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2012年2月20日から25日、オーストラリア南端にあるタスマニア島(Tasmania State)に現地調査の予備調査で訪問した。 4. 第三日目(2012年2月23日) ポートアーサーへ(Port Arthur) 4-4 ポートアーサ流刑囚人刑務所跡(世界遺産)へ 私たちはボスウエルを後に、一路、夕暮れの州都ホバートに向かう。 タスマニアと現地予備調査ルート タスマニアの日没は午後8時過ぎである。そこで一端、ホバートのホテルに戻って一休みした後、すぐに世界遺産にもなったポートアーサに向かうこととした。 下に州都のホバートからポートアーサーまでの経路を示す。通常、片道1時間30分の道のりである。 ホバートからポートアーサーへの現地予備調査ルート タスマン半島に入る 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22 ポートアーサー流刑囚人刑務所跡の位置図 Source:English Wikipedia ●ポートアーサーにある世界最南端の刑務所跡(世界遺産) 三日目の午後に行く、タスマニア南東部のタスマン半島には、1830年~1877年まで流刑者収容所跡がある。ここには短くも哀しいタスマニア、いやオーストラリア開拓時の歴史と史跡が集中している。1840年までに2000人以上の囚人と監視人等の役人がいたという。 ポートアーサー流刑囚人刑務所跡 Source:English Wikipedia |
英国から遠く離れたこのタスマニアのポートアーサー刑務所には、政治犯やいわゆる罪人が送られてきた。その中には実質無罪の冤罪者もけっこういたらしい。 この刑務所は、1830年、英国における政治犯や刑事犯の流刑囚たちを監禁するためもので、当時アーサー総督の指示で囚人たちによって建造された。ポートアーサー史跡は刑務所跡地であるが、看守や軍人らの生活までが復元されておりオーストラリア開拓当時をしのぶことができる。 ここではオーストラリア本土でまったく味わえない、オーストラリア開拓当時のさまざまな歴史と文化を見て感じることができる。 ポートアーサー流刑囚人刑務所内部 Source:English Wikipedia ポートアーサー地区は、タスマニア本島とタスマン半島をつなぐ幅が100mにも満たないイーグルホーク・ネック(上の地図参照)と呼ばれる細長い陸路、そしてサメが出没する流速が早い両側の海峡により囚人の脱獄を防ぐ「究極の刑務所」と言われた。 夕暮れのイーグルホーク・ネック 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2012.2.22 流刑地の中心にあるポートアーサーの街では、上述のように囚人の労働により造られた建物、造船、炭鉱、レンガなどの産業が発達することとなった。 ポートアーサーにおける囚人の労働 Source:English Wikipedia ポートアーサー砕鉱施設跡 http://www.portarthur.org.au/ 1877年に刑務所が閉鎖されるまで、流刑者収容所と囚人らの歴史を紹介しているのがタスマニアで最も有名な観光地、ポートアーサー史跡である。この史跡は現在、世界遺産となっている。 ポートアーサーの歴史地区にある流刑刑務所跡 http://www.portarthur.org.au/ ポートアーサーの歴史地区には、病院、教会、囚人の独房、監視塔といった建造物が芝生に点在している。まるで公園のような施設は流刑者用の刑務所であったとは誰も思わないほどだ。 刑務所の囚人独房跡 http://www.portarthur.org.au/ 教会跡 Source:penal colony: Port Arthur 史跡には、ガイド付きの夜間ツアーがある。ランタン片手に「幽霊が出る」などと言われている施設を夜に巡る「ゴースト・ツアー」それに囚人の埋葬地「死の島」をまわるクルーズ付きのツアーが人気となっている。 囚人の埋葬地「死の島」 Source:English Wikipedia 囚人の埋葬地 Source:English Wikipedia ゴースト・ツアー http://www.portarthur.org.au/ 今回私たちはツアーの事務所に行ったものの、時間の関係でツアーには参加できなかったが、次回の本格現地調査ではぜひ、それらのツアーに参加してみたいと思う。 なお、刑務所の閉鎖後はほとんどの建物が取り壊された。また山火事によって消失したりされ、建物も売却された。 これは監獄あたかも流刑刑務所の暗い過去のイメージを払拭するためのものでもあった。古い建物はホテルなどに改造された。 1927年、ポートアーサーの名前が復活しその歴史的な価値が大きく見直されることになった。それに伴い、オーストラリア政府が刑務所関連施設の買戻しを行った。 1970年からはあらゆる刑務所関連史跡を州政府公園局が管理し、2005年、国立文化遺産の指定を受けるに至った。 以下は、オーストラリア政府観光局の教育旅行公式サイトにある世界遺産登録に関する紹介である。
つづく |