アンコール遺跡群現地調査報告 遺跡・寺院の概要・場所 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 2019年2月24日公開 独立系メディア E-Wave Tokyo 無断転載禁 |
アンコール遺跡全体目次 東南アジア巨大石造遺跡に魅せられて シエムリアップに行く1 シエムリアップに行く2 視察・見学の方法と注意 遺跡・寺院の概要・場所 <参考> カンボジア基礎知識 シェムリアップ基礎知識 博物館 クメール王朝について 創建順による遺跡・寺院 アンコール関連用語解説 クメール建築様式 アプサラとデヴァタ カンボジアの伝統工芸 以下にアンコール遺跡の概要と構成を紹介しておきます。 ◆アンコール遺跡の概要 アンコール遺跡は、以下の地図の赤〇内がカンボジアの北西部、トンレサップ湖北岸のシェムリアップの北側に位置するクメール王朝時代の遺跡群です。 出典:グーグルマップ 1992年ユネスコの世界危機遺産に登録され、遺跡を中心とし修復に努めてきましたが、第二段階として2004年世界文化遺産に登録され、今まで危機遺産だった遺跡エリア(ゾーン1)の周りを取り囲むように、ゾーン2エリアを設定し全体で「アンコール遺跡公園」と命名されました。 コアな遺跡エリアの周りには、アンコールの広大な400万ヘクタールに及ぶ地域に、112の村、13万の住民、森、水田、放牧地が広がり、村人の生活、自然環境の保護、景観の維持に取り組んでいます。 出典「アンコール世界遺産エリア・ツーリストマネジメントプラン」 アプサラ・ナショナル・オーソリティ2012年12月 アンコール遺跡群は現在のカンボジア王国の淵源となったクメール王朝の首都の跡です。 この土地には、9世紀頃から数々の王宮建設が開始されました。この遺跡に特に大きく関わったとされるのはスーリヤヴァルマン2世(1113-1145年)とジャヤーヴァルマン7世(1181-1218年)といわれています。 スーリヤヴァルマン2世は特にアンコール・ワットの建設を行い、その死後30年ほど後に王に就いたとされるジャヤーヴァルマン7世はアンコール・トムの大部分を築いたとされています。 しかし、ジャヤーヴァルマン7世が崩御した後のアンコールはアユタヤ朝の進入を度々受けその存在を侵され始め、その後ポニャー・ヤット王はついにアンコールを放棄するに至ったのです。 ◆アンコール遺跡の構成 アンコール遺跡に含まれる主な遺跡は以下の通りです。 膨大の遺跡がありますが、以下の地図に示した遺跡は、そのなかでも比較的著名なものであり、それ以外にも多数の遺跡があります。また下の地図から数10km離れている寺院、遺跡もあります。 ここではアンコール遺跡の構成では、遺跡・寺院等の詳細の前に、その概要をと場所(位置)を紹介します。なお、遺跡、寺院等の名称などは総合目次と同じにしてあります。また、以下の地図は個別具体の遺跡、寺院等の頁の冒頭にも掲載しています。 アンコール遺跡地図 アンコール遺跡広域地図 ロリュオス遺跡地図 <中心部の寺院> ・アンコール・トム : 12世紀末-13世紀初頭、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *バイヨン(アンコール・トム内) : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *象のテラス(アンコール・トム内) : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *ライ王のテラス(アンコール・トム内) : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *ピミアナカス(アンコール・トム内) : 10世紀末-11世紀初頭、スーリヤヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教。 *プラサット・スゥル・プラット : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教。 *クリアン : 11世紀初頭、ジャヤーヴァルマン5世、スーリヤヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教。 *バプーオン(アンコール・トム内) : 1060年頃、ウダヤーディティヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教、15世紀以降仏教。 ・プリア・パリライ : 12世紀前半、仏教。 *プリア・ピトゥ : 12世紀前半、ヒンドゥー教(シヴァ)。 ・アンコール・ワット : 1113-1145年頃、スーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(ヴィシュヌ)。 *プノン・バケン(アンコール・ワットとトムの間) : 900年頃、ヤショヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *プラサット・バイ : ヤショヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *バクセイ・チャムクロン : 947年、ハルシャヴァルマン1世(910-944年)、ラージェンドラヴァルマン2世(944-968年)建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *トマノン (アンコール・トムの北東): 12世紀前半、スーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教。 *チャウ・サイ・テヴォーダ : 12世紀前半、スーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教。 *スピアン・トマ : 11世紀初頭 <東部の寺院> *プレ・ループ(アンコール・トムの東): 961年、ラージェンドラヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *タ・ケウ(アンコール・トムの東) : 1000年頃、ジャヤーヴァルマン5世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *バンテアイ・サムレ : 12世紀中頃、スーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(ヴィシュヌ)。 *タ・プローム (アンコール・トムの東): 1186年、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *スラ・スラン : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *バンテアイ・クデイ : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(ヒンドゥー教様式と混交)。 ・タ・ネイ : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教。 *東バライ *東メボン : 952年、ラージェンドラヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *プラサット・クラヴァン : 921年、ハルシャヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教。 <北東部の寺院> *クオル・コー : 12世紀末-13世紀初頭、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教。 *ニャック・ポアン : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 *タ・ソム : 12世紀末、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 <北東部郊外の寺院> *バンテアイ・スレイ : 967年、ラージェンドラヴァルマン2世、ジャヤーヴァルマン5世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *プノン・クーレン : 802年、ジャヤーヴァルマン2世 *クバール・スピアン :11世紀中頃、ヒンドゥー教。 *ベンメリア : 12世紀、おそらくスーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(ヴィシュヌ)。 <北部の寺院> *プリヤ・カーン : 1191年、ジャヤーヴァルマン7世建立、仏教(観音菩薩)。 <西部の寺院> *西バライ : 11世紀末、ジャヤーヴァルマン6世建立。 *西メボン : 11世紀後半、スーリヤヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(ヴィシュヌ)。 ・アック・ヨム : 7-9世紀、ヒンドゥー教(シヴァ)。 <南部郊外の寺院> *ワット・アトヴィア : 12世紀、スーリヤヴァルマン2世建立、ヒンドゥー教(ヴィシュヌ)。 *プノン・クロム : 9世紀末-10世紀初頭、ヤショヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマー)。 <南東部郊外の寺院> *プリア・コー : 879年、インドラヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *バコン : 881年、インドラヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *ロリュオス(ロレイ) : 893年、ヤショヴァルマン1世建立、ヒンドゥー教(シヴァ)。 *スピアン・プラプトス : 12世紀末-13世紀初頭、ジャヤーヴァルマン7世建立 博物館につづく アンコール遺跡全体目次 |