●2008年2月23日(土) 午前からお昼まで
今日は現地視察の目的のひとつ、ソレント半島南岸にある世界遺産、アマルフィ海岸(Amalfi coast)、イタリア語で Costiera Amarfitana を探訪する。わくわくする。
そのアマルフィ海岸を教科書的に紹介すると以下のようになる。世界遺産登録年は1997年。
海沿いに断崖絶壁が続くこの一帯は海岸線が変化に富み素晴らしい美しさをみせる。中世初期から人々が定住を始め、中世の海洋共和国として栄えたアマルフィやラヴェッロなどの街では秀逸な建築物や芸術作品も創出した。
険しい岩壁の続く地形を、人々はブドウやレモンの段々畑、果樹園、放牧地など様々に活用し、紺碧の海とあいまって、地中海的でドラマチックな独自の美しい自然景観がここに展開している。
アマルフィ海岸の位置は、イタリアのカンパニア州サレルノ県、ソレント半島南岸の海岸。ティレニア海・サレルノ湾に面する。ヴィエトリ・スル・マーレからアマルフィを抜け、ポジターノへ到るまでの一帯を言う。世界一美しい海岸と言われる。
イタリアにおけるソレント半島及びアマルフィ海岸の位置
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ソレント半島及びアマルフィ海岸の主要地点
起床。今日は昨日とは一転し晴天。アマルフィ海岸に行くには絶好だ!!
アマルフィ海岸行きバスが1時間に1本出ているはずのソレント駅前まで行く。
サンタニェーロのバス停にもアマルフィ海岸行きのバスはあるが、ソレントの方が本数が多い。
駅のはずれにあるキヨスクのような物売りの店にいる元気のいいおばさんに、アマルフィ行きのバスの切符を買おうとする。
すると、おばさんが往復切符を買うのかと聞く。片道でよい、と言うと、おばさんは週末(土曜)はソレントからアマルフィ海岸まで往復、乗り降り自由の周遊券があるので、その方が割安だと勧めてくれた。ラッキー!! しかも往復で3.9ユーロ、日本円で約700円、当時1ユーロは約170−180円である。
今回の旅行でイタリアの物価は異常に高いと感じていた。
だが、路線バス料金は非常にリーズナブルだ。ちなみに、ソレントからあちこち回り最終的に世界遺産のアマルフィまで行くと片道で簡単に50km以上となる。ラベッロなどを回れば往復で200kmにもなる。
しかも一日中、乗り降り自由という。バスは地域で有名なSITAバス。
もっぱら、私はこの種の乗りたい放題の周遊券が夏場にあると聞いていたが、まさか週末の土曜日に発券されているとは知らなかった。ラッキーである。
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通常のバス切符
1.1ユーロ |
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ソレント−アマルフィ1日
乗り放題切符 3.9ユーロ |
ローマでカードを盗まれレンタカーは使えなかったが、不幸中の幸いか、ソレントからアマルフィにかけ一日乗り放題バスの切符をリーズナブルに入手できた。
肝心なアマルフィ海岸だが、到着時点でB&Bのご主人に聞くと、相当運転に慣れた人でも断崖絶壁が続くアマルフィ海岸をレンタカーで行くのは危険であるという。
路線バスがかなりのスピードで走っている。バスとのすれ違いも多い。アマルフィ海岸はどこも、駐車場もほとんどない。レンタカーはやめたほうがよい、とさえ言われた。
想定はしていたものの、ここでレンタカーを借りないで良かったと安堵する。
ソレントからアマルフィ海岸行きの路線バスに9時過ぎに乗車した。
バスは一路、アガタ、ポジターノ、フローレを経由し憧れのアマルフィ海岸を目指す。バスの中にはほとんど客がいない。夏は満員となるのだろうが、今は2月中旬、イタリアや欧州人でもこの地には冬には来ないのかも知れない。
ソレントからアマルフィへの地形図。断崖絶壁が続く
ソレントからアマルフィへの道路地図。ソレント→SS145→ポジターノ(Positano
)→フローレ(Furore)→アマルフィ(Amalfi)と海岸線の断崖絶壁を進む
バスは一端、ソレント半島の西にあるアガタ(Agata)方面に出る。その後、半島の南海岸にUターン、ポジターノ(Positano)を目指す。SITAの路線バスは、狭く窮屈な道をかなりのスピードで大きく揺れながらがんばって走る。
発車して35分くらい、私たちを乗せた大型バスは断崖絶壁に出会う。
すばらしい絶景だ。
私は舞い上がってしまった。
ニコンのデジカメや持参したハイビジョン・ビデオカメラで撮影するため、バスの中を右往左往、歩き回るうちに、気分が悪くなってきた。ポジターノ到着前に、めずらし車に酔ってしまった。
酔って気持ちは最悪だ。
とはいえ、せっかく夢にまで見たアマルフィ海岸まで来て、「ここで写真を撮らねば」と、私は必死にシャッターを切り続けた。
折から好天、アマルフィ海岸の「断崖絶壁」の意味がよく分かっていただけると思う。
下の写真は酔いながら必至に撮影した渾身の一枚。
切り立った岩山の途中にアマルフィ行きの道路がへばりついている
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
下の写真は、ポジターノより少し手前の断崖絶壁を走る路線バスから撮影したソレント半島南のティレニア海。逆光になっていて、紺碧のティレニア海の色が今ひとつなのが残念。
切り立った岩山の途中にアマルフィ行きの道路がへばりついている
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
○ポジターノPositano)
そうこうしているうちに、アマルフィ海岸の最初の一大ビスタ・ポイント、ポジターノに近づく。ポジターノは断崖絶壁の岩山にたくさんの小さなかラルフな家が張りついてできたまちだ。
下は揺れる路線バスから撮影した急斜面にへばり付くポジターノの家々。アマルフィ海岸では20〜30度、場所によっては30〜40度もある傾斜地にカラフルな家がへばり付くように建っている。背後には雲が...。
断崖絶壁に沢山の家がへばり付く、ポジターノのまち
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
ソレントから約40分、ポジターノに到着。
到着とは言っても、路線バスだからほとんど1分も止まらない。なぜなら、断崖絶壁の狭い道なので、対向車線にバスが来たら大変なことになるからだ。
下の写真はポジターノのバス停で撮ったもの。私たちはポジターノで降りにず、そのままアマルフィを目指す!
ところで路線バスでソレントからポジターノに行く場合は、かなりの海抜の断崖絶壁を走る。逆のアマルフィからポジターノ経由でソレントに行く場合は、海岸に近い下の道路を行く。このように、路線バスでは行きと帰りとでは全く違った光景が楽しめることになる。
ポジターノのバス停にて
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
ポジターノの市街地?
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
今日は天気も良く、海の色もなかなかすばらしい。
下はやっとのことで撮影できたティレニア海の紺碧の海である。なにしろバスが激しく揺れるので撮影が難しいのだ。
ポジターノでみた紺碧の地中海
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
路線バスはさらにポジターノのアマルフィ側を走る。下はそこで撮影したポジターノの家々。
岩山にへばり付くポジターノの家々
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
◆ポジターノ(Positano)について
ポジターノのまちの起源は、古代ローマの解放奴隷である「ポジディイ」がこの土地を所有していたことに遡るという。なんと古い話ではないか!
ポジターノはその後、隣のイタリアの「海洋共和国」アマルフィの一部として大きく発展する。
近年は有名な映画俳優、女優、監督、画家などの芸術家がポジターノに別荘をもつなど、世界的な一大リゾート地となっているという。
ポジターノには、サンタ・マリア・デイ・アッスンタ教会、ムリーニ広場などの名所もある。それらは帰路に立ち寄ったときに紹介したい。
岩山にへばり付くポジターノの家々
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
ポジターノを過ぎたところで路線バスの車窓から山側を見る。ラッターリ山脈(Monti Lattari)の2000m級の山々がそびえ立っているではないか。まさに絶景そのものである。雲はあるがどこまでも蒼い空の色もすばらしい。
背後にそびえ立つラッターリ山脈(Monti Lattari)
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
下はポジターノを離れたところで後ろ向きに撮影した写真。逆光でないので紺碧の海の色が冴える。
紺碧のティレニア海。まちはポジターノ
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
この辺でやっと体調が少し良くなってきた。
下の写真は、まるで空に浮かぶ島のように見えるポジターノ。海と空の境界線がみえにくい。
空に浮かぶ紺碧のポジターノ
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
ポジターノを過ぎると、次はフローレ渓谷(Vallone di Froure)だ。
フローレ渓谷はポジターノとアマルフィのちょうど真ん中にある。バスは渓谷を下に見ながら狭くくねった断崖絶壁の道をひた走る。谷の海側は夏は海水浴場となるが、今は2月、人はほとんどいない。
橋の上から撮影したフローレ渓谷。冬なので人影がない
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
下がフローレ海岸
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
今回のアマルフィ海岸では、なかなか海と空を同時に撮れなかったが、以下はやっとのことで撮影した紺碧の海と空である。崖の向こう側はアマルフィだ。
ポジターノでみた紺碧のティレニア海
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10
目的地のアマルフィはもうすぐ。車酔いで気分は悪いが、ここはがんばる。
最後までカメラは離さない!
そうこうしているうちに、目的地のアマルフィが見えてきた。
つづく
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