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真夏の群馬北西部短訪

I上信越県境の野反湖
青山貞一
掲載月日:2012年8月23日
 独立系メディア E−wave Tokyo
無断転載禁

 ◆特集:真夏の群馬北西部短訪 2012.8.17-8.20
@浅間山大噴火と鎌原観音  H暮坂高原の「花楽の里」
A迷走つづける八ツ場ダムと工事現場  I上信越県境の野反湖
B八ッ場ダムは公費乱費の典型  J品木ダムと草津温泉
C江戸の中山間地の生活を今に伝承  K四阿山とバラギ湖
D群馬満蒙拓魂之塔と浅間牧場  Lパノラマライン北ルート
E六合村の赤岩養蚕集落  M白根山をトレッキング
F六合村の赤岩神社  N「毛無峠」と小串硫黄鉱山跡
G六合村の上の観音堂  OGPSによる移動経路図

●「花楽の里」から「野反湖」

 暮坂高原をあとに、私達は上信越、すなわち群馬県、長野県、新潟県の3つの県境にある野反湖(のぞりこ)を目指した。

 花楽の里がある暮坂高原を走る県道55号線により一旦国道292号線に戻った後、標高約1550mの地にある野反湖に国道405号線で向かう。

 途中「道の駅、六合」がある。これを少し北上すると405号線との分岐点に出る(下の地図参照)。ここで国道405号線に入りひたすら車で野反湖を目指し北上を続ける。


グーグルアースで青山が作成した野反湖とその周辺の3次元図

 「道の駅、六合」からつづら折りの405号線を1時間弱行くと、忽然とブルーの野反湖が眼前に展開する。

 とはいえ、これは晴天の場合で、多くの場合、仮に群馬県側が好天でも現地に行くと曇りか霧のことが多く、野反湖どころか10m先が何も見えないこともある。

 下図は、405号線を野反湖近くまで行ったところの3次元地図である。左側が長野県側、右側が新潟県側、手間が群馬県側である。長野県側は、長野市北部の中野市に近い。


グーグルアースで作成した野反湖とその周辺の3次元図
出典:青山貞一、初秋を野反湖に見る、2007.9

●やっとのことで「野反湖」

 くねくねとつづら折りの405号線を丹念に登ってゆくと、まさにやっとのことで野反湖に到着した。

 19日の北軽井沢、赤岩、暮坂峠などは、いずれも快晴だったが、案の定というか、野反湖は花曇りだ。野反湖は、群馬、長野、新潟の県境にあり、太平洋側の天気と日本海側の天気がぶつかり合う場所で、天気が変わりやすい、

 今日は快晴ではないが霧や雲はなく、トレッキングに最適な天候だ。

 下の写真は到着時に撮影したものである。部分的に晴れているところがスポットライトが当たったように光っていてすばらしい!


2012年8月19日の野反湖の全景
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  


上信越国立公園にある野反湖
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 鷹取さんは前回来たときは、霧で真っ白。湖はもとより、何も見えなかったそうだ。そんなこともあり、眼前に広がる秀逸な野反湖の自然景観にご満悦!
 

2012年8月19日の野反湖を背景に 鷹取さん
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  


撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10


2012年8月19日の野反湖
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  

 下図は野反湖周辺の地形である。 

 野反湖は、その昔、東京電力が水力発電を行うため山間地を堰き止めてできた湖だ。完成したのが1956年なので、すでに52年の歳月がたっており、はじめた見た人は誰もこれが人造湖であるとは思わない。


グーグルマップで作成した野反湖とその周辺の地形図
作成:青山貞一

 野反湖には、下図にあるように車の到着地である「現在位置」から高山植物群落を見ながらいくつかのトレッキングルートが楽しめる。

 また湖畔には2つのキャンプ場もあり、キャンプも楽しめる。さらにお金を払えば湖畔で釣りも楽し、まさに自然と共生できる贅沢なリゾート地でありエコツーリズムの場でもある。




 4人で湖畔まで降りる。ここでもあまり人出はない。途中、あちこちに高山植物のヤナギランが咲いている。


ヤナギラン
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  

 ヤナギランは湖畔で数カ所群生している。


群生しているヤナギランを写す池田こみちさんと青山
撮影:鷹取敦 Digital Camera CASIO EX-H20G

 今年はなぜか、希少な高山蝶であるベニヒカゲがたくさん飛翔していた。鷹取さん、池田さんが必死に撮影しようとするが、動き回ってなかなかうまく撮影できない。

 以下のベニヒカゲの写真は以前、青山が撮影したもの。これほど湖畔でベニヒカゲを見かけたのは10回ほど野反湖に来ているが、はじめてのことである。

 ちなみに青山は高等学校時代、生物部に所属し、夏は毎週のように長野、群馬などの山岳地帯に出かけていた!


高山蝶、ベニヒカゲ
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S8

 下は鷹取さんの靴にとまったベニヒカゲ。


撮影:鷹取敦 Digital Camera CASIO EX-H20G

◆ベニヒカゲ

 ・タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科
 ・出現時期…8月中旬より
 ・食草…イワノガリヤス、ヒメノガリヤス、ショウジョウスゲなど
 ・分布…至仏山、笠ヶ岳、山ノ鼻、谷川岳、
 ・発見難易度…☆☆☆☆非常に難易度が高い!
 ・レッドリスト…群馬県評価(地域個体群)、国評価(準絶滅危惧)

  ベニヒカゲは氷河期から残存する日本固有のチョウ。
  ベニヒカゲの幼虫はカヤツリグサ科の植物を食べ幼虫で越冬
  するといわれている。ベニヒカゲは非常に稀なチョウといわれ
  群馬県でも指定天然記念物になっている。


 私(青山貞一)は上述のように高校時代生物部、大学時代も高校時代の生物部の先輩と群馬、長野などに頻繁にでかけていたが、ベニヒカゲは当時一度も見たことがない。そのベニヒカゲを野反湖畔のあちこちで見たので、大感激だった!

 湖畔に降りる。湖畔はまるでふかふかの絨毯みたいな感触だ。


2012年8月19日の野反湖の湖畔
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  


2012年8月19日の野反湖の湖畔。
左から池田さん、鷹取さん、奈須さん
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


2012年8月19日の野反湖の湖畔
撮影:青山貞一 CASIO EXILIL 

 野反湖周辺は、高山植物の宝庫でもある。野反湖で有名なのはニッコウキスゲ(ノゾリキスゲ)であるが、この季節はやはりヤナギラン、マツムシソウなどが咲き乱れている。

 所々に、アザミも咲いている。この7月、スコットランドに現地調査ででかけたが、スコットランドは緯度が高く、日本の北海道より少し北にあり、平地でもアザミやヤナギランが咲いていた。アザミはスコットランドの国花でもある!


撮影:池田こみち Nikon CoolPix S10


撮影:鷹取 敦 Nikon CoolPix S10
 
 この7月、10日間滞在したスコットランドでは、アザミのギザギザしたその葉が外敵の侵入を阻んだことで国の花となったことで有名だが、野反湖のアザミの葉のギザギザは弱く、丸くなっていた。やはりアザミも日本では丸くなっているのかと、ひとり考えたりした(笑い)。


アザミ
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8  

スコットランドの国花はアザミ、その言い伝え

    
アザミ(Thistle)はスコットランドの国花



マツムシソウ
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8


アキノキリンソウ
撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8

 以下の2枚のヤナギラン群生の写真は以前に撮影したものである。


この時期、湖畔に群生するヤナギラン
ヤナギラン アカバナ科 学名:Epilobium angustifolium  花期:夏
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10


ヤナギラン アカバナ科
学名:Epilobium angustifolium  花期:夏 この時期、湖畔に群生するヤナギラン
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10

 野反湖からの帰途、「道の駅、六合」に寄り遅い昼食をとる。ここの天ぷら蕎麦が美味しい。この時期なのに時間がずれているせいか、あまり客はいない。この後、国道292号線に戻り、品木ダム、草津温泉に向かう。

つづく