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ヒマラヤ山岳の国と地域


Nation and Entity in Himalayan Range

⑫ワハーン回廊

(Wakhan Corridor アフガニスタン)

青山貞一
掲載月日2021年10月17日 独立系メディア E-wave Tokyo

ビクトリア湖、大パミール、1874年5月2日、トーマス・エドワード・ゴードンによる
ヒマラヤ山岳の国と地域
序説 ブータン ザンスカール
アルナーチャル プラデーシュ ネパール カラコルム山脈
チベット カシミール フンザ渓谷
シッキム チベット亡命政府 ワハーン回廊
青山貞一・池田こみち:チベット少年の亡命生活を描いた「オロ」鑑賞記

◆ワハーン回廊(アフガニスタン)




 以下の地図の濃いブルー部分がアフガンから中国のカシュガル近くに通いるワハーン回廊である。


ワハーン回廊の位置  アフガニスタン北東部
Source:Wikimedia Cmmons


ワハーン回廊
Source:Wikimedia Cmmons

ワハーン回廊の概要

 上の写真は、アフガン北東部から北にソ連(ロシア)、南にインド(大英帝国、パキスタン)を通り中国に至るワハーン回廊(Wakhan Corridor)のドンキー(ロバ)さんです。世界で標高が4000m超の高原にある回廊です。
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 ワハーン回廊(ペルシア語:وخان)とは、アフガニスタン北東のバダフシャーン州に位置する東西に細長く伸びた回廊地帯です。ワハーン渓谷、ワハン回廊とも呼びます。

 シルクロードには地理、地形上、河西回廊(中国甘粛省)など、標高が高い位置にある回廊がありますが、アフガン、ロシア、パキスタン、インド、中国に挟まれた、このワハーン回廊(Wakhan Corridor)は最高標高にあります。
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 当時、この回廊を通り抜けるとサマルカンドなど中央アジアに到着することになりました。現在この回廊の大部分はタジキスタンになっています。
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ワハーン回廊の位置
Source:Wikimedia Cmmons

歴史

 かつてはタクラマカン砂漠を通って東西を結ぶシルクロード、いわゆる「オアシスの道」の一部をなす重要な経路でしたた。19世紀にはグレート・ゲームの主要な舞台となっています。

 1890年に、フランシス・ヤングハズバンドが南下するロシア帝国のブロニスラフ・グロンブチェフスキー率いるロシア軍兵士にワハーン回廊のボザイ・グンバズで拘束されそうになる事件が発生し、1891年に英領インド帝国はフンザ藩王国とナガル藩王国を相手にフンザ・ナガル戦争を開始しました。

 その結果、親英のアフガニスタンに組み込まれ、イギリス・ロシア両勢力間の緩衝地帯となりました。

 地政学的に極めて重要にも関わらず、厳しい気象条件、険しい地形など外部から人を寄せ付けない要素が重なり、中央の支配や軍事的な関心が及ばない地域となっています。

 1970年代のソ連によるアフガニスタン侵攻、ソ連撤退後の内戦状態、2000年代のタリバンによる国土支配とその後の内戦などとも無縁のまま、ワハン人およそ1万2000人とキルギス人遊牧民1,100人ほどの住民は、回廊内でひっそりと暮らしています。


ビクトリア湖、大パミール、1874年5月2日、トーマス・エドワード・ゴードンによる
水彩画
Lake Victoria, the Great Pamir, 2 May 1874, watercolour by Thomas Edward Gordon
Source:Wikimedia Commons

地理


ワハーン回廊の位置  アフガニスタン北東部
Source:Wikimedia Cmmons


ワハーン回廊の位置  アフガニスタン北東部
Source:Wikimedia Cmmons

 パミール高原を東西に貫くこの地域は、西を本土とわずかに連絡する他は北をタジキスタン、東を中華人民共和国(新疆ウイグル自治区カシュガル地区タシュクルガン・タジク自治県)、南をパキスタン(カシミールの一部を含む)に囲まれた東西200km、南北15kmの狭隘な高原です。

 ヒンドゥークシュ山脈を越える南部のパキスタン国境(デュアランド・ライン)には、ブロゴル峠、カランダル峠(英語版)、イルシャード峠、Dilisang Passがある。

 ヒンドゥークシュ山脈を越える東部の中国国境には、世界でも最も標高の高い国境のひとつとされるワフジール峠(4923m)があり、峠の東西で3時間30分もの時差があります。長らく峠は(少なくとも中国側は)閉鎖されている状態で、数十キロにわたり車両が往来する明瞭な道路は存在しません。

住民

 人口は疎薄で、ワヒ族を中心にキルギス族が少数居住しています。

稀少動物

 ユキヒョウの生息が確認されています。


 ワハーン回廊の中国側出入口に相当するのが、いわゆるパミール高原です。この高原も標高は3500m前後と高く難所でしたが今はカラコルム・ハイウェーに繋がる道路ができています。中国では新疆ウイグル地区のカシュガル市西端がパミール高原となります。


ワハーン回廊の位置  アフガニスタン北東部
Source:Wikimedia Cmmons


◆ワハーン回廊の写真ギャラリー

 以下の写真はいずれもワハーン回廊のものです。出典はWikimedia Commons です。3枚目の写真は仏教遺跡、4枚目の写真はウズベキスタンの要塞遺跡です。


ワハーン回廊
Source:Wikimedia Cmmons



ワハーン回廊  イシュカシュム(タジキスタン)の東
east of Ishkashim
Source:Wikimedia Cmmons



ワハーン回廊  要塞跡の遠景
Überblick über die Ruinen der Festungsanlage
Source:Wikimedia Cmmons



ワハーン回廊 タジキスタン、ランガーの上の岩場にいるロバたち。背景にはアフガンのヒンドゥー
クシュが
Donkeys in the rocks above Langar, Tajikistan. In the Background the Afghan Hindukush
Source:Wikimedia Cmmons



ワハーン回廊  ヴラン村の上にある仏舎利塔
Buddhistischer Stupa oberhalb des Ortes Vrang
Source:Wikimedia Cmmons



ワハーン回廊  ヤムチュン要塞の概要
Überblick über das Yamchun Fort
Source:Wikimedia Cmmons

 ワハーン回廊の中国側出入口に相当するのが、いわゆるパミール高原です。

 この高原も標高は3500m前後と高く難所でしたが今はカラコルム・ハイウェーに繋がる道路ができています。中国では新疆ウイグル地区のカシュガル市西端がパミール高原となります。

 写真はいずれもワハーン回廊のものです。出典はWikimedia Commons です。


Detailaufnahme der Mauerreste 壁面遺構の詳細図
Source:Wikimedia Cmmons



This is a map of the Wakhan (Vakhan) corridor and the Soviet-Afghan border circa 1983. It includes the Pamir River, the Panj River (Pyandzh), lake Zokul (Sariqul), Ab-e Vakhan.
これは1983年頃のワハン(ヴァハン)回廊とソビエト・アフガン国境の地図である。パミール川、パンジ川(ピャンドゥ)、ゾクル湖(サリクル)、アブエ・ワハンが
含まれている。

Source:Wikimedia Cmmons

 以下は枠ハーン関係のyoutube動画です。


Source: New China TV 
#Travel #Afghanistan #Adventure
BACKPACKING AFGHANISTAN | Wakhan CorridorMysterious Wakhan Corridor - the westernmost part of China
バックパッキングで行くアフガニスタン|ワハン回廊:中国の最西端に位置する神
秘的なワハン回廊(動画)



Source: UN University ワハン渓谷の水と持続可能な土地利用(動画)
Water and sustainable land use in the Wakhan Valley



Source:Expert Vagabond
BACKPACKING AFGHANISTAN | Wakhan CorridorBACKPACKING AFGHANISTAN
バックパッキングで行くアフガニスタン|ワハン回廊

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