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自然の中の日本の造形美

日光山・輪王寺

8. 大猷院
(全体概要)

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda


August 19 2016
Alternative Media E-wave Tokyo
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自然の中の日本の造形美  日光山・輪王寺
@全体概要   D天空回廊   H大猷院(仁王門) L大猷院(拝殿・本殿)
A歴史   E大護摩堂   I大猷院(二天門) M大猷院(皇嘉門)
B三仏堂   F大猷院(家光)   J大猷院(夜叉門)
C平成大修理   G大猷院(概要)   K大猷院(唐門)
歴代徳川将軍家家系 徳川歴代将軍の生誕・没年月日と将軍在位期間


徳川家の紋章  撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-11-12

 下は大猷院の全体構成と順路です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900   2016-8-19

以下はグーグルマップで見た大猷院です。


出典:グーグルマップ

◆大猷院(Taiyuuin Mausoleum) 国宝

 大猷院とは徳川三代将軍「家光公」の廟所(びょうしょ)(廟所=墓所)で、境内には世界遺産に登録された22件の国宝、重要文化財が建てられており、315基の灯籠(とうろう)も印象的です。

 祖父である「家康公」(東照宮)を凌いではならないという遺言により、金と黒を使用し重厚で落ち着いた造りになっています。

 入口の「仁王門」から「拝殿、本殿」までの道のりは、天上界に昇って行くような印象を受けます。

◆仁王門(Niou-mon)  重要文化財

 1つ目の門で、口を開いた「阿形(あぎょう)」と口を閉じた「吽形(うんぎょう)」2体の仁王像「金剛力士像(こんごうりきしぞう)」が安置されています。

 「阿吽の呼吸」はここから来ていると言われています。

 三代将軍徳川家光公が眠る廟所「奥の院」へは、石段を登るごとに次々と現れる特徴ある6つの門をたどり導かれます。

 木立の中、参拝の足を進めるごとに変わる景色はあたかも人間界から天上界へと登っていくような印象を受けます。

 初めにくぐるこの「仁王門」の左右には「金剛力士像」がまつられています。


出典:日光山輪王寺・公式Web


◆二天門(Niten-mon) 重要文化財

 仁王門を潜って左に折れると、大きな二天門を仰ぎ見ることが出来ます。

 重要文化財に指定され、楼門門下層正面左右に、持国天、広目天の二天を安置していることから二天門と呼ばれています。

 背面には風神・雷神が配置された均整の取れた美しいこの門は、上部分と下部分の彩色が著しく異なっており、日光の建造物では他に例がありません。

 世界遺産日光の境内で一番大きな門です。

 持国天(じこくてん)、広目天(こうもくてん)の二天を安置している事から二天門と呼ばれています。

 正面の扁額(へんがく)は、108代天皇「後水尾上皇(ごみずのおじょうこう)」による筆です。


出典:日光山輪王寺・公式Web


◆展望所(Tenbou-jyo)

 展望所から下を見ると、石灯籠がたくさん並んでいます。当時の大名からの献上品です。

 ここからの眺めは、天上界から下界(人の住む世界)を見下した風景を想像させます。


出典:日光山輪王寺・公式Web


◆夜叉門(Yasha-mon)   重要文化財

 二天門を潜り、続く石段を左手に曲がり見下ろすと、後にしてきた灯籠や水屋が見渡せます。

 ここからの眺めは天上界からの眺めにたとえられています。

 いよいよ聖域へと近づいてきました。次は霊廟への最初の入り口となる夜叉門です。切り妻造りで、正背面に軒唐破風を付けた低平な落ち着いた造りながら、鮮やかな彩色が目を引く華やかな門です。

 正面、背面の左右柵内に「毘陀羅(びだら)」「阿跋摩羅(あばつまら)」「ケン陀羅(けんだら)」「烏摩勒伽(うまろきゃ)」の「四夜叉」を納め、霊廟の鎮護に当たっています。

 欄間、扉の羽目板部分、壁面などに流麗な牡丹唐草彫刻が施されていることから、牡丹門とも呼ばれています。


出典:日光山輪王寺・公式Web


◆唐門 (Kara-mon)    重要文化財

 夜叉門を潜り拝殿の前、大猷院の中心に位置するのがこの唐門です。

 その名のように唐破風を持つ、一間一戸の小規模な門ですが、隅々まで繊細な彫刻と金、白を基調とした彩色が施されており、その意匠装飾は大変気品のあるものです。

 柱や貫・梁には七宝・麻の葉などの細かい地模様が彫られ、扉には上に鳳凰、下に唐草、前後の破風の下には雄雌の双鶴と白竜などの彫刻で余すところ無く、美しく装飾されています。

 両側の袖塀の羽目には多くの鳩が彫られ、百間百態の群鳩とされています。


出典:日光山輪王寺・公式Web


拝殿・相の間・本殿 (Haiden・Ainoma・Honden)  国宝

 大猷院の中心伽藍で、拝殿・相の間(あいのま)・本殿から構成されています。

 大猷院の中心となる建物で、拝殿・相の間・本殿と連なる独特な建造物の構造を【権現造り(ごんげんづくり)】と言います。

 この建物は国宝に指定されており、たくさんの金彩が使われているので、別名【金閣殿(きんかくでん)】と呼ばれています。

 内部には、狩野探幽(かのうたんゆう)の描いた唐獅子、天井には140枚の龍の絵、家光公が着用した鎧などがあります。

 拝殿は、東照宮の権現作りをそのまま生かし、規模は小さくとも細部の技法に力を尽くした造りとなっています。

 東照宮が「権現造り」を中心とした神仏習合形式であるのに対し、大猷院廟は「仏殿造り」の純仏教形式となっています。

 なお、拝殿の内部は細部に至るまで金箔が施され、文字通り金箔玉楼となっています。

寺院は本尊が南を向くのが定式で、家康公の御廟である東照宮もそのような造りになっています。ところが大猷院の本殿は東北(鬼門)を向いているのです。

 これは家光公が「死して後も朝夕東照大権現(家康公)の側でお仕え奉る」と遺言し、御廟も東照宮の方へ向けてあるからなのだといわれています。

それでは大猷院のご本尊はどちら向きかといいますと、本殿の奥壁の裏に実はもう一つ部屋が設けてあり、そこに釈迦三尊画像が後ろ向き(南面)に掛けられています。定式と遺言のどちらにも沿う妙案と言えるでしょう。

(宝ものがたり/輪王寺刊 より)

 拝殿に続く本殿の最奥部、「厨子(御宮殿/ごくうでん)の中には、今回宝物殿で初公開中の「家光公座像」と「御位牌」が、又その前後には、家光公の本地「釈迦如来」(非公開)が奉安されています。

 この建物を「廟(びょう)」といい、参り墓を意味し、一般の方々の正式な参拝所となります。金・黒、赤の彩色をくまなく施された外観は、別名「金閣殿」の呼び名があるほど豪華で、江戸芸術の極みを示しています。


出典:日光山輪王寺・公式Web


◆皇嘉門(Kouka-mon)   重要文化財

 奥の院の入り口に当たる門は、明朝様式の竜宮造りで、別名【竜宮門】と呼ばれています。

 この門の先に、家光公のお墓所があります。


 本殿の後ろ、大猷院の最も奥に位置する家光公の御廟へは、この「皇嘉門」から入ります。

 中国、明朝の建築様式を取り入れたその形から、一名「竜宮門」とも呼ばれてる美しい建物です。門を潜るときに見上げると、天上には「天女の画像」が描かれており、これから先が家光公の御霊を奉る聖域であることを象徴しています。

 門の名前は、「陽明門」と同じく宮中の門の名を戴いています。

<注意>
 「350年目の初公開」(「奥の院」徳川家光公墓所の公開)は終了しており、現在、この「皇嘉門」までの参拝となります。


出典:日光山輪王寺・公式Web

 以上の主な出典は日光山輪王寺・公式Webです。


つづく