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2014年12月23日、三峯神社を参拝した後、小鹿野町、旧吉田町、皆野町の神社の石灯籠について現地調査しました。この日、最後の調査は皆野町の水潜寺です。既に、冬至も過ぎつるべ落としの夕日が沈み始める寸前でした。 皆野町の水潜寺は、破風山の北側の谷間にあります。皆野町役場から県道284号線を4km弱西に向かいます。 水潜寺の位置 出典:グーグルマップ 途中、破風山の側に少し入った場所に水潜時があります。 水潜寺の位置 出典:グーグルマップ ◆水潜時の概要と縁起 ・日沢山 水潜寺 ・秩父札所第三十四番 日澤山水潜寺(御堂六間四面西向) ・本尊千手觀音 傳教大師御作 ・ 住所:秩父市皆野町日野沢3522 ・TEL:0494-62-3999 札所三十四番、日沢山水潜寺の由来については、境内の案内板には 次のように記述されています。 この札所は、秩父三十四霊場、日本百観音霊場(西国、坂東、秩父)の結願寺として、巡礼者 が打ち留めの札と笈摺を紊めた寺です。 観音堂は、大きな流れ向拝をつけた六間四面方形造りで、文政十一年(1828年)の建築で あります。内陣は壁で囲まれ、外陣は桟唐戸をたて周囲に縁を廻し、内陣外陣の境には格子戸を以て仕切り、その上部に飛天像その他の極彩色彫刻を入れ、組物は出組で格天井をうけ、鏡板には円形の輪郭をとり、花鳥の様々が画かれています。 本尊は、一木造り室町時代の作と伝えられる千手観音、西国をかたどる西方浄土の阿弥陀如来、 坂東をかたどる東方瑠璃光世界の薬師如来がまつられ、日本百観音結願寺の特殊性を出しています。 堂内には大日如来の胎内仏で初期鋳造の阿弥陀如来、享保十八年諸国信者の寄進による鋳造子育観音など、境内には百観音結願堂、仏足堂をはじめ、七観音、三十三観音、六地蔵などがまつられています。 観音堂前には、百観音宝前のお砂を紊めたお砂踏みがあり、この上で三体の御本尊を拝むことにより、百観音 巡礼の功徳が得られると信じられています。また、観音堂の傍らの崖下に、清浄長命水を湧出する寺吊のおこり 水くぐりの岩屋があり、札所巡礼を終えた人々は、ここで再生儀礼の胎内くぐりをし、長命水をいただき、笈摺を 紊め心身共に清浄になって俗世の生活に帰ったと言われています。 皆野町教育委員会 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-24 札所34番日沢山水潜寺 萬代の ねがいをここに 納めおく 苔の下より いづる水かな 札所 秩父札所34番寺の前に、結願の御砂ふみがある。平らな黒御影石に二つの足形が揃えて彫ってあり、「足形の上で拝めば、百観音巡礼の功徳がある」と刻まれています。 この上に乗って手を合わせると、西国33ヶ所、坂東33ヶ所、秩父34ヶ所の合わせて日本百観音巡礼を果たしたという爽快な気分になるから不思議です。 秩父札所34番の観音堂は、寛政の頃(1789〜1800)、江戸在住の人々の寄進によって再建されたと伝えられる方形屋根、四間四面の建物で、周囲の環境と調和して結願の寺にふさわしい森厳な寺域であります。 観音堂に向かって右奥の岩下に、自然の岩窟があり、清水が湧き、かたわらに石仏がまつってあります。 秩父34ヶ所の巡礼を終えた人達が、ここで結願の水垢離をとって、笈を解いたところである。 秩父札所34番の寺名はこの行事に由来します。苔むした大きな水鉢にあふれる清水を口に含むと、山の霊気がこもったようなすずやかな味で、身も心も清冽な気分に満たされます。 ◆ハイキングコースと参道 水潜寺の参道は「関東ふれあいの道」の一部にもなっています。このハイキングコースは、関東ふれいあの道といって、皆野町風戸入り口から破風山を越え、巡礼道の札立峠を通り、水潜時に至る全長4.3kmの自然歩道です。下にコースの案内図を示します。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 そのハイキングコースの最終地点が<水潜寺>の参道となっているのです。下の写真は、参道から境内に入る入り口です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 ◆水潜寺境内と伽藍 下に水潜寺の境内図を示します。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 水潜時は日本百観音結願所にもなっています。左側に石像が沢山あります。
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 下が百観音結願堂です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 下が讃仏堂(納経所)です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 観音堂(本堂) 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 観音堂(本堂)の天井 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 観音堂(本堂)の天井 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-2 観音堂(本堂)の天井 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-2 下が仏足堂です。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 下が三十三観音です。 三十三観音 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 なお、今回は時間の関係で行けませんでしたが、水潜時には、水くぐりの岩屋があります。水くぐりの岩屋は観音堂の右の崖下に水くぐり(水潜り)の岩屋があり、かつては巡礼を終えた人々が胎内くぐりをして、身を清めてから俗世にかえったといわれています。岩屋の中からは清水が湧き出ており、長命水とよばれています
◆水潜寺にある増上寺からの移築された石灯籠についての実態調査 伊藤氏の増上寺の石灯籠の移築調査によると、以下に示すように、水潜寺には有章院の灯籠が2基あることになっています。ちなみに、有章院は徳川家継の院号です。 出典:※伊藤 友己氏 増上寺の石灯籠 <参考> 徳川家康 安国院(あんこくいん) 徳川秀忠 台徳院(だいとくいん) 徳川家光 大猷院(たいゆういいん) 徳川家綱 厳有院(げんゆういん) 徳川綱吉 常憲院(じょうけんいん) 徳川家宣 文昭院(ぶんしょういん)......増上寺 徳川家継 有章院(ゆうしょういん)......増上寺 徳川吉宗 有徳院 (ゆうとくいん) 徳川家重 惇信院 (じゅんしんいん) 徳川家治 浚明院(しゅんめいいん) 徳川家斉 文恭院(ぶんきょういん) 徳川家慶 慎徳院(しんとくいん) 徳川家定 温恭院(おんきょういん) 徳川家茂 昭徳院(しょうとくいん) ◆青山貞一・池田こみち:歴代徳川将軍家家系 ◆池田こみち:徳川歴代将軍の生誕・没年月日と将軍在位期間(和暦対応表) 水潜寺では、本堂に上がってゆく途中に、2つの増上寺の灯籠が鎮座していました。ともに有章院の石灯籠です。 ひとつめの石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 ひとつめの石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 ひとつ目の石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 二つめの石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 二つの石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 二つの石灯籠 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2014-12-23 ということで、リストにあった2つの文章院 石灯籠2基を現地で確認することが出来ました。 |