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福島放射線測定現地調査
詳細報告
6月19日:
〜南相馬市の産廃施設視察〜
青山貞一  池田こみち 鷹取敦
東京都市大学青山研究室(横浜市都筑区)
環境総合研究所(東京都品川区)
掲載月日:2011年8月4日
独立系メディア E−wave
無断転載禁

2011年6月18日〜20日 福島放射線現地調査
◆福島原発事故、520カ所に及ぶ放射線測定調査(速報)
6月18日 6月19日 6月20日
調査の目的・方法など 二本松市から飯舘村へ 二本松市の知人宅訪問
宇都宮市から那須高原へ 南相馬市到着 二本松知人宅で測定
白河市から須賀川市へ 市長との議論、被災地視察 二本松市からいわき市へ
須賀川市から郡山市へ 南相馬市の被災市民との議論 広野町・楢葉町へ
郡山市から二本松市へ 南相馬産廃施設視察 いわき市被災地再訪問
福島市(福島大学・中心市街地)  「相馬野馬追」、相馬太田神社訪問   全測定結果(固定測定)
南相馬市南の警戒区域線上 測定結果(平均値)

◆南相馬市:大甕地区にある産廃処分場建設現場視察

 私たちは今から約10年前に発生し今なお続いている南相馬市原町の大甕地域における産廃処分場(焼却場)建設をめぐる紛争の現場を視察した。

 原町共栄クリーンの産廃処分場建設予定地は、下図の原町区の国道6号線より海側の大甕地区にある。


南相馬市全図
撮影:青山貞一

 繰り返しになるが、これが青山貞一はじめ環境総合研究所スタッフと櫻井勝延市長との接点になる。

 南相馬市の海浜部で現地視察をしていると、市長から青山の携帯に電話が入り、取材が一段落したので、これから私たちがいる現場に来るという。

 そうこうしているうちに市長が現場に来た。

 宮澤賢治を尊敬し岩手大学農学部に入り、永年にわたり酪農、農業をしてきた櫻井さんが政治家にならざるを得なかったのは、この産廃処分場問題が原点である。

 紛争は産廃処分場の立地問題、環境問題だけでなく暴力団がらみで産廃業者間での利権配分も絡んでおり、まさにぐちゃぐちゃになっている。すでに20件近い訴訟合戦となっている(坂本博之弁護士)。

 下は2年前に撮影した現地の写真だが、現在は見る影もない。江戸時代から続くため池も堤防も破壊されつくしていた。 

http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col18198.htm


2009年時点の南相馬市大甕地区の産廃処分場建設予定地
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 2009.12


現地調査時の南相馬市大甕地区の産廃処分場建設
動画撮影:青山貞一


現地調査時の南相馬市大甕地区の産廃処分場建設
動画撮影:青山貞一


2009年時点の南相馬市大甕地区の産廃処分場建設予定地
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 2009.12


2009年時点の南相馬市大甕地区の産廃処分場建設予定地
グーグルマップの衛星画像で見た南相馬市原町地区
右側は太平洋


 下は今回撮影した写真。ため池も堤防も破壊されつくしていた。 

http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col18198.htm


2011年6月時点の南相馬市大甕地区の産廃処分場の建設現場
撮影:鷹取敦

 しかし、この産廃紛争が10年以上起きている地域も国が定めた福島原発から20km圏の警戒区域に含まれている。皮肉なことだが、それで永年続いている紛争も実質凍結状態になっている。
 
 下の写真は警戒区域の立入禁止看板。この先に産廃処分場の建設地がある。


大甕の産廃処分場が含まれる警戒区域の立入禁止看板
撮影:鷹取敦

 産廃処分場建設地の放射線量は、0.39μシーベルト/hと警戒区域でありながら低い。


大甕の産廃処分場近くの警戒区域立入禁止看板近くの放射線量
撮影:鷹取敦

http://www.ustream.tv/recorded/15290025

◆青山貞一:福島県浜通り(南相馬市原町地区)に残された秀逸な歴史的風景が危機に貧しています

 櫻井市長も市長、議員になる前からこの問題に住民運動のリーダーとして尽力されているが、その現場に住民団体のひとり、斉藤さんにご案内いただき、現地を視察した。


南相馬市大甕の産廃処分場建設現場視察
左から地元住民、青山貞一、池田こみち(左)
撮影:鷹取 敦

暴力団も関与の産廃処分場建設で、時の人、桜井勝延南相馬市長が窮地に
筆者 - 瀬川牧子  2011年 5月 23日(月曜日) 06:00

 江戸時代に作られた「ため池」と里山が織り成す美しい農村風景が広がる福島県南相馬市原町区大甕(おおみか)。その昔ながらの自然景観を残す地区で、桜井勝延市長(55歳)を筆頭とする住民らは、現在、差し迫っている放射能の恐怖の中、地元の産業廃棄物処分場建設に反対し、裁判を通じて暴力団の影と戦い続けている。

 11年前、桜井市長の大甕の自宅から約1キロ離れた場所(福島第1原子力発電所から約20キロ北方で、4月22日に立ち入り禁止の警戒区域に指定された付近)で、ゴミ処理業者の「原町共栄クリーン」が首都圏からのゴミを焼却する産廃処分場を建設することを決定した。

 「産廃から命と環境を守る市民の会」の大留隆雄会長(73歳)は、「法律で定められた15品目を焼却する予定だった。にもかかわらず、医療廃棄物やインフルエンザにかかった家畜の死骸なども持ってこようとした。放射能以外は何でも」と話す。

 産廃処分場建設を巡り、これまで住民と業者との間で、20件以上もの訴訟がくり広げられている。

 「産廃処分場が完成すれば、業者は約500億円の収益をあげると予測されている。だから、業者は絶対に建設をあきらめたくない。それにしても、ここまで泥沼の戦いになるとは思わなかった」(大留会長)

 5月13日、記者は産廃処分場の建設現場を視察した。すぐ隣には農業用貯水池があり、周辺にはビニールハウスや畑が広がっている。その先には住宅地も見える。環境的な配慮がされていないことに言葉を失った。

 長年、福島県の産廃問題にかかわってきた東京都市大学環境情報学部の青山貞一教授は、自分自身が運営する独立系メディア『E-wave Tokyo』で、こう記載している。

 「もし、一度でも現地に足を運んでいれば、県が安易に下した設置許可がいかに人格権や環境権を踏みにじる暴挙か、がわかるというものである」 青山教授は4カ月間かけて、産廃処分場が建設された場合、焼却炉から飛散するダイオキシンや重金属などで、どのように大気が汚染されるか、3次元流体シミュレーションを行ったという。

 環境問題に加え、業者の株式の所有を巡り、暴力団がかかわっていることが関
係裁判で明らかにされた。住民らの代理人、広田次男弁護士は「最初は稲川会、
次に山口組、そして住吉会と暴力団のオンパレード」と言う。

 大留会長は就任時、周囲から「暴力団に刺されたり、拉致されたりするのではないか」と心配されたという。幸い、そのような直接的な暴力はないものの、無言電話が頻繁にかかってきたり、大留会長を誹謗中傷するポスターが貼られたりするという。

 斉藤文子さん(60歳)は目に涙を浮かべながら、「私は気管支が弱く、ぜん息持ちなので、ここに産廃処分場ができたら、出ていくしかない。自分の生活を守るため、怖いけど、反対しています」と話してくれた。

 ここで忘れてはならないのは、原発も産廃処分場も、大都市、大企業が過疎地の住民から搾取する構図であることだ。青山教授は『E-wave Tokyo』で、「東北地方は、永年にわたって東京など大都市で発生し、あるいは燃やされた『産廃』が最終的処分される場所となっています」と指摘する。


南相馬市大甕の産廃処分場建設現場視察
左から池田こみち、青山貞一、地域住民(斉藤さん)
撮影:鷹取 

つづく