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◆ドイツにおける再生可能エネルギー(RE) 研究開発の拠点としてのラインラント=プファルツ州 ドイツの脱原発は長足の進歩を遂げているが、ラインラント=プファルツ州では、すでに全エネルギー需要の過半を再生可能エネが占めており、60%の家庭、世帯でバイオガスの利用とそれを使ったバイオガス発電が普及している。そして後述するように2030年までに全電気エネルギー需要を再生可能エネルギーでまかなうための研究も全ドイツ、EU諸国に先駆けて行われているという。 全需要の過半を再生エネが占めていることについては、すでにドイツ全体でも実現しているが、それにともない先月下旬に、再生可能エネルギー優先法(略称: 再生可能エネルギー法、EEG)が改正されており、再生可能電力の増加で、電力の取引市場での価格が大きく低下している。 その結果、原発中心のフランスのKW当たりの電力料金よりも、ドイツの電力料金が安くなっているなど、当初の計画目標を遙かに超え再生可能エネが連邦全体、また州政府、基礎自治体に浸透しているようだ。 ※再生可能エネルギー優先法の改正 ※フランスなどより安いドイツの電気料金 以下のドイツ国内の大規模風力発電の立地分布図を見ると、ラインラント=プファルツ州はそれほど多いように見えないが、実はこの分布図は2011年時点の図であり、2011年以降、ラインラント=プファルツ州で風力発電の立地が増加している。 ドイツ国内の大規模風力発電の立地分布図 出典:Wikipedia 以下はやはり2011年時点での風力発電のタービン数と設備容量である。タービン数、設備容量で16州で7位となっている。
以下のグラフは2012年までのドイツにおける風力発電の設備容量(赤色)と平均発電量(灰)である。設備容量はまさにうなぎ登りであることが分かる。 出典:Wikipedia 以下に州内の各種再生可能エネルギー(RE)の開発利用状況についてのパワーポイントから主なものを示す。 ラインラント=プファルツ州の再生可能エネルギー政策 以下は2030年時点で再生可能100%達成シナリオである。全エネルギー消費の70%を風力、24%を太陽光発電、水力が4%、バイオマスが5%、地熱が1%となっており、風力発電が全体の70%を占めている。ただし、このスライドは2011年時点の実績をもとにまとめられている。3.11以降、レムケさんが大臣となり、一段とREの研究開発が進んでいることを念頭にご覧いただきたい。 2030年時点で再生可能100%達成シナリオ 下は、州全体の風力発電タービン数の2009年〜2011年までの推移である。2011〜2013のデータがあれば、その後も順調に増加していることがわかるはずである。 州全体の風力発電タービン数の2009年〜2011年までの推移 風力発電タービンの設置例 なお、州の再生可能エネルギー、とりわけ風力発電については、以下の現地視察ブログに詳しく情報提供されている。 ※滝川薫:内陸風力のメッカ、ラインラント=プファルツ州へ! ところで、ラインラント=プファルツ州には1100基を超す風力発電がすでに立地されているので、風力発電があるライン川流域の写真を掲載しようと、私がいつも使用しているトリップアドバイザーにある写真のデータベースを検索した。ラインラント=プファルツ関連で660枚の写真があったが、何と風力発電が景色の中に写っている写真はついぞ1枚もなかったのである。 おそらくこれは、景観保全について世界一厳しいドイツでは、歴史的建造物や旧市街の背景に風力発電が見えないことがガイドライン化されているからではないかと思った。事実確認にはしていないので断言できないが、間違いないと思う。 州内の太陽エネルギーマップ分布図 州内のメガソーラー例 州内の太陽光発電設備容量 州内バイオマス利用(地区内熱利用ネットワーク) 州内バイオマス利用(地区内熱利用ネットワーク) 州内のバイオマス利用の各種数値 州内のバイオマス利用 州内での地熱利用についてのイメージであるが、地熱は明確にベースロードと位置づけられている。 州内での地熱利用 ◆2030年までにすべてを再生可能エネルギーでまなかうための野心的試み 以下は2030年までに100%の再生可能エネルギー(RE:Renewable Energy)供給を目指すラインラント=プファルツ州の野心的ネルギー戦略についての技術的、システム的側面についての情報である。 電力需要の100%をREで供給するというラインラント=プファルツ州の試みでは、当然のことながら電力需要供給バランス、負荷変動への対応、電力蓄電などの技術だけでなく法的枠組にも新たな枠組が必要となる。ラインラント=プファルツ州では、敢えてその難題に先進国で最初に取り組んでいるのである。
ところで、ラインラント・プファルツ州には原子炉が1基あったはずだ。これについて、ドイツのベルリン在住の知人から以下のメールが届いたので以下に紹介する。
なお、ラインラント=プファルツ州エネルギー庁の公式ホームページは、以下をご覧いただきたい。 ラインラント=プファルツ州エネルギー庁 http://www.energieagentur.rlp.de/ つづく 下は使節団にいただいたラインラント=プファルツ州エネルギー庁の資料の表紙である。 |