日本のメディアの 本質を現場から考えるJ 〜欽ちゃん70kmマラソンの非常識〜 青山貞一 掲載日:2007.8.19 |
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日本テレビをキー局として8月18日〜19日、恒例の「24時間テレビ『愛は地球を救う』」に萩本欽一さんが70キロマラソンに挑戦する。 その欽ちゃんといえば、ヘビースモーカーで有名、折からの歴史的猛暑とともに、医学的に見て健康への影響が心配される。 案の定というべきか、禁煙の普及を進める医師らでつくる「日本禁煙学会」(作田学理事長)が「医学的に見て極めて非常識」とする見解を日本テレビを含む報道各社に送った。
俳優やキャスターにヘビースモーカーは多い。ニュース23のキャスター、筑紫哲也氏は現在、体調を崩しキャスターを降りているが、その筑紫さんは一日に3箱、タバコを吸うことで知られている。 .... いうまでもなく喫煙は肺がんの危険因子であることはよく知られているが、喫煙は循環器の疾病についての因子でもある。 まず、タバコの紫煙には、@ニコチン、A一酸化炭素、Bタール、C多環芳香族炭化水素(PAH)など健康に有害な物質が含まれている。 ニコチンは交感神経系を刺激し、心拍数の増加や末梢血管の収縮、血圧上昇などをまねく。ニコチンは中枢神経系に作用することで依存性をつくる。 次に、一酸化炭素は血液中の赤血球と結びつことで、体内への酸素の取り込みを低下させる。 さらにタールや多環芳香族炭化水素(PAH)には多くの発がん性物質が含まれている。 上記に加え、近年重視されてきたのが、体内のフリーラジカルを増やすことである。このフリーラジカルは動脈硬化の促進など循環器病に大きな影響をもたらすことが判明してきた。 フリーラジカルとして有名なのは「活性酸素」である。人間は酸素を取り込み体内で燃焼させ、最終的に酸素は水に還元される。その際に少量の「活性酸素」が発生する。 体内には「活性酸素」を抑える抗酸化酵素などがあり、増えないよう調節している。だが、過剰に体内に「活性酸素」が発生すると動脈硬化などさまざまな循環器系病魔の原因となる。動脈硬化は狭心症、心筋梗塞などの原因となる。 萩本欽一さんは、筑紫さんに負けず劣らぬ喫煙家、ヘビースモーカーである。年齢も66歳と若くない。70キロマラソンの最中にタバコを吸うことはないだろうが、マラソン以前に吸ったタバコの紫煙に含まれる一酸化炭素は血液中の赤血球と結びつことで、体内への酸素の取り込みを低下させる可能性は高い。 また喫煙によって先に概要を説明した「活性酸素」が増えていれば、狭心症、心筋梗塞など循環器系の疾病にかかりやすくなる。 折からの35度を超す猛暑と重なれば、当人にとってマラソンはまさに「死の行軍」となりかねない。 テレビを見ると、マラソンとはいえ、ほとんど歩いている状態が続いているようなので、一安心だが、問題は「24時間テレビ『愛は地球を救う』」と題うったテレビ番組に、萩本欽一さんを起用したことだ。 とかくテレビ局は、視聴率をとることを重視し、出演者の健康や安全への配慮を軽視することが多い。 番組では、随所で温暖化など環境問題に触れているが、最も身近な環境保全は禁煙である。 健康増進法の第25条に明記されたように、吸っていいるひとより吸わないひとへの間接喫煙、受動喫煙の影響が大きい。 朝日新聞の記事にあるように、「感動と生きる勇気を与えたいという気持ちは理解できる」できるとしても、ぜひとも、ご当人のご健康、生命のためにも、これを機会に喫煙を辞めて欲しい。 そもそも日本テレビに常識があるのなら、欽ちゃんにこれを機会に喫煙を辞めてもらうことを一大テーマとすべきだった。もちろん、その場合でも、欽ちゃんの体への過酷な影響、危険は軽減するものではないが。 つづく |