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岩手県 歴史短訪
G毛越寺を歩く(後編)
青山貞一   池田こみち
掲載月日:2011年8月29日
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◆岩手県歴史短訪 世界遺産になった中尊寺
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 @はじめに苦言を少々
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 A中尊寺を歩く
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 Bそして金色堂に
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 C金色堂覆堂とその周辺
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 D白山神社ととその周辺
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 E平泉文化と毛越寺
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 F毛越寺を歩く(前編)
歴史短訪・中尊寺/毛越寺 G毛越寺を歩く(後編)

●しばし毛越寺の庭園を歩く


毛越寺の伽藍復元図
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 次は講堂跡である。

 本尊は胎金両部大日如来。仏法を説き仏法を聴く堂舎であった。また灌頂という密教儀式を行う奥羽の灌室であったという。正面5間19.1m、側面4間15.1mの建物で礎石34個が現存する。嘉禄の火災後再建、天正元年(1573)の戦による火災で焼亡した。




撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 次は金堂円隆寺跡

 基衡公建立の勅願寺。鎌倉幕府の公文書である吾妻鏡の中では吾朝無双と称せられるほど万宝を尽くしてつくられた建物であった。本尊は、運慶作の丈六薬師如来、毛越寺の中心的な堂で、当然に廊が出て南に俺、その尖端には鐘楼、経楼があった。嘉永二年(1226)火災で焼失した。




金堂円隆寺跡
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8


出典:荒木伸介、角田文衛、埴原和郎、大矢邦宣著
    奥州平泉黄金の世紀 新潮社、1987年

 ここで 遣水

 遣水の場所は、上の地図のちょうど真ん中、大泉池野北側にある。

 遣水は、庭園の発掘調査中に往事の姿そのままに発見されたもので、遣水の遺構は奈良の宮跡庭園を除いては例がなく、平安時代の遺構としては唯一のものである。遣水は池に水を入れる水路であり、玉石を底に敷き詰め、流れには水越し、水切りの石、その多水の曲がり角や池への注ぎ口に石組を配する平安時代の指導書(作庭記)の様式を余すところなく伝えている。その美しい流れとせせらぎは浄土庭園に風雅な趣を添えており、「曲がり水の宴の舞台ともなっている。」




遣水
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 曲水の宴

 毛越寺の曲水の宴は、昭和61年5月18日、藤原秀衡公八百年御遠忌特別大祭の記念行事として藤原氏三代の栄華を偲び再現された。曲水の宴とは、遣水の流れに盃を浮かべ、流れ来る間に和歌を詠み、終わって盃を戴くという中国から伝わった催しで平安時代に盛んに行われた。




 次は常行堂。

 本尊は宝冠阿弥陀如来。奥殿には秘仏摩多魔神を守る。毎年正月二十日に古式常行三昧の修法が行われ、国指定の重要無形民俗文化財である「延年の舞」が奉納される。現在の常行堂は、享保十七年(1973年)に再建されたものである。




常行堂
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8


 ここで鐘楼堂。

 現在の鐘は昭和五十年、人間国宝香取正彦氏の作で、天台座主山田恵諦大僧正の銘が刻まれている。姿形は、平等院風を思わせ、美しい音色を響かせている。




鐘楼堂
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 東門跡

 往事は築地塀が境内の東端、南端を囲んでいた。東門から境内を出ると観自在王院や車宿(牛舎の駐車場)のある街路が現れる。東門から敷石道が圓隆寺と鐘楼を結ぶ東翼廊に続いていた。




 そして観自在王院

 毛越寺を建立した基衡公、その要が建立した大小二つの阿弥陀如来を観自在王院という。四隅が丸みを帯びた方形の苑池を中心とする浄土庭園を有し、特別史跡・名勝に指定されている。毛越寺との境にある玉石の敷地は車宿(現在の駐車場)であったという。現在阿弥陀堂の東側には基衡公夫人の墓碑がある。




撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 最後に洲浜

 池の東側から大きく突き出た洲浜は、ひろびろとした海岸の砂州を表現しており、水位の昇降に応じてその姿を変化させる。ゆったちろしたその姿は、出島とは対照的な景趣である。




洲浜
撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 ということで、限られた時間ではあったが、毛越寺庭園の2/3を歩きながら楽しむことが出来た。


出典:荒木伸介、角田文衛、埴原和郎、大矢邦宣著
    奥州平泉黄金の世紀 新潮社、1987年

 下は毛越寺庭園の入口(出口)。


撮影:青山貞一 Digital Camera Nikon CoolPix S8

 今回は駆け足の短訪だったが、ぜひ、紅葉の季節にじっくりといにしえの平泉文化に接してみたいと思った。

  夏 草 や 兵 ど も が 夢 の 跡

  五 月 雨 の 降 り の こ し て や 光 堂

  芭蕉


松尾 芭蕉