破綻寸前の都道府県財政 〜長野県を事例として〜 青山 貞一 掲載日:2004.8.3,12.2、 12.29改訂 |
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◆田中康夫知事の知られざる実績! 以下に示す都道府県の財務諸指標にあるように、平成13年まで長野県は都道府県のなかで最悪の財政状態にあり、破綻寸前であった。 田中康夫氏が長野県知事に最初に就任したのは2000年10月15日(平成12年)。田中知事は就任直後から、徹底した諸経費節減と不要な公共事業、歳費の削減に尽力した。その結果、都道府県の財政状態の健全性を示す重要指標、地方債残高(PDF)(以下のデータ参照)は、平成13年から14年にかけ2億1千4百万円減らすことことに成功、さらに、平成14年から15年にかけ178億2千8百万円と大幅に地方債残高を減らしすことができた。これは都道府県で唯一の大きな実績であり、今の日本の地方自治体にあって特筆すべき事と言える。
以下では田中康夫知事着任までの長野県の財政状況をについて徹底分析を試みる。 最悪の財政状況だった長野県は、田中知事の就任以降、着実に破綻寸前だった財政を回復しつつある。長野県民はこの事実こそ直視しべきである! ◆破綻寸前の都道府県の財政! ここでは、長野県を事例として破綻寸前の都道府県財政を各種指標データをもとに見てみよう。 以下の表と図は都道府県の財政指数を悪い順に示したものである。この指数は田中康夫知事が着任した翌年の平成13年のものである。 公債費負担率でのワーストワンは島根県、ワーストツーは長野県であった。長野県は起債制限比率でもワーストツーとなっていることがわかる。
◆財務諸指標の詳細分析 ここでは長野県の財政状況の詳細を見るため、長野県に人口、財政規模が近い8県について、広島県が作成した「財政指標の推移と今後の課題」をもとに徹底分析を試みる。 まず、標準財政規模の推移を見る。長野県(221万人)は、人口規模でほぼ同規模の岐阜県(212万人)や人口が長野県より多い宮城県(237万人)に比べはるかに標準財政規模が大きい。長野県の予算は、まさに「身の丈」にも「身の程」にもなっていないことがよく分かる。
次に、財政力指数を見る。この指標は財政力の強弱を示す指標であり、高いほど財源的に余裕があり自由度が大きい。その財政力指数は、どの県も平成10年以降急降下している。とりわけ、長野県の指数の低下は著しい。長野県は財政力指数が最悪であり、財源的余裕も自治体の中でもっとも少ないことが分かる。ちなみに田中県政の誕生は、財政力指数がどん底となった時点である。 財政力の強弱を示す指標、高いほど財源的に余裕があり自由度が大きい。 出典:広島県、「財政指標の推移と今後の課題」 経常収支比率を見よう。経常収支比率は、財政構造の弾力性を示す指標である。義務的経費が多いほど高い経常支出比率を示す。この指標は、岐阜県以外、どの自治体も財政構造の弾力性がほとんどないことが分かる。中でも広島県と長野県はすでに90%を超えている。
公債費負担比率は一般財源のうち、公債費の償還に充当される割合を示すものである。これは、いわば借金返済に費やす額の大きさを示すものである。20%以上が危険ラインであるが、オリンピック開催に関連し超大型投資により県債を大量に発行した長野県が公債費負担比率が27%近く、最悪の状態であることが分かる。。
起債制限比率は、起債の許可制限に係る指標で20%を超すと制限がかかる。長野県はすでに17%を超えており、非常に危険ゾーンにあることが分かる。
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