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三鷹公会堂 辺野古シンポ
青山貞一基調講演要旨


B大メディアによる

情報操作と世論誘導


掲載日:2010年3月9日
独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁


本コラムの分類<沖縄>
●特集:普天間代替施設問題を検証する(三鷹公会堂シンポ基調講演) 2010.3
@前提としての外交・防衛論 F不透明な立地選定 - 米国はグアムに決定!
A公共事業としての防衛・基地利権 G鍵を握る環境と安全 -環境アセス
B大メディアによる情報操作と世論誘導 H鍵を握る環境と安全 -オスプレイ
C政治家と利権 - 砂利 I鍵を握る環境と安全 -ジュゴン
D政治家と利権 - 土地 J鍵を握る環境と安全 -海洋生態系
E不透明な立地選定 - 民主党の”公約”? K10億円かけた辺野古アセスの根幹的諸課題

 本連載は、2010年3月7日(日)、東京都三鷹市三鷹公会堂で開かれた普天間飛行場代替施設にかかわるシンポジウムで、青山貞一(東京都市大学大学院教授)が基調講演を行った際の内容の要旨である。



 次は、日本独特の大メディアによる情報操作と世論誘導である。

 ここ数年、東京地検特捜部しか知り得ない情報のリークを大メディアがこぞって記事、番組で垂れ流したことにより、憲法で保障された「推定無罪」が、いつのまにか国民は「推定有罪」として洗脳されてきた経緯がある。

 これに象徴されるように、「思考停止」で「機能不全」の新聞、テレビなど大メディアは、米国追随の政治家、御用学者、御用評論家などの言説をあたかも米国政府の広報機関であるかの報道を連日、連夜繰り広げてきた。

 これは自民党の政治家でだけでなく、民主党にあっても長島政務官のような民主の「ネオコン」や北澤防衛大臣などは、政権交代直後から普天間飛行場代替施設の立地場所は、名護市辺野古のキャンプシュワブ沖しかないと喧伝してきたのである。

 自民党の防衛族や評論家の一部は、テレビ取材に恫喝調で「いらだつ米高官」「日米同盟の危機」などと声高に叫んできた。

 しかし、これら辺野古のキャンプシュワブ沖に普天間代替施設の移設を急ぐのは、国民が真実を知る前に鳩山政権に辺野古建設を最終合意させるための陰謀と言ってよい。 それを知ってか知らぬか分からないが、大メディアは、以下の記事のように連日、日米同盟の危機とか、いらだつ米高官なんて記事を一方的に垂れ流してきたのである。

 実態はどうか、たとえば「米大使館が新聞の普天間報道に呆れ顔」(週刊文春)などという記事もある。

 これらはいずれも、数社の新聞や数局のテレビ、しかも圧倒的シェアを持つ大メディアの「情報操作による世論誘導」である。これほど酷い世論誘導は、米国を含め他の先進国ではないだろう。


出典:青山貞一、情報公開と市民参加、公共政策論(東京都市大学)

 元々日本社会では、読売、朝日、毎日、日経など数社の全国を対象とした大新聞それに全国ネットのテレビ局数社など大メディアが、記者クラブの存在とともに、この種の情報操作による世論誘導の先兵となってきた経緯がある。

 日本のメディアは、その意味で「社会の木鐸」からはほど遠い存在となっている。

 新聞ではここに来て発行部数が減っているとは言え、上記の4社で優に2500万部を超える部数をもっている。ちなみに米国ではかのニューヨークタイムズ紙でも100万台の発行部数である。


出典:青山貞一、情報公開と市民参加、公共政策論(東京都市大学)

関連ブログ
青山貞一:日本のメディアの本質を考える@発行部数と世論誘導
青山貞一:日本のメディアの本質を考えるA地方紙と発行部数
青山貞一:日本のメディアの本質を考えるB記者クラブと世論誘導


 日本では地方新聞は、外交、防衛などの記事造りは共同通信、時事通信など通信社の配信を受けている。

 情報操作と世論誘導という視点から見ると、日本固有の重要な問題がある。それは、日本国民は新聞など活字メディアに対する信頼性が異常に高いと言うことである。

 下のグラフは、世界各国の国民の組織・制度への信頼度調査の結果である。これを見ると、日本国民が新聞・雑誌などの活字メディアに寄せる信頼は、70.2%と先進国では突出して高いことが分かる。

 ちなみにG7諸国、たとえば英国が14.2、米国が26.3%、イタリア34.4、ドイツ35.6%、フランス35.2%、また濾紙がが29.4%、中国でも26.3%である。

 これは一体何を意味するのであろうか? 日本人は新聞・雑誌などの活字メディア(おそらくテレビ報道という項目があればテレビも)への信頼度が異常に高いということを意味する。 内容のいかんにかかわらず、かも知れない。
 
 逆説すれば、情報操作による世論誘導にひっかかりやすい国民性といえるのである。

 こと普天間基地のキャンプシュワブ沖への移転など外交・防衛案件では、共同、時事も読売、朝日、毎日、日経、産経などと同じ論調となっていることが多い。したがって、日本国民は記者クラブ参加の大メディアにより、一方的に「日米合意内容を遵守すべき」といった情報操作による世論誘導で洗脳されることになる。

 こうして、もとよりすべてが均一社会、画一社会である日本では、多くの国民が大メディアによる一方的な情報提供によっていつの間にか、もともと真実でない事実が頭の中に擦り込まれることになるのである。


Cへ続く