敢然と東九州道の 路線変更に挑む農園主D 〜総事業費の比較〜 青山貞一 掲載日:2008年1月17日 転載禁 |
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ここでは<山すそ>ルートの特徴とともに、総事業費を当局案と対比し示そう。 まず<山すそ>ルートは単に、自分のみかん農園を貫通しないばかりではなく、以下に示すようにさまざまな観点からリーズナブルなものと思える。 表3 岡本氏の<山すそ>ルートの利点
岡本氏はさらに<山すそルート>は、住民の合意がとりやすいこと、仮に着工が4年遅れても合意2年、用地取得2年で十分追いつく、さらに工事費が少なく工期は短いから時間的に当局案とほとんど同じ工期で完成するとしている。 <山すそルート>は、山すそを通過するから優良農地や集落を壊すことがなく、大気、騒音に関しても人家がほとんどないことから環境影響も少ないはずである。これは筆者が検証する内容である。 さらに<山すそルート>の最大の特徴は、以下に示すように総事業費が当局案の1/2〜1/3と少ないことにある。 以下は対象区間の総事業費の比較である。 当局(国土交通省、九州地方整備局、株式会社西日本高速道路)の総事業費見積もりは、以下にあるように2177億円である。福岡県、大分県側それぞれが約1100億円となっている。ただし、当局案は最終規模(4車線)を前提とした積算となっている。 それに対し、<山すそルート>の総事業費は873億円。福岡県側が384億円、大分県側がトンネルなど道路構造との関連で若干高く489億円となっている。ただし、この<山すそルート>は、2車線を前提としている。理由は一般国道10号線やそのバイパスがあること、工事区間に完成あるいは代用する高速道路の多くが2車線であること、そして何よりもこの地域にあっては、将来ともに有料道路としてつくられる高速道路の交通量は2車線で十分であるという前提にたっている。 表4 当局案と<山すそルート>の総事業費比較 出典:岡本栄一:公共事業改革の端緒を開く、2007年11月5日 両者の差は何と1304億円。<山すそルート>は、当局ルートに比べ大幅に事業費が少なくてすむとされている。 次に、県別に当局案と山すそ案の工事費内訳を見てみよう。まず福岡県部分を以下に示す。もっとも費用が異なるのは、用地補償費である。当局案では230億円となっているが、<山すそルート>はその約1/5の43億円となっている。おそらくこの用地補償費が<山すそルート>の最大の特徴のはずである。 当局案は大部分が盛土であるが、<山すそルート>は切土ないし切盛構造が大部分となる。盛土の場合、道路用地の最大幅員を77mも必要としているが、その点切土は半分以下で済む。切盛構造の場合、土の調達が容易となる。 表5 福岡県部分の当局案と<山すそルート>の事業費比較 出典:岡本栄一:公共事業改革の端緒を開く、2007年11月5日 次に大分県側である。 大分県側でも、用地補償費、土工事費、高架橋費、トンネル工事費がいずれも、<山すそルート>が1/3から2/3、事業費が少ない。用地補償費は、当局案が68億円であるのに対し、<山すそルート>は28億円と半分以下となっている。 表6 大分県部分の当局案と<山すそルート>の事業費比較 出典:岡本栄一:公共事業改革の端緒を開く、2007年11月5日 なお、以下は<山すそルート>の事業費積算の根拠である。 表7 <山すそルート>の総事業費873億円の内訳 単位:億円
つづく |