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温故知新:秩父事件
第3のルートで群馬から長野へ

青山貞一・池田こみち
掲載日: 2012年12月26日
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁
温故知新・秩父事件 2012.12.20-22
@長野から参戦した人々 C長野から参戦ルート
A佐久における困民軍と政府軍の衝突 D第3のルートで群馬から長野へ
B小海町「東馬流」の古戦場 E南相木村と北相木村

 2012年12月21日金曜日、晴れ。

 私達は、午前9時少し前に宿泊先の埼玉県皆野町をトヨタのアクア(小型ハイブリッド車)で出発した。

 皆野町から一旦南に下り秩父市を経由して国道299号線を走ると、まもなく小鹿野町に入る。小鹿野町は「花と歌舞伎のまち」とある。


現在の秩父。舞台となったのは旧吉田町(現在は市町村合併で秩父市の一部)

 地方歌舞伎といえば、つい最近東京都市大学の授業で野田香里さん(映画監督)に特別講義をしてもらった群馬県旧渋川村上三原田の地方歌舞伎を思い出す。

 野田さんが特別講義で話されていたように、江戸時代には日本全国に1500箇所を超える地方歌舞伎の舞台があったというが、小鹿野町にもその地方歌舞伎が今なお残っているのであろうか。


小鹿野町の風景
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 調べてみると、確かに今なお小鹿野歌舞伎があった。

 ※小鹿野歌舞伎


出典:小鹿野町郷土芸能祭(小鹿野文化センター

 国道299号線を埼玉県小鹿野町をひたすら西に向かうと、中山間地にある群馬県神流町(かんなまち)に入った。そして299号線沿道に、下の写真にあるように<恐竜の足跡>という看板が目に入った。

 何でも、小鹿野町から神流町にかけて、恐竜の骨が多数発掘されており、おがの化石館神流町恐竜センターもあるという。これには驚いた。

神流町の299号線沿道にあった恐竜の足跡の看板
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は、299号線沿道にあった恐竜の足跡?である。


神流町の299号線沿道にあった恐竜の足跡
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8











長野県(信州) 群馬県(上州) 埼玉県(武州の一部)
出典:マピオン


秩父事件関係略図。出典:椋神社境内の看板
撮影:青山貞一 Nikon Digital Camera Cool Pix S

 群馬県神流町をしばらく西に向かうと、群馬県最南西部の上野村に入った。上野町は中山間地の林業と木工細工のまちである。



 この上野村を一躍全国的に有名なまちとしたのは、言うまでもなく日航機が上野町の御巣鷹山近くに墜落し、400名を超す犠牲者を出した事故である。事実、上野村の南端近くに御巣鷹山があるが、日航機はそれより少し北の斜面に墜落している。当時の上野村長が、その場所を「御巣鷹の尾根」と呼んだのをきっかけに、その後、多くの遺族らが上野村の「御巣鷹の尾根」を訪問し、慰霊している。


日光奇異墜落現場の御巣鷹の尾根の麓にある昇魂之碑
出典:Wikipedia

 この長野県と群馬県の県境地域は、下の3次元地形図を見れば分かるように、急峻な山脈が連なっていて、道路で群馬から長野、長野から群馬に行くのは、厳しいことが容易に分かる。


日航機が墜落した現場、御巣鷹の尾根の想定図


出典:慰霊の園公式Web

 私達は上野村の道の駅でいっぷくすることにした。


上野村の道の駅
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 上野町から長野県佐久へ行く道を聞くべく下の写真にある道の駅の観光案内所に行ったが、誰もいない。


上野村の道の駅
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 そこで、時間があるので、御巣鷹の尾根の登山口もある
ぶどう峠のルート(@のルート)から順次ひとつひとつトライして見ることにした!


別の角度から見た試みた3つのルート
(@ぶどう峠ルート、A十石峠ルート、B南牧村ルート)。

 最初に向かったのは、下の地図のぶどう峠から長野県佐久郡小海町に向かうルート(@のルート、一般県道上野小海線)である。


出典:慰霊の園公式Web


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 このルートの途中に南に向かう御巣鷹の尾根の登山口がある。

 この日はこの冬で一番気温が低く、上野村では道の駅はじめ大部分の場所で人気がなかったが、登山口周辺に人影があった。おそらく御巣鷹の尾根に追悼に行く遺族らであろう!


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 私達は、ぶどう峠近くまで一般県道上野小海線を走行した。


動画撮影:青山貞一 Yashika 1025HD 2012-12-21

 しかし、予想したとおり、途中で以下の看板があった。

 12月12日より春の4月17日まで通行止めとなっていることが分かった!


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 そこで上野町の以下の分岐点まで戻り、佐久から秩父事件に参戦した人々が行き来した十石峠がある国道299号線の
十石峠ルート(Aのルート)をトライする。

 しかし、すぐに冬期間通行止めとなっていることが分かった。もう10日前なら十石峠を車で通れたので残念至極だ。


別の角度から見た試みた3つのルート
(@ぶどう峠ルート、A十石峠ルート、B南牧村ルート)。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 このように、@ルート、Aルートはともに冬期通行止めであることを現地で確認した後、私達は、この地域を陸路で群馬から長野に向かう
第三の南牧村ルート(Bのルート)にトライすることにした。


別の角度から見た試みた3つのルート
(@ぶどう峠ルート、A十石峠ルート、B南牧村ルート)。
 

上野村で試みた3つのルート。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 南牧村のルートは、想像を超え厳しいルートであった。まずは県道45号線に入り、途中から南牧川沿いを走る県道93号線で佐久方面に向かうのだが、道は林道で山あり、谷あり、尾根あり、さらにヘアピンカーブの連続だった。

 県道93号線沿いは、まさに世に言う限界集落の連続であった。

 下の写真はその一部、群馬県南牧村と長野県佐久郡旧臼田町の境界線上の長野よりにある
馬坂地区である。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


限界集落 馬坂。ちょうど群馬と長野の県境近くにある。
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 馬坂集落は以下のブログにあるように、長野と群馬の境界線上、さらに飛び地のような存在とも書いてある。

 http://www.ichiro-ichie.com/03nkanto/gunma/masaka/masaka01.html


限界集落 馬坂。ちょうど群馬と長野の県境近くにある。
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

◆馬 坂 Masaka

 群馬県側は<間坂>長野県側は<馬坂>と表記、どちらも “まさかっ!!”…と発音する(笑)。馬坂川の北側が長野、南側が群馬。主に陽当たりの好い長野側に家屋が並んでいるが、更に長野側の広河原より群馬側は通学をはじめ生活圏は群馬側だった。

 現在では長野より週に1回 食品や生活用品を販売しに来るそう。川沿いの家々の2階からは川の流れがほど近く、まるで “渓谷の宿”でくつろいで居るかの様な錯覚に。

 群馬側の間坂集落は羽沢に属するが県境の限界集落にして、語感が気に入っているので独立させた。 1893(明治26)6月 南佐久郡臼田村が町制を施行し臼田町となる。

 1956(昭和31)?1957年、臼田町と田口青沼村の合併で臼田町となり、2005(平成17)4月、佐久市・北佐久郡浅科村(五郎兵衛新田所在地)・望月町・南佐久郡臼田町の合併により、佐久市となる。


出典:http://nanmoku.net/tail_zawa/masaka/


限界集落 馬坂。ちょうど群馬と長野の県境近くにある。
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

◆限界集落

過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になって冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になっている集落を指す、日本における概念。

 中山間地域や離島を中心に、過疎化・高齢化の進行で急速に増えてきている。このような状態となった集落では集落の自治、生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされている。

 共同体として生きてゆくための「限界」として表現されている。「限界集落」にはもはや就学児童など未成年者の世代が存在せず、独居老人やその予備軍のみが残っている集落が多く病身者も少なくないという。

出典:Wikipedia


限界集落 馬坂
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下の地図は、群馬県南牧村から長野県佐久郡に入った直後にある「狭岩峡」から田口峠に向かう途中の林道ルートだが、林道はいくつものつづら折り、というより腸捻転のようにぐちゃぐちゃに曲がりくねっており、運転も容易ではなかった。


県道93号線の長野県佐久郡旧臼田町部分
腸捻転のように道がくねくねとなっていることが地図上からも分かる
出典:グーグルマップ

 下は、上の地図の最下部にある狭岩峡の掲示板である。この地域は、妙義荒船佐久高原国定公園の内部にある。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は長野県佐久郡旧臼田町にあった雨川砂防ダム。


群馬県南牧村の雨川砂防ダム
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 やっとのことで、南牧村から長野県内の臼田町に入る。ただし、妙義荒船佐久高原国定公園の内部にあり以下のような看板がある。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 そうこうしているうちに、見慣れた風景に出会う。雪を頂く浅間山の勇姿である。


長野県佐久市からみた雪を頂く浅間山の勇姿
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


つづく