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江戸の桜名所探訪

御殿山 北品川4丁目

青山貞一

掲載日:2015年4月2日
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◆名所探訪・目黒川両岸の秀逸なサクラ
@目黒川に桜見物船  A目黒川沿いに五反田へ  B目黒川沿いに大崎へ  C目黒川沿いの大崎新副都心
D目黒川沿いの東海寺周辺
江戸の桜名所探訪・城南5山 御殿山
@城南5山、御殿山  A御殿山 北品川4  B御殿山庭園  C御殿山と権現山
D明治の鉄道と御殿山  E東海道線沿いに権現山へ  F権現山公園
◆江戸の城南5山探訪 八ッ山・島津山・池田山
@八ッ山、開東閣、ソニー村  A島津山、ソニー資料館  B島津山、清泉女子大  C池田山、旧正田邸跡

 3月29日(土)、ゲートシティ大崎など大崎新副都心と目黒川のサクラを視察した後、江戸時代のサクラの大名所、御殿山(現在の品川区北品川4丁目)に向かいました。

 なお、御殿山のうち現在の品川区北品川5丁目は、目黒川沿いのすばらしいサクラ(大崎新副都心参照)以外は、いわゆる「ソニー村」にあったソニーの土地や建物が売りに出され、見る影も無く超高層や巨大なビル群となっているだけでまとまったサクラを見ることはできませんでした。

 ルートは地図の最下段にある「居木橋」から小関公園、神戸製鋼所東京本社周辺、ミャンマー大使館、原美術館、セルビア大使館から御殿山トラストコートの順です。
 
 このあたりは、マンションの開発が進み、また森ビルによる大規模開発(御殿山ヒルズ開発、現在は御殿山トラストと名が変わっています)などにより、サクラは根こそぎ伐採され、大幅に減少しています。

 下は江戸時代に「御殿山」とよばれた地域の現在の地図です。現在の地番では北品川3丁目、4丁目、5丁目が相当します。

 地図の中で右側上下に走る鉄道は、東海道線、東海道新幹線、JR山手線、JR京浜東北線、それに京浜急行です。日本でもこれだけの幹線鉄道が集中する場所は、他にないほどです。

 また左下の青色は、目黒川です。

 その間の目黒川に降りる御殿山の傾斜地は、現在、都内有数の高級住宅地となっており、いわゆる億ションも多数あります。またミャンマー大使館、モーリタニア大使館、セルビア大使館などの大使館もあります。

 
出典:グーグルマップ

 3月29日、私は左下の目黒川の「居木橋」を渡ったところにあります小さな公園と緑地にあるサクラを視察しました。下の地図にあります北品川ホームズの公園、また神戸製鋼所東京本社がある場所の緑地、それに品川区の小関公園などです。

 東京都内では総合設計制度や特定街区制度など高層ビルが容易に建てられる制度が出来てこの方、容積率が大幅に緩和され、土地利用が一変しています。その結果、これでもかと高層ビル、超高層ビルが林立するようになりました。

 総合設計制度や特定街区制度によって公共空地や緑地は増えましたが、それらの公共空地や緑地は、どこでもほとんど地域住民が近寄らない場所となっています。理由は画一的なコンクリート空間であり、さらに子供達の好きなドッチボールや野球、サッカーなどが禁止されている場所だからです。

 この方法により、行政はほとんど出費無く、他人(多くは企業や大地主)の土地を使って、ミニ公園やミニ緑地を作り出したのですが、これにより地域の景観は一変してしまいました。


目黒川沿いの御殿山関連ミニ緑地  出典:品川区の公園

 下は御殿山の目黒川沿いの北品川ホームズの緑地にあるサクラです。この緑地はサクラを残しまま植栽したので、ご覧のように緑地、緑道がうまく景観にマッチしています。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-29
 
 一方、下は目黒川から少し「御殿山」地区に入った所にある品川区の小関公園です。この公園は、せっかくあった御殿山サクラ林を伐採し、竹林に変えています。


品川区の小関公園
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-29
 
 下の写真は小関公園の一角にあるコンクリートの階段を登っていったところのミニ広場です。こここから小関通りを通り神戸製鋼所東京本社周辺の緑地に行くことができます。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-29

 下の写真は、少し離れた場所から見た神戸製鋼所本社ビル近くのサクラです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-29

 下は神戸製鋼所東京本社周辺の緑地の一部です。

 上述したように、総合設計制度などで超高層ビル化することにより公共空地や緑地を生み出していますが、御殿山のサクラは無くなり、チンケナ誰もいない公共空地となっていました。これは御殿山地区に限らず、島津山地区でも散見されたことです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30

 緑地のはずれにサクラはありました。

 下は神戸製鋼所本社ビル公共空地からミャンマー大使館側に少し登ったところで見たサクラです。神戸製鋼本社ビルのガラス窓を背景にしたサクラです。実は、この写真は翌日の3月30日、池田こみちと夕方に車で近くまで来て撮影した写真です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30

 下も3月30日に撮影した写真です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30

 この公共空地の入り口に「地域猫」が2匹いました。野良猫にありがちな、人間を見るとすぐに逃げ出すことはありません。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30

 御殿山には「地域猫」がいるようです。人になれていてまったく逃げません。聞けば何でも避妊手術もしていて餌も定期的にもらっているようです。

 下はその一匹を撮影する青山です。撮影は池田こみちです。


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2015-3-30

 「地域猫」は野良猫ではなく、また一軒一軒の家が飼う猫でなく、地域のひとびとがそれなりに面倒を見ている猫です。すごく穏やかな顔をしています。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400 2015-3-30

 ここからミャンマー大使館側に登ってゆく坂道の周辺は、まさに御殿山のサクラが満開でした。

 翌日の30日はミャンマー大使館側から目黒川の「居木橋」側へ車で下りましたが、この道は坂の上から目黒川側へ一方通行となっています。3月29日はひとりで歩いて登りました。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-30

 ここのサクラは、まるで雪が木々に積もったような感じですばらしいです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-3-29

 この後、ミャンマー大使館前を通って御殿山トラストコートの庭園に向かいます。このルートは3月29日、4月2日ほぼ同じです。

 4月2日、ミャンマー大使館近くを通ったときに分かったのですが、ミャンマー大使館は現在改築、改修中で、工事の最中でした。竣工は2015年の12月となっています。

 ただ、このあたりは第一種低層住居専用地域なので、10m超の建築物は建てられません。下の建築計画のお知らせにも、「地上3階建て」とあります。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-43-2

 下は4月2日のミャンマー大使館のサクラです。手前は大使館のフェンスです。

 ここのサクラは昔から有名でしたが、ご覧のように電線が8本も通っていて、サクラが台無しとなっています。日本の景観を最も損ねているのは間違いなく電線ですが、せめて大使館前の電線くらい地下埋設してもらいたいものです。さらに言えば、江戸時代の三大サクラの名所くらい。本当にアグリーです。


ミャンマー大使館のサクラ 電線が景観を台無しにしています!
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-43-2 

 このミャンマー大使館の前の道は下の写真にあるように「御殿山通り」と言います。電線で景観がことごとく破壊されている現状では、「御殿山通り」はあまりにも可哀想です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-43-2 

 下は右が改築、改修中のミャンマー大使館のフェンスです。以下に電柱と電線が景観を破壊しているかをご理解頂けると思います。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-4-2 

 下はミャンマー大使館周辺でやっとのことで電線、電柱が入らない写真を探して撮影したものですが、それでも右上に電線が写っています(笑い)。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-4-2 

 ミャンマー大使館から旧御殿山ヒルズに向かう途中に原美術館があります。下は原美術館の塀です。ここでも電信柱が閑静な佇まいを台無しにしています。


原美術館の塀
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-4-2 

◆原美術館 Hara Museum of Contemporary Art



前身 原邦造邸 専門分野 現代美術
収蔵作品数 約850点
館長 原俊夫 管理運営 公益財団法人アルカンシェール美術財団
建物設計 渡辺仁
開館 1979年12月 所在地 〒140-0001 東京都品川区北品川4-7-25
ウェブサイト http://www.haramuseum.or.jp/

 原美術館 は、東京都品川区北品川にある原俊夫が設立した現代美術を中心とした私立美術館です。別館のハラ ミュージアム アークが群馬県渋川市に開設されています。

 JR品川駅から車で5分ほどの住宅街のなかにある原美術館は、東京ガス会長、日本航空会長、帝都高速度交通営団(営団地下鉄)総裁などを歴任した実業家原邦造の邸宅でした。原邦造の養父の原六郎も実業家、美術品収集家として知られています。原美術館はが活用している邸宅は、原邦造の私邸として渡辺仁が設計し、昭和13年(1938年)竣工したものです。



 渡辺は上野の東京国立博物館本館や銀座の和光本館(旧服部時計店)の設計で知られる、当時の代表的な建築家である。

 原美術館は、財団法人アルカンシェール美術財団を母体として昭和54年(1979年)に開館した。現代美術の最新の動きを紹介する意欲的な展覧会を随時行っており、「ハラ・アニュアル」展の開催などによって、有望な新人の紹介にも努めています。

 館内各所に、レイノー、森村泰昌、宮島達男などのインスタレーション作品がみられますが、戦前の個人邸宅の雰囲気を残した建物と現代美術とが不思議に調和しています。庭にも多田美波、関根伸夫などの作品が設置されています。

出典:Wikipedia

 下は男子世界テニスの世界王者、ジョコビッチを生んでいるセルビア大使館です。ここでも電線、電柱が我が物顔です。

 たとえば3月に行ってきた中央アジアのウズベキスタンの首都タシケントやサマルカンドでは、電柱、電線はありませんでした。日本はこの分野、超後進国です。



在日セルビア大使館
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-4-2 

 この後、在日セルビア大使館から八ツ山橋通りに出る直前でやっとのことで、すばらしいサクラを見ることが出来ました!

 ただし、このサクラはこれから行く、旧御殿山ヒルズの入り口近くのサクラです。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2015-4-2 


つづく