シルクロードの今を征く Now on the Silk Road イラン・世界遺産22 ![]() 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 共編 掲載月日:2015年1月23日 更新:2019年4月~6月 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
総合メニュー(西アジア) イランの世界遺産 世界遺産1 世界遺産2 世界遺産3 世界遺産4 世界遺産5 世界遺産6 世界遺産7 世界遺産8 世界遺産9 世界遺産10 世界遺産11 世界遺産12 世界遺産13 世界遺産14 世界遺産15 世界遺産16 世界遺産17 世界遺産18 世界遺産19 世界遺産20 世界遺産21 世界遺産22 世界遺産23 次はイランの世界遺産22です。 ◆イランの世界遺産22 古都ヤズド (2017年) ![]() 出典:Wikipedia ![]() ヤズドの位置 出典:グーグルマップ ![]() ヤズドでは伝統的ペルシア建築における砂漠への適応という点で、数々の好適な例が残る。 Fabienkhan - personnal picture, CC 表示-継承 2.5, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons 概要 ヤズド(ペルシア語: یزد; Yazd)はイラン中央部、ヤズド州の州都です。イランにおいて古い歴史をもつ都市の一つで、ゾロアスター教文化の中心地です。 エスファハーンの南東約280kmに位置します。人口は2005年の推計で433,836人、2006年で505,037人。世代をこえた砂漠環境への適応のため、ヤズドは建築学的にも独特の表情を持つ都市です。高品質の手工業品、特に絹織物と菓子で知られます。 地理と気候 ヤズドはキャヴィール砂漠とルート砂漠の交わるところ、シール・クーフ山脈(最高点は海抜4075m)とハラーネグ山地の谷間にあるオアシス都市であります。この地理的な位置から、ヤズドは時に「キャヴィール(塩漠)の橋」と称されます。ヤズドの標高は海抜1203m、面積は約16,000 km²です。 地方行政区画によれば、ヤズド州は10郡(シャフレスターン)から構成され、各郡は最低1つの市(シャフル)と複数の村からなります。これらの郡はアバルクーフ、アルダカーン、バーフグ、ハータム、メイボド、メフリーズ、タバス、サドゥーグ、タフト、ヤズドです。 気候は全体として非常に乾燥し、夏に暑く、冬に寒い。気温の変動は特に夏から冬にかけて激しく、また昼と夜との間でも著しく変動します。夏に最高気温40 °Cと冬に最低気温-20 °Cが記録されています。 歴史 ヤズドの歴史は3000年の長きにわたり、当時ヤズドはヤスティスないしイッサティスと呼ばれたメディアの時代まで遡ります。しかしながら今日の名「ヤズド」はサーサーン朝の統治者ヤズデギルド1世に由来するものと思われます。 サーサーン朝期、ヤズドはゾロアスター教の明らかな中心地となっています。イランのイスラーム征服後、近隣各地のゾロアスター教徒はヤズドに逃れました。イスラーム統治下に入った後もジズヤを納めねばならなかったのですが、都市住民の大部分はゾロアスター教徒であって、イスラームがヤズドで優勢な宗教となるまで非常に長い時間がかかっています。 ![]() アミール・チャグマグの高所から見たヤズドの街 Fabienkhan - personal picture, CC 表示-継承 2.5, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons ![]() 今日も使われるヤズドのジャーメ・モスク。12世紀、ブワイフ朝のアラーアッダウラ・ガルシャースブにより建築。 コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Shervinafsharだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による作品だと推定されます(著作権の主張に基づく), パブリック・ドメイン, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons ![]() ゾロアスター教の神殿(アーテシュガーフ) Fabienkhan - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons ![]() 沈黙の塔。ゾロアスター教徒が鳥葬の場に使用した。 Pastaitaken - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons 建築と文化 ヤズドには砂漠型の伝統的ペルシア建築における優れた例となる建物が複数存在します。ヤズドはその気候により世界最大のカナート網を持ち、そのカナート職工の腕はイランで最も熟練したものとされました。 また夏の著しい暑さのため、ヤズドの旧建築の多くは大きなバードギールと地下室を設けています。また近傍の山地にある氷を蓄えるヤフチャール(氷室)を備えるものもあり、これについてもイランにおける代表的な例としてヤズドの建築が挙げられます。ほぼ全体が日干し煉瓦で建築された都市としても世界最大規模です。 ゾロアスター教の文化遺産の中心地としても重要です。郊外には沈黙の塔、また市中にはアーテシュガーフ(拝火神殿)を持ちます。この神殿の火は西暦470年から連綿として燃え続けているものです。現在、ゾロアスター教徒の人口は2万から4万、比率にして5%から10%で、重要な少数派としての地位を占めています。 今日のヤズド 歴史を通じて、品質の高い絹織物と絨毯で知られたヤズドは今日、イランにおける繊維工業の中心地の一つとなっています。また陶器、建築資材、また独自の菓子、宝飾などの産業がありますが、人口の多くが雇用されている分野は農業、酪農業、金属、機械などその他の産業分野です。 成長中の情報技術産業に関連する企業も立地し、主にケーブルやコネクタなどの部品を製造しています。イラン最大の光ファイバー・メーカーもヤズド所在です。 ヤズドの菓子屋はイラン全土にそのファンを持ち、観光資源ともなっています。職人(ハリーフェ)の工場では、レシピは慎重に秘密のうちに隠され、企業としても多くは数世代にわたる同族企業の形態を保っています。バグラバ、ゴターブ、パシュマクなどがヤズド菓子で特に人気があります。 2000年、ヤズド水博物館が開館しました。当館は水に関わる歴史的諸技術および貯水容器の展示を特徴としています。 ![]() タキーイェ・アミール・チャグマグ(中世) Fabienkhan - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, リンクによる Sourec:Wikimedia Commons ![]() Inside Jame'h Mosque Sourec:Wikimedia Commons ◆古都ヤズドの世界遺産への登録基準 この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。 (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。 (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。 世界遺産23へつづく |