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初秋の上州
歴史・文化の拠点を行く

G旧草軽鉄道と高峰秀子

青山貞一 池田こみち
掲載月日:2013年9月15日
 独立系メディア E−wave Tokyo

 内 容 目 次
@ 渋川市の水澤寺 E 常林寺の道祖神と秋花
A 四百年の歴史をもつ水澤うどん F 蘇れ草軽鉄道
B 浅間山大噴火と鎌原観音、常林寺 G 旧草軽鉄道と高峰秀子
C 浅間山大噴火と天明大飢饉 H 旧北軽井沢駅
D その後の常林寺 I 旧北軽駅周辺の自然

 蘇って欲しい「草軽鉄道」だが、北軽井沢にある有名な浅間牧場の売店横に貼られている写真や新聞記事によれば、かの有名女優、高峰秀子が主演した1951年の映画
「カルメン故郷に帰る」でも「草軽鉄道」が名脇役として利用されていた。


当時の「草軽鉄道」


当時の「草軽鉄道」 背景に浅山山がある

 1951年と言えば、今から一世紀以上前だ! 故郷に帰るの故郷が浅間高原であり、軽井沢から北軽井沢まで草軽鉄道を使っている想定である。

 この映画のキャストには、主演の高峰秀子だけでなく、男優として名優の笠智衆、佐野周二も出演、さらに監督、脚本がかの木下恵介とあって、今から60年以上前の1951年当時として、間違いなく一世を風靡した映画であったことは想像に難くない。事実、興業収益が6800万円とある! 

 
しかも、何とこの映画が日本で最初の総天然色カラー映画であったそうだ。

 おそらく前にも後にも、草軽鉄道と浅間山を舞台にした映画は、これしかないのではないだろうか。

日本最初のフルカラー映画(松竹)、「カルメン故郷に帰る」
 監督 木下惠介
 脚本 木下惠介
 製作 月森仙之助
 製作総指揮 高村潔
 出演者 高峰秀子
 小林トシ子
 望月優子
 音楽 木下忠司
 黛敏郎(主題歌)
 主題歌 「カルメン故郷に帰る」
      高峰秀子
 撮影 楠田浩之
 製作会社 松竹大船
 配給 松竹
 公開 1951年3月21日
 上映時間 86分
 製作国 日本
 言語 日本語
 興行収入 6800万円
 次作 カルメン純情す
松竹映画、「カルメン故郷に帰る」のド派手なポスター


草軽鉄道と浅間山を背景にした高峰秀子
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


草軽鉄道と浅間山を背景にした高峰秀子
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


カルメンを演ずる高峰秀子
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


カルメン故郷に帰るで使われた「草軽鉄道」
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


◆カルメン故郷に帰る

概要


 ほぼ全編を浅間山麓でロケ撮影し、国産初の「総天然色映画」として公開されて話題を呼んだ。 都会でストリッパーをしているヒロインを演じる高峰秀子の爽やかな演技が光る。 戦後の自由でどことなく軽薄な風潮と、それに対する賛否両論の世論を風刺した軽快な喜劇で、新しい時代の映画の創作意欲が随所に見て取れる作品である。また父娘、姉妹、夫婦の情愛などが非常に丁寧に描かれている。


左から高峰秀子、小林トシ子、 望月優子
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


脇役は「草軽鉄道」と「浅間山」
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


脇役は「草軽鉄道」と「浅間山」 浅間山が噴煙を上げている
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


浅間牧場や北軽牧場の馬や牛もたくさん出演
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


浅間牧場や北軽牧場の馬や牛もたくさん出演
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


浅間山を背景に走る草軽鉄道
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」


天真爛漫の名女優、高峰秀子
 「カルメン故郷に帰る 1951 / 高峰秀子」

あらすじ

 天真爛漫なカルメンと朱美
 上州北軽井沢の浅間山のふもとの村で育った娘・おきんは、家出をして東京に出、リリィ・カルメンという名のストリッパーになっていた。

 彼女は男性たちを魅了する裸踊りを芸術だと信じて疑わない。とある初秋に、おきんは同僚の踊子・マヤ朱美を連れて故郷へ錦を飾りに帰ってくる。芸術の擁護者を自任する校長先生は、村から芸術家を輩出したと大喜び。

 村人たちも共に帰郷を歓迎した。ところがふたりを目の当たりにして、村とは不釣合いな派手な出で立ちと言動に戸惑ってしまう。おきんの父は彼女が子供の頃に牛に頭を蹴られ、それが原因で少し頭が弱くなったと疑っており、かわいい娘を不憫に思い憂う。

 学校で運動会が開催されふたりも見学に行くが、カルメンが昔好きだった田口春雄(結婚して子供も一人いるが、戦争で目が不自由になり、生活にも困っている)のオルガン演奏の際に大失態を起こして滅茶苦茶にしてしまう。

 名誉挽回とばかり芸術披露を思いつき、業者のおだてもあり「裸踊り」を行うことになるが、父や校長先生は恥かしいやら悲しいやらで、校長先生は興行主の丸十の親父(丸野十造)を投げ倒して、当日は仲間と家で酒を飲む。

 翌日、カルメンとマヤは村を離れるが、踊りでたんまり儲けた丸野十造は、田口春雄の借金のかたに巻き上げたオルガンを田口春雄に返してやり、妻の光子は泣きながら、学校の校庭で自作の曲を演奏している春雄にそのオルガンを持っていく。校長先生とカルメンの父は、カルメンからもらったギャラの一部を春雄に渡し、本当の芸術家が村から出ることを祈る。


名女優、高峰秀子


背景の山はいうまでもなく浅間山である

出典:Wikipedia

つづく