エントランスへはここをクリック   


Fソレント半島西南端の浜辺、
カントーネ
Cantone at West End of Sorrent Peninsla
青山貞一 Teiichi Aoyama

2008年3月8日 転載禁
青山貞一 南イタリア短紀行  ソレント
@ソレントでフェラーリ
Aソレントから見たヴェスヴィオ
Bソレントの夕日
Cサンタニェーロからソレントへ
D秀逸なソレントの伝統工芸
Eソレントの歴史文化魅力の源泉
Fソレント半島西端のカントーネ

●2008年2月24日(日)終日


 
サンタニェーロのB&Bで朝食をすませた後、ソレントまで歩き、ソレント駅から路線バスでマッサ・ルブレンセ(Massa Lubrense)、アガタ(Agata)経由でネラーノ(Nerano)に行った。

 前日、B&Bの人にソレント半島の突端に行きたいといったら2つの案を提案されていた。

 そのうちのひとつが
カントーネ(Cantone)だった。調べるとソレントからカントーネ行きの路線バスがあった。が、休日は2〜3時間に一本しかない。

 一方、ネラーノまでなら休日でも1時間に一本はある。ネラーノでバスを下りてカントーネまで歩いたらと提案された。
 
 下の平面図では分からないが、グーグルの立体地図で見ると、ソレント半島の突端には非常に険しい、まさにモンテネグロ(黒い山)が刃物の先のようにとんがっていることが分かる。


マリーナ・デル・カントーネの位置


 到底、その山は上れないが、ネラーノはその険しい高い山の麓にある。

 それならとソレント駅の路線バス停に向かう。

 バス停には、先にドイツ人夫妻の観光客がいて、私にイロイロと話しかけてくる。いわく「イタリア人は実に不親切で、サービス精神が皆無だ」など。

 確かに今回のイタリア旅行でも、強くそれを感じていたので、「ヤァ」(=yes)と言うと、夫妻とも喜んでいる。かなり酷い目に遭っているようだ。


 
私が宿泊しているB&Bは一泊いくらか、サービスはどうかなど、次々に聞いてくる。教えるとソレントのホテルから移りたい様子だ。

 実は相当旅慣れていても、今のイタリアの旅行は容易ではない。

 ローマなど超観光地では物価が異常に高い。スリ、窃盗がウヨウヨいる。空港の両替屋でさえ、1万円出して45ユーロしか返ってこない。

 すなわち1ユーロが200円以上になる。レストランでもとぼけておつりをごまかす。文句を言わないと、おつりを出さない店すらある。

 ローマではまずい和食、それもランチで2000円以上もとる。バス停に時間通り待っていたのに、先にバスが出ていた、などなど。言い出したらきりがない。

 ただ、南イタリアはローマなどの大都市に比べれば格段に問題は少ない。

 サービスもそこそこよい。ただ、日本社会やドイツで当たり前のことがこの地では当たり前でないことだけは頭に入れておかないと、それだけで頭に血がのぼって、旅行どころではなくなる。


 ......

 
ドイツ人夫妻はすでに何度もソレント半島に来ている。

 アマルフィ(Amalfi)、ポジターノ(Positano)などアマルフィ海岸の要所は、前回に来ていて、今回はソレントや半島の先っぽに行ってみたいという。どこに行くのかと聞けば、マッサ・ルブレンセ経由でテルミニというバス停まで行き、そこから先は半島の海岸線まで歩くという。

 SITAの路線バスは、1.1ユーロで70分間どこにでも行ける。結局、ネラーノまで以下の1.1ユーロでOKだった。

 切符はあらかじめ駅の売店、タバッキ(タバコ屋)などで買っておく。イタリアの場合、電車、列車もそうだが、車内やプラットホームで切符を買うと、0.5〜1ユーロ高くなることから要注意だ。

 ということで、途中までご一緒した。

 負債は興奮冷めやらずで、バスの一番前に座り、イタリア人の
不親切で、サービス精神のなさの具体的な事例を話す。大部分うなずける内容だ。

 私は「イタリア、とくにローマなどの超一級の観光地は、何もサービスしなくとも町中世界遺産、黙っていたも世界中から人が集まる。

 それに甘えてか、図に乗ってサービスなどしなくなったのではないか」と話す。


 走行しているうちに、ドイツ人夫妻が下車する。バスはつづら折りの細い山道をさらに半島の先へと進む。次第に険しい黒い山が近づいてくる。
通常のバス切符1.1ユーロ


ソレント半島の突端に近いカントーネの位置
Google Earth により筆者が作成

 そうこうしているうちにネラーノのバス停に着いた。ここが終点である。

 上の立体図と下の写真を見れば分かるように、驚く事なかれ、ネラーノのまち全体が険しい黒い山の麓に張り付いている。

 日曜で教会帰りのおじさん、おばさんがいたのでカントーネにどうやって行けばよいか聞く。

 どうみても英語は話しそうもないので、
Donde es Cantone とイタリア語の兄弟分のスペイン語で聞くと、行き先を指で指してくれた。

 後で調べたらイタリア語だと、
Dove e Cantone? だったのでよく似ている。いずれにしても南側そして南側に山を下りてゆけば、おのずとカントーネに着くだろう。
 

ネラーノの町
撮影:青山貞一、デジカメ Nikon CoolPix S10

 ネラーノまで来たバス道の延長でカントーネまで行くバス路線がある。

 最初はバス道を歩いていたが、途中に近道らしい路地があった。下の写真にある路地をセッセと下りる。坂は勾配がきついところもあるが、なかなか秀逸な路地がつづく。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 下の写真は路地から見る黒い山だ。昨年でかけたクロアチアやモンテネグロで見た光景と非常に似ている。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10


撮影:Nikon CoolPix S10

 さらに路地を下ると、視界が開けた。

 何とまぁ立派な岩山ではないか!

 この南側斜面にはオレンジ、レモン、オリーブの木が沢山植えられている。アマルフィ(Amalfi)、ポジターノ(Positano)など、ソレント半島の南側斜面はローマ帝国の昔からオレンジ、レモン栽培が盛んであったという。悠久の時間が漂う。 


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 ショートカットの裏道を抜けるとバス路線の道に出た。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 さらにバス路線を少し進むと、下の看板にであった。ようこそカントーネへである。benvenuti は Weocome のイタリア語である。山を見る角度が少しずつ変わってくる。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 ここからさらに10分ほどバス道を下りると、やっとのことですばらしい海岸線が目の前に現れた。カントーネだ。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 ソレント半島の景色はどこもすばらしいが、こkも景観がすばらしい。絶景である。カントーネは夏は海水浴場として賑わうが、2月なので、ひともまばら。子供連れで日光浴に来ているイタリア人がほとんどだ。

 海岸の浜は砂ではなく、かなり大きな砂利、石である。

 日本で言う海の家が数軒あり、夏にはシャワー、更衣室、トイレ、パラソル、日光浴用のリクライニング椅子などを有料で貸すようになっているが、今は冬なので日光浴用のリクライニング椅子が借りれるようだ。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 カントーネは、イタリア語でMarina del Cantoneというだけあって、漁船やヨットなど小舟のためのマリーナもある。B&Bのひとが教えてくれたように、レストランも3軒ほどある。

 豪華リゾートホテルもあった。しかし、2月のこの季節はほとんど宿泊客もなく、なにしろのんびりだ。

 写真でとくと見て欲しいのは空の青さだ。残念ながら日本で写真を撮るとこの青さはでてこない。 


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 カントーネに限らず、ソレントでも海の水がなにしろ綺麗。小魚がよく見える。昨年行ったモンテネグロのヘルセグ・ノビの海の水もすごく透明度が高く、きれいだった。あれはアドリア海だが、ここはカントーネ、テレニア海だ。

 どちらも地中海に面している半閉鎖性の海だが、海に面するEU諸国でもこんなに綺麗な海はそう多くない。

 ソレントでもアマルフィ海岸でもそうだったが、波がすごく静かでカーム(静穏)だ。これは地中海の一部だからかどうか分からないが、アドリア海もそうだったが静かな海である。


撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10

 日曜祝日の場合は、カントーネまで来るバスは2〜3時間に一本しかない。もってきたB&Bのサンドイッチと水で昼食をとる。

 「ソレントでフェラーリ」に書くように、その後、バス停近くでポッカポカ陽気なこともあって、ついついうとうとと寝てしまった。


ソレント半島の突端にあるカントーネ海岸
撮影:青山貞一、デジカメ Nikon CoolPix S10

 この後、「ソレントでフェラーリ」の後半に続く。

 こんなのんびりした一日は10年に一度もないが、よいものだ。


◆南イタリア紀行:ソレントのブログはこれでおしまいです。
 ご覧いただきありがとうございます。南イタリア紀行には以下もあります。


南イタリア紀行:アマルフィ海岸

南イタリア紀行:ポンペイ・ブログ