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初冬の三峯神社短訪

G八棟木灯台

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda


December 23, 2014
Independent Media E-wave Tokyo
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@場所と行き方 D拝殿 H手水舎 L国常立神社
A三鳥居と狛狼 Eご神木 I本殿と奥宮 M摂末社
B神社概要、随身門 F青銅灯籠 J神社の歴史 N日本武尊像
C神楽殿 G八棟木灯台 K祖霊社 O神社の紅葉


撮影:青山貞一 Nikon Digital Camera Cool Pix S8            菖蒲菱


出典:三峯神社公式Web

 ここでは、拝殿の周りにあります青銅灯籠、八棟木灯台、手水舎を紹介しましょう。


撮影:青山貞一 Nikon Digital Camera Cool Pix S8


◆八棟木灯台

 下は安政四年(1857年)に建立された飾り灯台で高さは6mもあります。


安政四年(1857年)に建立された飾り灯台
撮影:青山貞一 Nikon Digital Camera Cool Pix S8

 この八棟木灯台は、江戸時代に造られたものですが、絢爛豪華な装飾、彫刻が施されています。その観点からすると照明具というより他の目的で造られた可能性もあります。いずれにしても、何の目的でつくられたものなのかは、不明です。


安政四年(1857年)に建立された飾り灯台
撮影:青山貞一 Nikon Digital Camera Cool Pix S8


安政四年(1857年)に建立された飾り灯台の台座
撮影:池田こみち Nikon Digital Camera Cool Pix S6400

 ところで、明治維新以前、たとえば室町時代から江戸時代末期まで、夜間や昼間でも室内の暗い座敷での照明はどうなっていたのか、については大変興味があります。

 もちろん、石灯籠や青銅灯籠は、屋外に設置された灯籠の一種です。ここでは、灯台などの灯火具について少し調べて見ました。

 検索したところ、「戦国時代の宮廷生活」著者: 奥野高廣と言う著書があり、その中に灯火具という節がありました。

 以下に当該部分を示します。当時、暖房ではなく照明には「灯台、灯籠、脂燭などがあり、灯台には結灯台、切灯台などがあるが、竿の頂に盤があり、上に金具をつけ、上に金輪をつけ、その上に油坏をのせ、油を注ぎ、灯心をいれて、これに添加する。」とあり、さらに「戸外では松明がある。松明の類いで、」とあります。



 いずれにしても、相当面倒くさそうな方法で照明をとっていたことになります。

 次に八棟木灯台に、より近い灯火具を探してみました。

◆灯台(照明用灯火具)

 アカシダイともいう。照明用灯火具の一種。主として油用の灯火具をさすが、もっとも原初的なものとしては、樹脂だけになった松の根を細く割ったヒデを燃すために用いたヒデバチがある。

 ヒデバチは石で臼(うす)型、角型にしたもののほかに、鉄製の古鍋(ふるなべ)を用いたり、石皿を三つまたの枝にのせたものなど、地方によってその形態はさまざまであった。

 ごま油、菜種油などが貴重品でなかなか用いることのできなかった農山村では、こうしたヒデバチが近代まで使われていた。油が灯火に使われ始めたのはかなり古い時代からで、初めは細い棒を3本束ねて足を開き、その頂部に灯明皿を置いた結(むすび)灯台とよぶ簡単な作りのものを使用した。

 灯台の高さはほぼ三尺二寸(約97センチ)とされ、丈の高いものを高(たか)灯台、長檠(ちょうけい)といい、低いものを切(きり)灯台、短檠(たんけい)などとよんだ。

 屋内でこうした灯火具を使用していたようすは中世の絵巻物にも描かれている。

 平安時代以降、円型の台に長竿(さお)を立てその先端に蜘蛛手(くもで)をつけて灯明皿を置いた灯台が用いられるようになった。台の形が菊の花形である菊(きく)灯台、牛糞(うしくそ)形の牛糞灯台がつくられ、これらには蒔絵(まきえ)や螺鈿(らでん)の装飾を施すこともあった。さらに江戸時代中期には、皿の油を自動的に補給する仕掛けをもった鼠(ねずみ)灯台がつくられた。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 [倉石忠彦]

 上に示した灯台(照明用灯火具)は、高さが約1m程度なので、八棟木灯台のように6mあるものとは異なり、どちらかと言えば室内灯を意味しています。

 さらに、背丈の高い江戸時代の灯台を探してみました。ひとつは、現代の灯台に近い機能を持った灯台、つまり船舶の安全航行用です。

 以下の写真は佐賀県唐津市で撮影したものです。高さは6m以上あり、かつ河口に置かれていました。


城内橋と舟入門
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11


 さらに、以下がありました。

 唐津市のものを含め、これらはいずれも船の安全航行に関するもののはずで、いずれも沿岸域に置かれたものです。また高さは、八棟木灯台同様、いずれも6m以上ありそうです。


住吉燈台(1688-1704年頃築、岐阜県大垣市)
出典:Wikipedia


洲崎の高灯籠(1802年築、福井県敦賀市)日本海側現存最古の旧灯台
出典:Wikipedia

 しかし、三峯神社の八棟木灯台は、船舶航行用の灯台ではありえず、室外、野外灯、それも宗教的、神事的目的をもった飾り灯台ということになると推察できます。八棟木灯台については、次回、参拝に出かけた際に調べたいと思います。


つづく