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●宮城県石巻市大川小学校(新規調査)
●石巻市大川小学校 今回の現地調査のひとつの大きな目的は、一度に70名以上の児童が亡くなった宮城県石巻市北部の大川小学校の現場を視察することにあった。 なぜ、多くの小学生が犠牲にならざるを得なかったのか、現場を確かめたかった。 現場を見て直ちに分かったことは、もし常日頃から津波があった場合は裏山に登る避難訓練をしていれば、犠牲者はゼロであったに違いないということだ。 今回、宮城県調査では前回調査で未了となっていたもうひとつの地域、重要な地域である石巻市北部を視察した。 場所は北上川が太平洋に流れ出る河口部近くである。具体的には石巻市釜谷地区、針岡地区、河口部の長面地区それに雄勝町である。 石巻市は、宮城県内で最大の被害者を出した町である。宮城県庁発表の10月末時点のデータを見ると、被害者(死者及び行方不明者の合計)で多い順から見ると、石巻市の被害がいかに大きいかがわかる。 死 者 行方不明 合 計 ======================================= @石巻市 3,180 688 3,868* A気仙沼市 1,028 371 1,399 B東松島市 1,044 94 1,138 C名取市 911 65 976 D女川町 572 381 953 E南三陸町 564 333 897 F仙台市 704 26 730 G山元町 671 19 690 *注)石巻市の最新のデータによれば、死者3,279名、行方不明者669名で合計3,948名と報告されている。(2011年11月21日現在) 石巻市は宮城県北部の中心都市として、これまで多くの町村を併合し、面積555.78ku、海岸線延長303.4km、総人口162,800人へと増加し、仙台市を除けば県内最大の都市である。市域内に女川町を内包しており、南部及び北部に総延長300km余の長い海岸線をもっていることが被害を大きくしたことは間違いない。 地形的には牡鹿半島を挟んで石巻湾と追波湾に面し旧北上川と北上川に挟まれた広大な沖積低地に広がる町なのだ。市内の浸水被害地域は、石巻湾に面する地域、旧北上川流域、追波湾から北上川流域に集中している。 石巻市浸水地域図 http://www.city.ishinomaki.lg.jp/mpsdata/web/7286/033102.jpg ◆新北上大橋にかかる虹の橋 11月21日最終日は朝から天候が悪く、時折、霙や雨が降っていた。南三陸町から国道398号を南下して志津川湾から越波湾沿いに石巻市に入るといつのまにか、広大な北上川の河口へとつながり、左岸を新北上大橋まで5kmほど走る。 ちょうどそのころに雨が降り出し、空は暗くなって北上川沿岸地域の被災状況を撮影にも支障を来すほどだったが、新北上大橋を渡って大川中学校から大川小学校に着く頃には雨も止み、なんと、北上川に大きくてきれいな虹の橋が架かっていた。 大川小学校近くの北上川にかかる虹 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.11.21 虹の橋を端から端まで見たのは何年ぶりだろうか。 まるで犠牲になった大川小学校の子どもたちの魂を天国に導く橋のようにも思えた。虹の橋ははかなく消えていったが、ここで犠牲になった子どもたちの命は将来に貴重な教訓を残してくれたに違いない。 子どもたちの魂がやすらかに眠れるように、残された大人たちはしっかりと学校や地域、コミュニティを再構築しなければならないだろう。 この虹は、まさにサイモンとガーファンクルが歌った「明日にかける橋」(Bridge over troubled water)でなければならない! 少々長いが、「明日にかける橋」の歌詞を以下に示そう! 大川小学校近くの新北上大橋の上にかかる虹 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.11.21
◆石巻市大川小学校 周知のように、釜谷地区には小学生70名以上亡くなった大川小学校がある。私たちが現地調査している最中にも父兄、地域住民、警察官らが次々にお参りにきていた。ざっと見渡したところ、小学校のすぐ横には100mほどの丘があり、すぐによじ登り避難すれば全員が無事であったであろうと推察できた。 出典:マピオン 以下はグーグルマップで見た大川小学校周辺の地図である。地形も見れるので見てほしい! 小学校のすぐ裏が小高い丘になっていることが分かる。ここに小学生らがすぐに登れば、全員無事であったと推察できる。マウスを使用することで拡大、縮小、移動などが自由に行えるとともに、衛星画像、通常の地図、3次元立体地図、地形図などを切り替えてみることができる。 グーグルマップで見た石巻市の大川小学校 青山貞一の背後は大川小学校の裏山である。傾斜は急だがここによじ登れば全員助かったはずである! 青山貞一の背後は大川小学校の裏山。 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2011.11.21 樹木を見るとこの地域で津波が遡上した高さはせいぜい10m〜12mのように見える。 大川小学校背後の裏山 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2011.11.21 部分的にフェンスがあるが、その右側からよじ登れるスペースが見える!かえすがえすも残念無念である。 大川小学校背後の裏山 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2011.11.21 大川小学校における津波の犠牲者数だが、確には全校児童108人のうち、68人が死亡、6人が行方不明となっている。 津波で被災し多くの児童と教職員が犠牲となった大川小学校 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.11.21 津波で被災し多くの児童と教職員が犠牲となった大川小学校 撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10 2011.11.21 11月21日夜、青山貞一は東京に帰宅した翌日、この小学生(一部中学生)が津波で亡くなった宮城県石巻市大川小学校だが、妻に大学まで乗用車で送ってもらったとき、現地の話したところ、何と妻の叔父(すでに他界しています)が、この大川小学校の校長先生をしていたとのことで、びっくりした。妻の実家は涌谷町といって石巻市の大川小学校から近くの町である。 石巻市大川小学校の慰霊碑の前でお参りする池田こみち 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.11.21 現地では次から次へ、弔問客が後を絶たなかった。下は、地域の警備に当たっている警察官らのお参りある。 地域の警備に当たっている警察官らのお参り 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.11.21 下は動画で見る大川小学校とその周辺地域である。薄緑色の橋が北上川河口に架かっている。 動画で見る大川小学校とその周辺地域 動画撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S10 2011.11.21 今回視察した大川小学校は石巻市北部北上地区、釜谷の北上川沿いに位置している。蕩々と流れる北上川河口流域には農地と住宅が広がっている。大川小学校は北上川に面して、背後の小高い里山に挟まれたモダンな佇まいの小学校だった。今はその無惨なすがたが痛々しい。 裏側から見た大川小学校。すぐそばに小高い丘があることが分かる 動画撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S10 2011.11.21 国道398号から新北上大橋を渡って釜谷地区・長面地区への道路がようやく復旧していた。小学校に近づいてみると、校門付近には、犠牲者の父兄によって慰霊碑(墓碑)が建てられており、たくさんのお花が供えられていた。次々と両親、祖父母と思われる年齢の方々、警察関係者などがお参り互いに慰め合っていた。墓碑には、犠牲となった小学生74名、教職員10名、中学生3名と刻まれていた。 宮城県教育委員会の資料によれば、石巻市の被概数は群を抜いている。公立幼稚園、学校の死者数は宮城県全体で362人(死者320、行方不明42)となっており、石巻市についてみると、死者163人、不明者19人、合計182人で、なんと全県の犠牲者の半分が石巻市に集中しているのである。その中で、この大川小学校の犠牲者は74名(不明を含む)と市内の犠牲者の41%を占めている。 東日本大震災に伴う公立学校等の被害状況等について(調査継続中) 宮城県教育委員会 平成23年11月11日(金)9時現在 なぜ大川小学校でかくも多くの犠牲者を出すことになったのか、今後検証されることになると思うが、現地を訪れてその痛ましさには言葉を失う。最愛の子どもたちを亡くされたご家族のお気持ちを思うと、慰めの言葉もない。せめて、二度とこのようなことがないよう、学校の立地位置や建物の構造などの妥当性、避難・防災体制、教育などハード、ソフトの面から検証されることが是非とも必要だと感じた。 以下はインターネットのブログからの転載。
下は大川小学校を含む周辺の全容である。裏山がすぐそばにあることも分かる。それを考えると居ても立ってもいられなくなる。 大川小学校を含む周辺の全容である。裏山がすぐそばにあることも分かる。 動画撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S10 2011.11.21 以下はWikipediaにおける大川小学校と東日本大震災・津波に関する記述である。
なお、下は5月19日時点での復旧作業中の大川小学校の敷地内での工事の状況である。 出典:Wikipedia ●参考データ(宮城県石巻市) ■宮城県石巻市の死者数と行方不明者数
■津波の高さ(推定値) 今回現地調査した石巻市の大川小学校がある地区は、水門、道路、堤防、公共施設などの破壊状況、沿岸背後地の樹木、土壌、地層などへの影響などからTPから10m以上の津波高及び18m以上の遡上高が生じたと推定される。 参考・東北地方太平洋沖地震津波情報 東北地方太平洋沖地震津波合同調査グループ グラフィックスで見る日本沿岸の津波高 津波現地調査結果/岩手県 過去の津波情報 つづく |