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敢然と東九州道の

路線変更に挑む農園主G

〜欺瞞に満ちた政府・与党の道路特定財源案〜

青山貞一
東京都市大学名誉教授

掲載日:2008年2月16日

転載禁

青山貞一:敢然と東九州道の路線変更に挑む農園主
@道路局は現代の「関東軍」か H土地を売らないの仮処分を提起
A民営化で進む高速道 I現地住民集会開催
B地場産業と環境を破壊する高速道 J行訴第10準備書面
C代替ルートの政策提案 Kルート変更求め集会
D総事業費の比較 東九州道、事業認定事前差止訴訟提起
E岡本氏と櫻井よし子氏 L事業認定差止訴状
F国会で大いに議論を! M第一準備書面全文
G欺瞞に満ちた道路特定財源案 N国土交通省ヒヤリング
H土地を売らないの仮処分を提起 O国土交通省との直接交渉

 2月14日、民主党政策調査会副会長の福山哲郎議員のところに弁護士らと一緒におじゃました。東九州自動車道問題で。

 そのとき、私たちに福山議員が怒って提示したのが以下の政府・与党による「道路特定財源の見直しについて」である。

 現在、国会で大騒ぎとなっている道路特定財源だが、問題の本質は当然のことだが、ガソリン税問題だけじゃない。

 政府与党は、昨年12月7日、以下の「道路特定財源の見直しについて」を出した。冬柴大臣が従来の高速道路9342kmを高規格道路を含め14000kmとする部分が問題となったが、そこには実はさらにトンデモない内容が含まれていた。

 とくに2.にある「道路特定財源を活用して2.5兆円の範囲内で債務を国が継承する。」というくだりだ。

 今まで料金収入をプールしつくるとしてきた高速道路事業に、国が債務を継承するという名の下に、何と毎年、2.5兆円もの道路特定財源を投入することになっている。まさに、ここでも国民を欺き、騙すトンデモない内容だ。

 これは旧道路公団などの累積債務を国民、消費者に全面転嫁するもので、料金収入のプール制同様、なし崩し的に旧道路公団が抱える巨額のツケ、借金(累積債務)を一方的に国民に回すものであり、まさにこれこそ国土交通省が「関東軍」たる理由のひとつだ。

 もし、上記が強行されれば、すなわち衆院で2/3以上の議席を持つ自民・公明が上記に関する法案を強行採決し、再議で法案を可決すれば、まさに現在凍結、中止されている高速道路がなし崩し的に建設再開されることになる。今のままではその可能性が高い。

 こんな省庁が白昼堂々と闊歩している限り、日本はいつになっても民主国家になれない。それを追認し続ける政府・与党も同じだ。自民・公明はどこまで日本を悪くすれば気がすむのか!

 冬柴大臣が役人が書いた文章を目をしたにして粛々と読む姿は、日本の末路を示している。
 
 いずれにせよ、この役所(国土交通省)を放置している限り、日本の将来はないことを私たちは肝に銘じなければならない。

 北朝鮮を嗤えない官僚社会主義の暴走組織(=現代の「関東軍」)、それが国土交通省である!


           道路特定財源の見直しについて

                         平成19年12月7日
                         政府・与党

 昨年末の「道路特定財源の見直しに関する具体策」に基づき、以下の措置を講じることとし、関連法案を次期通常国会に提出する。

1.真に必要な道路整備の計画的な推進

1)中期計画の策定および推進

 @国際競争力の強化、地域の活性化、安全・安心の確保、環境の保全と
   豊かな生活環境の創造といった政策課題に対応するため、今後10年
   間を見据えた道路の中期計画を策定し、真に必要な道路整備は計画
   的に進める。
 A計画の推進に当たっては、厳格な事業評価や徹底したコスト縮減により
   重点化、効率化を図るとともに、道路に関連する施策の実施や高速道路
   料金の引き下げ等を効果的に活用する。
 B中期計画の事業量は、59兆円を上回らないものとする。
 C中期計画は、今後の社会経済情勢の変化や財政事情等を勘案しつつ、
   5年後を目処として、必要に応じ、所要の見直しを行う。

2)地域の道路整備の促進

 地域間格差への対応や生活者重視の視点から、地方の自主性にも配慮しつつ、地域のニーズを踏まえた、真に必要な道路整備を促進する。特に、

 @地方道路整備臨時交付金の制度改善(対象の拡大および財政状況
   に応じた交付率の引き上げ)
 A道路整備に関する地方の財政負担の軽減を図るための臨時措置(5
   年間、総額5000億円規模)として、無利子貸付制度の創設(償還時
   に国債整理基金特別会計に繰り入れ)

を行う。

2.既存高速道路ネットワークの有効活用・機能強化

 地域の活性化、物流の効率化、都市部の深刻な渋滞の解消、地球温暖化対策等の政策課題に対応する観点から、高速道路料金の引き下げ、スマートIC(インターチェンジ)の増設など既存高速道路ネットワークの有効活用・機能強化策を推進する。

 このため、地方公共団体との連携を図るとともに、道路関係四公団民営化の趣旨を踏まえ、高速道路会社においてコスト縮減など更なる経営合理化に取り組むことによる追加的な措置の実施と併せて、国の道路特定財源を活用して2.5兆円の範囲内で債務を国が継承する。

3.道路特定財源制度の見直し

 揮発油税の税収等の全額を、毎年度の予算において道路整備に充てることを義務づけている道路整備費の財源等の特例に関する法律第3条の規定を改める。 また、毎年度の予算において、道路歳出を上回る税収については、環境対策等の政策課題への対応も考慮して、納税者の理解の得られる歳出の範囲内で、一般財源として活用する。

 なお、厳しい財政事情を勘案し、平成20年度予算において、納税者の理解の得られる歳出の範囲内で、平成19年度を上回る額を一般財源として活用する。

4.税率水準の維持

 国および地方の道路特定財源については、上記措置を着実に進める必要性および、厳しい財政事情や環境面への影響にも配慮し、20年度以降10年間、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する。

 なお、1.1)Cの見直しを踏まえ、道路整備の状況等を勘案し、必要に応じ、所用の検討を加えることとする。

 また、自動車関係諸税については、税制の簡素化が必要との指摘もあり、今後の抜本的な税制改革に亜wせ、道路の整備条項、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。

 平成13年12月19日の閣議決定「特殊法人等整理合理化計画(抄)」には次のように記載されている。

 今回の政府与党の提案は、以下の閣議決定の(2)事業のところに記載されている@からDと大きく矛盾することは言うまでもない。国民を愚弄するにもほどがある。


U各種特殊法人等の事業および組織形態について講ずべき措置

(1)特殊法人

<公団> 日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国道
     路橋公団

<事業について講ずべき措置>

 日本道路公団等四公団は廃止することとし、四公団に代わる新たな組織、お
よびその採算性の確保については、以下の基本方針の下、内閣におく「第三者
機関」において一体として検討し、その具体的内容を平成14年中にまとめる。

1.日本道路公団

(1)組織 −略−
(2)事業
 @国費は、平成14年度以降、投入しない。
 A事業コストは規格の見直し、競争の導入などにより引き下げを図る。
 B現行料金を前提とする償還期間は、50年を上限としてコスト引き
   下げ効果などを反映させ、その短縮を目指す。
 C新たな組織により建設する路線は、直近の道路需要、今後の経済
   情勢を織り込んだ費用対効果分析を徹底して行い、優先順位を
   決定する。
 Dその他の路線の建設、たとえば、直轄方式による建設は毎年度の
   予算編成で検討する。

2.首都高速道路公団・阪神高速道路公団

 日本道路公団と同時に、同様の民営化を行う。なお、国・地方の役割分担の下、適切な費用負担を行う。

3.本州四国道路橋公団

 日本道路公団と同時に、同様の民営化を行う。なお、債務は、確実な償還を行うため、国の道路予算、関係地方公共団体の負担において処理すること都市、道路料金の活用も検討する。


 つづく