自然の中の日本の造形美 徳川家康霊廟 日光東照宮 5.陽明門 青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda 山形美智子 Mchiko Yamagata November 21 2014 Alternative Media E-wave Tokyo 無断転載禁
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◆東照宮 陽明門 出典:日光東照宮公式Web ◆東照宮 陽明門 日光東照宮 陽明門 出典:Wikipdeia 現在の社殿群は、そのほとんどがご鎮座から20年後の寛永(かんえい)13年(1636)に建て替えられたものです。 陽明門(国宝)など55棟、その費用は、金56万8千両、銀百貫匁、米千石(『日光山東照大権現様御造営御目録』より)を要し、ご造営の総責任者には秋元但馬守泰朝(あきもとたじまのかみやすとも)、工事や大工の総責任者には大棟梁甲良豊後宗広(こうらぶんごむねひろ)があたり、わずか1年5ヶ月の工期で完成しました。 境内の特徴は、自然の地形を生かした参道や階段を用い、バランス良く配置された社殿群が荘厳な宗教的空間をつくりだしていることにあります。さらに建物には、漆や極彩色がほどこされ、柱などには数多くの彫刻が飾られていますが、これらは単なるデザインではなく、信仰形態や学問・思想があらわされています。 また、これらの社殿群は平成11年12月「世界文化遺産」に登録されました。 出典:日光東照宮 公式Webサイト ●施設の配置図 http://www.toshogu.jp/keidai/index.html ●社殿の概要 http://www.toshogu.jp/shaden/index.html 修復中の陽明門遠望 出典:グーグルマップ |
◆陽明門 陽明門(ようめいもん)【国宝】 日本を代表する最も美しい門で、宮中正門の名をいただいたと伝えられています。いつまで見ていても見飽きないところから「日暮の門」ともよばれ、故事逸話や子供の遊び、聖人賢人など500以上の彫刻がほどこされています 日光東照宮 陽明門 出典:Wikipdeia 残念ながら池田と山形が拝観した2014年11月21日、陽明門は修理中でした。下は修理中の陽明門です。白色のシートがかかっていました。 修理中の日光東照宮 陽明門 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-11-21 修理は平成25年7月にはじまり平成31年3月までつづくようです。 修理中を示す告知板 撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2014-11-21 日光東照宮の社殿はおびただしい数の彫刻で装飾されており、陽明門のほか、表門、回廊、唐門、拝殿、本殿などにも数多くの彫刻があります。 これらの彫刻は単なる装飾ではなく、徳川家康を「神」として祀る社殿において、さまざまな象徴的意味を担っています。人物彫刻には中国伝説や故事に取材したものが多く、鳥獣の彫刻には霊獣、霊鳥と呼ばれる、吉祥的意味合いをもつものが多いといえます。 日光東照宮の陽明門は、建物全体がおびただしい数の極彩色の彫刻で覆われ、一日じゅう見ていても飽きないということから、「日暮御門」と称されています。門の名は平安京大内裏外郭十二門のうちの陽明門に由来しています。 陽明門は、表門から参道を進み、石段を2つ上った先に南面して建っています。門の左右は袖塀を介して東西廻廊につながっています。門を入ると正面が唐門で、その先には拝殿があります。 陽明門遠望 出典:グーグルマップ 陽明門は他の社殿と同様、寛永13年(1636年)の造替です。 建築形式は三間一戸楼門で、規模は桁行(間口)が約7メートル、梁間(奥行)が約4メートル、棟までの高さが約11メートルあります。屋根は入母屋造、銅瓦葺きで東西南北の各面に唐破風を付す。正面唐破風下には後水尾天皇宸筆の「東照大権現」の勅額があります。 組物は上層が三手先(みてさき)、腰組は四手先で、柱上のみでなく、柱間にも密に組物を置く詰組としています。軒は二軒繁垂木(ふたのきしげだるき)で扇垂木としています。 初層の柱は円柱で、礎盤削り出しの礎石上に立つ。初層の柱間は地覆、腰貫、飛貫(ひぬき)、頭貫で固め、頭貫上に台輪(だいわ)を乗せています。礎盤形の礎石、貫の多用、台輪の使用、詰組、扇垂木など、細部は禅宗様を基調としています。 柱、貫などの軸部材は胡粉塗で白く仕上げ、要所に鍍金金具を嵌めています。初層柱には地紋彫を施しています。地紋彫は屈輪文(ぐりもん)の地の上に丸文を散らし、丸文の中には鳳凰、孔雀、二つ蝶、竜、象、虎、牡丹などを表わしています。 12本の柱のうち1本(背面西から2本目)のみは屈輪文が上下逆さになっており、「魔除けの逆柱」と称されています。初層中央間に黒漆塗に鍍金金具で飾った両開き扉を吊り、両脇間は表側に一対の随身像、裏側に獅子一対を安置しています。 日光東照宮 陽明門、上層背面中央付近の尾垂木、上段は「竜」、下段は「息」、その下の頭貫木鼻は「竜馬」 出典:Wikipdeia これらの像の周囲の壁面は胡粉塗に漆箔仕上げの牡丹唐草文の彫物で飾り、欄間(飛貫と頭貫の間)は黒漆塗の地に花鳥の彫刻を貼り付けています。その上方の組物は出組で、斗(ます)や肘木は漆箔とし、組物と組物の間は菊花文の彫物を入れています。 初層の地覆、腰貫、飛貫、頭貫などの水平材は柱などと同様、胡粉塗で、頭貫は牡丹唐草文の地紋の上にさまざまな姿態の唐獅子の彫物を配しています。 頭貫の木鼻も唐獅子であり、阿吽を交互に配置しています。その上の四手先の組物は、斗や肘木を黒漆塗とし、稜線部に金箔を押し、牡丹唐草文の沈金彫を施しています。通肘木には鍍金の木瓜形金具を打っています。組物間の空間(琵琶板)には中国の先験や仙人などの人物像の彩色彫刻があります。 組物の四手先目の木鼻は彩色の唐獅子となり、その左右には牡丹を表わしています。 初層の内部天井は中央間(通路部分)が2面の墨絵の雲竜図となり、その周囲には彩色の雲文があります。 両脇間の天井は、東が天女図2面、西が迦陵頻伽図2面をいずれも彩色で描いています。 初層両側面の外壁には金箔の地に彩色の牡丹立木の彫物がありますが、これは当初のものではなく、寛延2年(1749年)から宝暦3年(1753年)にかけての修理時に制作されたものです。 陽明門をくぐってすぐ左側に唐門があります。 つづく |