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足尾銅山 現地視察
(5)「足尾銅山観光」視察

青山貞一 池田こみち
掲載月日:2014年5月9日
 独立系メディア E-wave Tokyo

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 5月7日、私達が桐生市を出発し足尾銅山にほど近い足尾駅に着いたのは、正午頃だった。私達、環境総合研究所の別荘は群馬県北軽井沢にあり標高が1100mあるが、ソメイヨシノや山サクラの開花はこれからであった。


足尾駅近くの渡良瀬川にかかる赤色の橋
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 しかし、標高が640m程度の栃木県日光市足尾町では下の写真にように、足尾駅前のサクラが満開であった。


足尾駅にて
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400

 私達はこの後、足尾駅から近いところにある足尾歴史館に向かった。この歴史館は下の写真にあるように、足尾銅山の世界遺産登録を推進する会が事務局となっている。しかし、なぜかゴールデンウィーク直後の5月7日~9日は休みと言うことで、歴史館の中は見られなかった。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 やむなく、庭にあったトロッコ列車の前で写真を撮っただけで、足尾駅側に引き返し、今度はやはり足尾駅近くにある「足尾銅山観光」に行った。


足尾歴史館にて
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


足尾歴史館にて
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400

 下は 「足尾銅山観光」の入り口である。

 この「足尾銅山観光」は、トロッコで数100m暗闇の坑道の中を行ったあと、暗い坑道の随所に、非常に厳しく過酷な労働環境のもとで坑夫が掘削、採掘、選鉱などをしている人形がある一種のテーマ博物館である。

 入場料は大人一人800円。この「足尾銅山観光」は以前、愛媛県新居浜市にある別子銅山跡地のテーマパーク、マイントピアに行ったことがあるが、まさにその足尾銅山版である。


「足尾銅山観光」の入場切符 


 「足尾銅山観光」の入り口
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 おそらく往事と同じ形のトロッコ牽引車が2-3両の客車を引いて、坑口から鉱山の採掘現場に入っていく。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 以下はトロッコ列車が入って行く通洞坑の入り口である。実際の坑道の長さは累積で何と1234kmもあったという。1234kmと言えば東京から福岡までの距離に相当する。

 おそらく落盤などもあり多くの労働者が亡くなったのだろう。また微粒粉じんなどで呼吸器系の病気を患った労働者も多数いたことと思われる。残念ながらその種の情報は、「足尾銅山観光」はもとより、今回訪問した「環境学習センター」などにも見当たらなかった。

 図らずも過酷な作業を強制的に行わされて無くなった中国や韓国の労働者の慰霊碑が小滝坑口側の山林にひっそりあったことで分かる程度だったのは大変残念である。

 さらに、「足尾銅山観光」では、精錬所などからの二酸化硫黄などの煙や渡良瀬川への鉱毒類の流出問題にもまったくどこにも言及が無かったのにも驚いた。

 「足尾銅山観光」は、その意味で古河鉱業など、事業者側による銅など金属採掘、選別、精錬などの工程についてのテーマパークであると言える。

 下は足尾銅山の全体マップである。下図より分かるように、足尾銅山には、3つの坑口、すなわち本山、通洞、小滝の坑口がある。そのうち通洞坑口(最下段の赤色)は、足尾駅のすぐそばにある。「足尾銅山観光」はこの通洞坑口を利用したテーマパークである。


足尾銅山の3つの坑口の位置図
出典:足尾テラス http://ashio.org/

 以下は足尾銅山の3大坑口のひとつ、「通洞坑」である。
 

足尾銅山、通洞坑
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 通洞坑は、1885年に開発を着手し、11年後の1896年に竣工している。この通洞坑は本山と貫通させることで、足尾銅山の大動脈となり、1963年(昭和48年)の閉山まで日本最大の銅山(他には日立銅山、別子銅山がある)の銅山の坑口としての役割を果たしたことになる。


足尾銅山、通洞坑解説板
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 発車から10分も経たないうちにトロッコ列車の終着駅(下の写真)に到着する。


トロッコ列車の終着駅
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 この後、下のような薄暗い坑道をかなりの距離歩きながら両側にあるレプリカの鉱夫や電動仕掛けの鉱坑夫などを見学する。坑道は相当暗く、足元は水でじめじめしている。もともと、目の悪い青山はゆっくり進んだ。おそらく初期の頃は、下の写真にあるような電気もなく、手探りに近い状態で採掘が行われていたことと推察される。


トロッコ列車の終着駅からつづく坑道
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 「足尾銅山観光」の坑内については、別途、写真をもとに別途紹介する!

 坑内をかなり進むと、明るい展示場に出る。このコーナーでは、鉱物資源の掘削、採鉱などに関連した各種レプリカ(展示物模型)やDVDの映像を見ることができる。


足尾銅山観光にて
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は工場の模型を撮影したものである。



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 さらに下の写真は上映していたDVDを写したものである。実際の各種施設は下の写真にあるように急斜面をもつ山の谷間に立地していたことが分かる。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は選鉱工場の写真だが、近くに国鉄の足尾線(貨物線)が走っていることが分かる。閉山後この鉄道は第三セクターの「わたらせ渓谷鐵道」として桐生駅から足尾駅を通り、間藤駅までの40数kmに及ぶ一種の観光列車として運転されている。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


足尾銅山観光にて
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400

 以下に足尾鉄道とわたらせ渓谷鐵道について紹介する。
 
◆「足尾鉄道」と「わたらせ渓谷鐵道」

 足尾銅山から産出される鉱石輸送のために足尾鉄道が敷設した路線である。足尾鉄道は資本金200万円、総株数4万株のうち20100株を古河虎之助が引受け社長は古河会社幹部の近藤陸三郎が就任した。

 開業にあたって汽車製造に注文していた蒸気機関車4両の完成が遅れたため急遽国鉄に払下げを願い出て機関車1両を確保し、客車は南海鉄道から電化により余剰となった木製2軸客車8両を譲受け[2]貨車27両で開業に間に合わせた。鉱石輸送は国策上重要であったことから1913年には全線が国によって借上げられ、1918年には買収、国有化された。

 最盛期には日本国内の銅産出量の4割を占めた足尾銅山だが、資源の枯渇により1973年に閉山され、その後も輸入鉱石の製錬が継続されたものの、1986年にはそれも縮小され、足尾線による鉱石、精錬用の硫酸の輸送も廃止された。

 銅山の衰退と歩調を合わせるように、足尾線の輸送量も減少を続け、営業係数は677に達し、1980年の国鉄再建法施行により1984年に第2次特定地方交通線に指定。1989年にわたらせ渓谷鐵道に転換された。

 わたらせ渓谷鐵道株式会社は、群馬県・栃木県において特定地方交通線の足尾線を引き継いだ鉄道路線わたらせ渓谷線を運営する第三セクターの鉄道事業者である。

 わたらせ渓谷鐵道では略称として「わてつ」を推奨しているが、雑誌などでは「わ鐵」と表記されることもあり、沿線住民には「わた渓」と呼ぶ者もいる。12の無人駅には公募のボランティア駅長「ふるさと駅長」がいる。

 1988年(昭和63年)
   3月29日 第9回協議会にて第三セクター鉄道への転換を決定。
 10月25日 設立。
 1989年(平成元年)
   3月29日 東日本旅客鉄道(JR東日本)足尾線を転換し、わたらせ渓谷線
   開業。間藤 - 足尾本山間 (1.9km) は免許線(未開業)となる。
 12月24日 水沼駅温泉センター「せせらぎの湯」がオープン(2002年3月まで
   群馬県営、以後2008年12月28日まではわたらせ渓谷鐵道が運営)。
 1992年(平成4年)3月14日 下新田駅新設。
 1996年(平成8年)4月9日 神戸駅構内に列車のレストラン「清流」がオープン。
 1998年(平成10年)
   6月2日 間藤 - 足尾本山間鉄道事業免許失効。
  10月10日 トロッコ列車「トロッコわたらせ渓谷号」運転開始。
 2008年(平成20年)12月28日 水沼駅温泉センター「せせらぎの湯」が休業。
 2009年(平成21年)4月26日 水沼駅温泉センター「せせらぎの湯」が
   外部委託で営業再開。
 2010年(平成22年)12月22日 イメージキャラクター「わ鐵のわっしー」を発表。
 2012年(平成24年)4月1日 トロッコ列車「トロッコわっしー号」運転開始。
   トロッコ列車を3往復に増発。

 わたらせ渓谷線は、路線名の通り、渡良瀬川上流の渓谷に沿って走る。ディーゼルカーが何度か渓谷を渡りながら谷筋を遡り、特に初夏の新緑と秋の紅葉の風景が絶景とされる。ハイシーズンにはトロッコ列車が運行され、風に当たりながら渓谷美を堪能できる。一方、最上流部の足尾近辺では、過去の歴史的な鉱毒被害(「足尾鉱毒事件」参照)の影響により未だ禿山が連なり、異観を呈している。

 銅山観光で訪れる観光客も多いが、日光側から細尾峠を経て足尾を訪れるハイカーもいる。2008年7月23日に上神梅駅本屋などが、2009年11月19日には神戸駅本屋や城下トンネルなど37件が国の登録有形文化財に登録された。

路線データ
・路線距離(営業キロ):44.1km
 うち桐生 - 下新田信号場間 1.7km は、JR東日本両毛線と施設を共用。
・軌間:1067mm
・駅数:17駅(起終点駅含む)
・複線区間:なし(全線単線)
・電化区間:なし(全線非電化)
・閉塞方式:単線自動閉塞式(桐生 - 下新田信号場間)、自動閉塞式(特殊)
  (下新田信号場 - 相老間)、特殊自動閉塞式(電子符号照査式)(相老 - 間藤間)
・保安装置:
・ATS-P(桐生 - 下新田信号場間)

出典:Wikipedia


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 下は各種鉱石の実物である。写真より分かるように、足尾銅山では、銅鉱石だけで無くさまざまな貴重な鉱石が存在していたことが分かる。

 逆説すれば、選別・精錬で銅を生産していたとしても、以下のような様々な有価金属も採掘されており、その採掘・精製等の過程では、重金属類(鉛、ヒ素、カドミウム、水銀、セレンなど)も大気汚染物質、水質汚濁物質として排出されていたことが十分推測される。


自然銅
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


孔雀石
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


水晶石
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


方解石
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


黄銅鉱石
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8


黄鉄鉱
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

つづく