、 など、多くの重要な疑義と課題がある。 私の言葉で言えば、整備路線に組み込まれており、東国原知事等が積極推進していますが、その実、必要性、妥当性、正当性いずれも乏しい、不要不急の高速道路の典型のようなものだ。 その観点から、不要な高速道路を借金を増やしながら強引に政官業が推進する重要な一例として国会質問してもらうことがポイントである。 なお、与党は国土交通省のいいなりに、何と今後、道路特定財源から毎年2.5兆円を高速道路建設によってできた数10兆円の累積債務の返済に投入する新たな施策を今国会に提出し、衆議院圧倒的多数で可決しようとしていることが分かった。 周知のように、国土幹線自動車道は、料金収入と公団(現在は会社)が財政投融資や民間からの借り入れなどで建設、運用し、原則としてガソリン税、軽油税、重量税、保有税などの道路特定財源からの拠出はないこととされてきた。 もちろん、高速道路を建設するとそれに付随して一般道路整備、インターチェンジ、ランプなど関連するハコモノ整備で膨大な道路特定財源が使われてきた。しかし、こと旧日本道路公団などが施工した国土幹線道は上記の仕組みであったのだ。 結局、自民・公明は国土交通省(関東軍)のいいなりで、国土幹線道や都市高速道(いずれも料金収入でつくることになっている)以外に国直轄方式による高規格道路なる実質高速道路を道路特定財源でつくること(これが14000kmとなっている理由)に加え、国土幹線道建設の累積赤字対策に毎年、2.5兆円もの道路特定財源をつっこむ謀略があったことが、昨日の福山事務所での議論でわかった。トンデモないことだ! 今の自民公明を見ていると、衆院で圧倒的多数を占めているうちに、立法面でやりたい放題を使用という魂胆がミエミエだ。郵政民営化で得た議席なのに、自分たちの組織保身、権益確保のためにありとあらゆる場面で2/3を使おうとしている! ....... ガソリン税25円をなくしたり、一般財源、環境税などに組み入れる案に政府が反対している背景には上記のようなとんでもない陰謀があったことになる。 結局、政府は「暫定税率」問題、「高速料金プール制」問題に加え「道路特定財源」の実質高速道路の財源化、すなわちひとつは高規格道路への投入、そして最後は国土幹線道への道路特定財源の投入と、まさにやりたい放題をしようとしている。 他方、従来の「道路特定財源の使途」で分かったことは、自治体の不要なハコモノや国土官僚の天下り先への投入など、トンデモの目に余る物ばかりだ。 道路は公共事業天国日本のなかでダントツの一位の金食い虫、無駄遣いであって、単なるガソリン税の暫定税率問題に矮小化されてならない。 つづく |