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本コラムの分類<沖縄>
本連載は、2010年3月7日(日)、東京都三鷹市三鷹公会堂で開かれた普天間飛行場代替施設にかかわるシンポジウムで、青山貞一(東京都市大学大学院教授)が基調講演を行った際の内容の要旨である。 ◆ジュゴン もうひとつの重要な課題は、辺野古周辺海域に棲息するジュゴンである。ジュゴンはジュゴン目(海牛目)ジュゴン科に属する海棲哺乳類である。 ジュゴン科はかつて2属2種あったが、1760年代にステラーカイギュウが絶滅したため、現在はジュゴンのみ1属1種である。 分布の図3にあるように北限は日本の南西諸島海域(沖縄本島付近)であり、すでに50頭弱の少数となっている。 日本哺乳類学会のレッドリストでは南西諸島のジュゴンを絶滅危惧種に指定しており、水産庁のレッドデータブックで「絶滅危惧種」となっている。 ジュゴンの分布。日本の沖縄が北限 出典:ジュゴン保護基金 絶滅危惧IA類(CR)(環境省レッドリスト) この辺野古・大浦湾に出没するジュゴンについては、すでにいわゆる「ジュゴン訴訟」が起きている。 沖縄ジュゴン訴訟では、米国のサンフランシスコ連邦地方裁判所が2008年1月24日(現地時間)、米国防総省がジュゴンへの影響などを評価・検討していないことは米国文化財保護法(NHPA)に違反するという判決を下している。 米国防総省はこの裁判で実質的に敗訴し、米国サンフランシスコ連邦地方裁判所は、米軍普天間飛行場代替施設建設によるジュゴンへの影響を避けるよう国防総省に「考慮」を命じている。 下は本土ではほとんど報じられなかった同裁判の判決記事である。米国防省が敗訴したと書いている! ジュゴン訴訟で米国防総省の敗訴を伝える琉球新報 米国でのジュゴン裁判、自然保護団体勝訴・問われる日本のアセスメント 2008年1月27日 普天間基地の移設先として辺野古の珊瑚礁を埋め立てることは、ジュゴンの生息に大きな影響を与えることを意味する。 同判決は、ジュゴンの海は「埋め立てるな」ということであり、ジュゴンの生息環境を守れということであり、ジュゴンの生息に必要な環境を守れということを意味する。 ジュゴン訴訟の関係者が明らかにしたところによると、マリリン・パテル裁判長は米国防総省に対して「文化財保護法に従うよう命じる」と判決。 「ジュゴンへの影響を評価するために、どのような追加の情報が必要かを示した文書を90日以内に提出するよう命じ」ている。 また、提出文書についても「どこから情報を得るか。対象には、関係する個人、組織、政府機関を含む」と判示し、「日本の環境影響評価は、国防総省にとって文化財保護法に基づく義務を果たすのに十分であるか」という問いかけをしている。 しかし、日本政府の環境影響評価では、上記を配慮しているとは到底言えない。 Jに続く |