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私たちは、北茨城市の大津港そして六角堂を視察した後、福島県いわき市に入った。福島県に入ってすぐはいわき市の勿来(なこそ)である。その昔はここに勿来関があったのだろうが、現在、勿来には、巨大な勿来火力(正式には常磐共同火力発電所)がある。 2011年4月上旬に現地視察したとき、勿来火力は3.11の津波をかぶり稼働が停止していた。以下は、常磐共同火力のWebにある3.11当日の被災状況である。 発生経緯 2011 年 3 月 11 日(金)プラント負荷 225MW にて運転中。宮城沖を震源地とする大地震が発生し(M9.0 いわき市震度6強)、プラント停止した。その後の地震に伴う津波がプラント全域に来襲し、1階面フロアの機器がほぼ水没する被害を受けた。 14:46 頃 地震発生 プラント停止(タービン第二軸受振動大) IGCC 所内全停(地震により常磐共同火力停止、東京電力系統(阿武隈線)電圧ゼロ)所内全停となった。 15:30 頃 津波(第一波)来襲、1FL 面(1〜2m 程度)水没、その後2,3波襲来。 15:35 IGCC 非常用電源復旧(常磐共同火力 M/C より受電) 被害状況 ・CCP 職員および家族は全員無事を確認。けが人なし ・火災、爆発などなし。危険物等の大量流出なし。(灯油、アンモニア、薬液、潤滑油) ・プラント1FL の各機器は津波により水没したものの、主要機器(ガス化炉、ボイラ、等)の倒壊はなし。 ・水没により、各機器には大量の泥が堆積。 特に電気品に短絡・絶縁不良等多発。 ・CCP 事務所は1FL が津波で崩壊状態。 ・通勤用の車両は全台水没・損 また以下は産経新聞の5月31日時点での記事である。
以下は、10月16日、第4次福島県内空間放射線量測定調査で現地入りしたときにいわき市小名浜港から撮影した常磐共同火力からの煙である。 小名浜港から見た勿来火力 撮影:青山貞一 CoolPix S8 2011.10.16 ◆環境総合研究所:福島県南部 浜通り 被災地視察(2011.4) Ch 5 ※勿来、岩間地区は上記動画の最後の部分に収録されている。 ◆環境総合研究所:福島県内沿岸被災地、復旧・復興状況(10月16日) 今回の現地調査では、下の写真にあるように勿来火力は見るからに復旧していた。 稼働を開始したいわき市の勿来火力 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.12.25 いわき市にある勿来火力の許可出力は、下表にあるように約163万キロワットある。小さな原発2基分ある勘定だ。 表1 勿来火力の主要設備
勿来火力の持ち株出資比率は、下表のように東北電力が49%、東京電力が49%となっている。立地場所は福島県にあるが、東京電力が約半分の株を持っており、図にあるように電力のかなりの部分は茨城県を経由し東京電力管内に送られている。 表2 勿来火力の株主名と持株比率
図1 勿来火力の送電先 http://www.joban-power.co.jp/k_kaisya/kig_kabu.htm この種の共同火力や東京電力の火力発電所は、表3、表4に示すように、福島県内には勿来以外にもあり、発電する電力の多くは東京電力管内に送電されている。 結果として、これらの巨大火力の存在により福島第一原発が完全停止しても東京はじめ東電管内の電気が停電せずにすんでいると言えよう。 表3 福島県内にある共同火力の主要設備
表4 福島県内にある東京電力火力の主要設備
広野町にある巨大な火力発電所。この写真を撮影した 2011年4月16日は津波の影響で完全に停止していた。 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2011.4.16 つづく |