南イタリア・アマルフィ海岸自治体の 持続可能性に係わる基礎調査 (自主研究概要) A Summary of Survey on Comuni of Costiera Amalfitana in South Italy 青山貞一・池田こみち Teiichi Aoyama & Komichi Ikeda 掲載月日:2013年1月30日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
||
◆はじめに Forward もう2年前のことになるが、2011年3月9日から18日まで南イタリアのソレント半島、アマルフィ海岸にある小さなまち、コムーネの現地調査にでかけた。アマルフィ海岸は2度目である。一度目は2008年の3月に出かけている。 コムーネ(伊: comune、複数形: コムーニ comuni)は、イタリア語で「共同体」を指す語である。このコムーネは、現代でもイタリアに存在する自治体の最小単位、すなわち基礎自治体である。 イタリアの自治体には、日本の市町村のように規模によって政令指定都市、市町村などの基礎自治体というような区別はない。 イタリアの州 今回の調査対象は、●のカンパニア(Campania)州 アマルフィ海岸の位置 アマルフィの紋章 イタリア国旗 下の3次元立体地図は、アマルフィ海岸のミノーリ上空からソレント半島の先端にあるカントーネを俯瞰したものである。ソレント半島の左側がアマルフィ海岸。アマルフィ海岸のコムーネに特徴的なことは、いずれのコムーネも断崖絶壁にへばり付いて存在していることである。 オリーブやレモンなどの農業は、急斜面の土地を利用して行っている。一方、漁業関連施設は断崖絶壁が海に落ちるわずかな平地に集中して配置されている。 アマルフィ海岸のコムーネの多く、とりわけ海洋都市国家としてならしたアマルフィは、9世紀にすでにまちの骨格が出来ていたという。2回目の現地調査ではじめて訪問したチェターラという小さな漁村も、調査によれば9世紀にすでに現在の原型が出来ていたという。またアマルフィ海岸の多くのコムーネは、その初期段階でモスレム(イスラム)文化の強い影響を受けている。建築、造形はもとより、衣食住のすべてにわたり、また宗教など精神文化に至るまで影響を受けていたと思われる。 下の3次元立体図では、半島先の右側にソレントがある。急峻な断崖絶壁の地形にカントーネ、ポジターノ、アマルフィなどのコムーネ(自治体)がへばりついている。 ソレント半島とアマルフィ海岸の3次元立体地図 出典:グーグルアースをもとに青山貞一が作成。 人口100万人を超える(日本では政令指定都市)ナポリのような大都市も、1,000人以下の小さな村もすべて「コムーネ」と呼ばれる。 コムーネの代表(首長)は、シンダコ(sindaco)と呼ばれる。自治都市コムーネは都市の有力市民、地区やギルドの代表によって運営され、都市とその郊外農村地域を統治していた。現代イタリアのコムーネ自治は自治都市の伝統を基礎としているといわれる。 私達の今回の現地調査では、ソレント半島及びアマルフィ海岸を対象に、当該地域で20以上のコムーネの歴史と文化、環境と生活などを調査した。 2011年3月9日に成田を出発したが、その出発直後に3.11の東日本大震災、津波さらに福島第一原発事故が起き、日本は第二次世界大戦を除けば、いまだかつてない未曾有の国難に見舞われることになった。イタリアでは行く先々で、Fukushima と原発事故が大きな話題となり、イタリアのテレビ局は滞在中毎日、日本の原発事故についての情報や議論が放映されていた。 私達自身、イタリアから帰国後、3.11関連の被災地現地調査、原発事故に伴う放射線などの現地調査に全力を傾注していたため、南イタリア現地調査の報告を行う余裕がなかった。 この度、2013年1月になり、時間的余裕ができたこともあり、現地調査時の写真や動画の公表を優先し、後に現地調査報告をすることとした。 私たちの訪問先はアマルフィ海岸、ソレント半島といい、大部分がは海、海岸、海浜に面し、何と9世紀以降、今日に至るまで小さいけれどキラリと光る持続可能なまちを維持している。 ソレント半島・アマルフィ海岸主要図 Sorrento Pen. & Amrlfi Coast |
アマルフィ海岸現地調査対象コムーネ
2008.2現地調査実施 | 2011.3 現地調査実施 |
Naples Bay(ナポリ湾) | ポンペイPompei | |||||||||||||
マッサ・ルブレンセ Massa Lubrense |
ソレント Sorrento |
サンタニェーロ Sant' Angello |
メータ Meta |
25751 | ||||||||||
12880 | 16536 | 8421 | 7696 | |||||||||||
アジェ-ロラ Agerola |
ラヴェッロRavello | スカーラ Scala |
||||||||||||
7348 | 2508 | 14888 | ||||||||||||
ファロ Faro |
カントーネ Cantone |
サンピエトロ San Pietro |
ポジターノ Positano |
プライアーノ Praiano |
フローレ Furore |
コンカ・ディ マリーニ Conca dei Marini |
アマルフィ Amalfi |
アトラーニAtrani | ミノーリ Minori |
マイオリ Maiori |
チェ・ターラ CeTara |
ヴィエトリ Vietri |
||
サレルノ Salerno |
||||||||||||||
1640 | 3882 | 1915 | 810 | 697 | 5428 | 965 | 3023 | 5740 | 2357 | 8543 | ||||
Tyrrhenian Sea(ティラニア海) | 138188 |
()内は人口、出典 http://campania.indettaglio.it/eng/province/sa/la_provincia_di_salerno.html
学術を含めた本格的な調査報告は、別途行う予定だが、ここでは第一回目の現地調査(2008年3月)の後に執筆した写真を中心としたブログを先行して公開することとした。 なお、上記の概要報告は、以下の20のコムーネを対象としている。 (1)調査実施年月日 2011年3月9日から18日 (2)調査の目的 南イタリア・アマルフィ海岸自治体の持続可能性に係わる社会の基礎調査 (自主研究) (3)調査参加者 青山貞一(東京都市大学教授)、池田こみち(環境総合研究所副所長) (4)移動手段 成田→ローマ→ナポリ アリタリア航空 ナポリ→アマフルィ海岸、ソレント半島→ナポリ レンタカー ナポリ→ミラノ→関西空港 アリタリア航空 関西空港→新幹線→東京 (5)現地調査先の自治体 ①マッサ・ルブレンセ(ファロ、カントーネを含む) ②ソレント ③サンタニエーロ ④ピアノ・デ・ソレント ⑤ポジターノ ⑥プライアーノ ⑦フローレ ⑧コンカ・デイ・マリーニ ⑨アマルフィ ⑩アトラーニ ⑪ラヴェッロ ⑫スカーラ ⑬ミノーリ ⑭トラモンティ ⑮マイオーリ ⑯チェターラ ⑰マーレ ⑱サレルノ ⑲ポンペイ ⑳ナポリ 以下は2011年3月9日~18日のソレント半島及びアマルフィ海岸現地調査の経過(日程)を1日単位で示したものである。
以下は現地調査年次と訪問自治体の対応表である。
つづく |