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シルクロードの今を征く

Now on the Silk Road

アフガニスタン5

Kabul、アフガニスタン)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月25日 更新:2019年4月~6月
独立系メディア E-wave Tokyo
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アフガニスタン
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 次はアフガニスタンです。

◆アフガニスタン

地理


アフガニスタンの地図
Source: Wikimedia Commons



アフガニスタン国土の高度分布図灰色に写っている部分は高度3,000メートルを越
えており、白が強くなるほど高度が上がる。この部分がほぼヒンドゥークシュ山脈に
相当します。
Source: Wikimedia Commons

 もともとの国土はパキスタン北部まで広がっていましたが、平野部はイギリスにより引きちぎられ、現在は山岳地帯が大部分を占めています。

 北部や南西部にはわずかに平野部があります。もっとも標高の高い地点は、海抜7,485メートルのノシャック山です。国土の大半は乾燥しており、真水の入手できる場所は限られています。

 気候は大陸性で、夏は暑く、冬は寒くなっています。また地震が頻繁に発生しています。年平均降水量は、国の南西部で75ミリ、マザーリシャリーフで213ミリ、東部のカズニーで213ミリ、サラング峠の上方で1,150ミリです。

 主要都市は首都カーブルのほか、西部のヘラート、東部のジャラーラーバード、北部のマザーリシャリーフ、クンドゥーズ、南部のカンダハールなどです。

地域区分


アフガニスタンは34の州(velāyat)で構成されている。
Afghanistan provinces japanese.png
Source: Wikimedia Commons

バダフシャーン州(Badakhshān)
バードギース州(Badghīs)
バグラーン州(Baghlān)
バルフ州(Balkh)
バーミヤーン州(Bāmiyān)
ダーイクンディー州(Dāykondī)
ファラー州(Farāh)
ファーリヤーブ州(Fāryāb)
ガズニー州(Ghaznī)
ゴール州(Ghowr)
ヘルマンド州(Helmand)
ヘラート州(Herāt)
ジョウズジャーン州(Jowzjān)
カーブル州(Kābul)
カンダハール州(Kandahār)
カーピーサー州(Kāpīsā)
ホースト州(Khowst)
クナル州(Konar)
クンドゥーズ州(Kondoz)
ラグマーン州(Laghmān)
ローガル州(Lowgar)
ナンガルハール州(Nangarhār)
ニームルーズ州(Nīmrūz)
ヌーリスターン州(Nūrestān)
ウルーズガーン州(Orūzgān)
パクティヤー州(Paktiyā)
パクティーカー州(Paktīkā)
パンジシール州(Panjshīr)
パルヴァーン州(Parvān)
サマンガーン州(Samangān)
サーレポル州(Sār-e Pol)
タハール州(Takhār)
ヴァルダク州(Vardak)
ザーブル州(Zābol)

経済


名産であるザクロを加工する労働者
Source: Wikimedia Commons

 後発開発途上国のひとつで、農業と牧畜への依存度が高くなっています。1973年の王政崩壊以降の断続的な紛争による社会・政治的な混乱、インフラの破壊、慢性的な旱魃により経済は壊滅状態となっています。また同じ理由から、大半の国民に充分な食料、衣料、住居、医療が提供できない状態が続いています。

 2004年10月のユニセフの報告によると、幼児の死亡原因の多くは非衛生的な水の飲料使用による慢性的な下痢であるとされ、死亡率は25.7%と高く、国内の医療・衛生状態はきわめて悪いと言えます。

 国家予算の約7割を国際支援に依存しています。国民の3分の2は1日2ドル以下で生活しており、IMFの統計によると、2013年時点のアフガニスタンのGDPは207億ドルです。1人あたりのGDPでは679ドルとなりますが、この数値は世界平均の10%未満であり、アジアの中でもっとも低いと言えます。失業率も高く、ネパール、レソトなどと同じように40%を超えています。

 2002年1月に東京で開催された「復興支援国会議」で支援計画が提出され、世界銀行の監督下に45億ドルの資金が集められました。復興の主要対象は、教育、医療、下水施設、行政機関、農業、道路、エネルギー、通信と多岐に渡っています。

原油

 2012年10月22日、中国石油天然気集団がアムダリヤ川流域の鉱区で、本格的な原油生産を初めて開始しました。

ガス

 同国での天然ガス生産はないが、トルクメニスタン南部の巨大ガス田から同国とパキスタンを経由してインド西部へ通じるTAPIガスパイプラインが2015年に建設着手されました。同国に通過料が落ちるほか、一定量のガス輸入が見込まれます。

鉱業


サリ・サング鉱山(バダフシャーン州クラン・ワ・ムンジャン県)から
採れるラピスラズリは世界でもっとも良質なことで知られています
Source: Wikimedia Commons

 古くからアフガニスタンには世界最大規模の各種金属、希少金属、貴金属、宝石を含有する豊富な鉱脈が数多く存在することが知られており、インフラの整備や権益の開発が進めば資源企業に莫大な富をもたらすと考えられています。

 もっとも歴史のあるのは紀元前から採掘が続いた青色の宝石ラピスラズリです。首都カーブルの東南東190キロ、ヒンドゥークシュ山脈山中のサリ・サング鉱山(Sar-i Sang)が主力です。産出量は数トン程度。そのほか、北東部のコクチャ川の渓谷に位置するサリ・サング近郊の鉱床、アフガニスタンとパキスタンの国境沿い、クエッタの西のチャガイ山からも産出します。

 有機鉱物資源では北部の天然ガス(4,300兆ジュール、2003年)が主力で、石炭(3万5,000トン)も採掘されています。金属鉱物資源ではクロム(6,364トン)があります。このほか岩塩(1万3,000トン)も採取されています。

 アイナック銅鉱山(Aynak Copper)は1970年代初めに発見され、1978年に旧ソ連が中央鉱区と西部鉱区の地質探査を終えています。総資源量は鉱石量7億500万トン、平均銅品位1.56%、銅含有金属量1,100万トンの超大型の銅鉱床です。

 そのほかには、カーブルの南のローガル渓谷、ヘラートのやや南西のいくつかの地点、カンダハルの北のアルガンダー川沿い、パンジシール渓谷のアンダラーブ近郊に銅鉱床が存在しています。

 金はカンダハールの北東のムクル近郊、バタフシャーンのいくつかの川で発見されています。鉄鉱石の大規模な鉱床はカーブルの西のハージガク峠の近くで見られます。

麻薬

 アフガニスタンは「黄金の三日月地帯」に属し、旱魃地域ではアヘンなどの原料となるケシの栽培が盛んで、ヘロインの全世界流通量の90%以上をアフガン産が占めるなど世界一の麻薬密造国です。また、国内の麻薬依存者の数も深刻であり、2005年から2010年にかけての依存者数は最大150万人にも達するとされています。

 政府は麻薬対策省を設け撲滅にあたっているものの、予算や人員の不足、麻薬に代わる産業の育成などの問題もあり、いまだに解決を見ていません。

 国際連合薬物犯罪事務所の年次報告書によれば、2018年現在もアフガニスタン南部のタリバーン支配地を中心に推定26万30,00ヘクタールの面積でケシの栽培が行われています。


フンザ1つづく