世界紀行 アマルフィ海岸
◆アマルフィ海岸とは( E la Costiera Amalfitana )
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アマルフィ海岸(Costiera Amalfitana)はイタリアはカンパニア州サレルノ県、ソレント半島南岸の海岸。ティレニア海・サレルノ湾に面する。
アマルフィ、ミノーリの上空からソレント半島の先端(カントーネ)を見た立体図
ソレント半島の左側がアマルフィ海岸。半島の右側にソレントがある。
急峻な断崖絶壁の地形にカントーネ、ポジターノ、アマルフィなどのまちがへばりついている
ヴィエトリ・スル・マーレからアマルフィを抜け、ポジターノへ到るまでの一帯を言う。世界一美しい海岸と言われ、1997年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。
土地の名前の由来はヘラクレスが愛したニュンペーの名に由来する。ヘラクレスはそのニュンペーと仲睦まじく暮らしていたが、ある日突然、彼女が死んでしまう。それを嘆いたヘラクレスはこの世でもっとも美しい土地に彼女を葬り、街を切り開いて彼女の名を付けた、とされる。
30kmに及び海岸線には斜面に張り付くように小さな町が点在している。降り注ぐ太陽と白い町並みがまぶしい高級リゾート地である。町の中心には千年の歴史をほこる大聖堂、アマルフィ大聖堂がある。
それを取り囲むように地中海都市特有の坂道と狭い路地が複雑に入り組んで、まるで迷宮のようである。人々は中世から変わらぬ生活を続け、レモンを畑で育て、坂の下まで人の手と足で大切に運ばれる。
出典:Wikipedia
ソレント半島及びアマルフィ海岸の位置。真ん中はアマルフィの紋章
アマルフィ市役所にある古代アマルフィ海洋共和国の紋章
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 2011年3月 |
◆特異な地形と独自の歴史をもつアマルフィ海岸の魅力
~小さいがキラリと光る持続可能な社会づくりを求めて~
撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S10 2008年3月 |
アマルフィ海岸は、その自然の美しさ、主要なリゾート観光地として世界的に知られている世界遺産である。そのアマルフィ海岸は世界的な高級リゾート地、また垂涎の的となっている観光地としてだけでなく、9世紀には急峻な断崖絶壁の地にまちや農地を造成し、沿岸には要所に地中海の漁業拠点を構築してきた。
その後、アマルフィ海岸の小さなまちは、海洋共和国(都市国家)を形成し、ひとつひとつは小さいもののキラリと光る独自性と多様性をもった都市国家による共和国を形成してきた。
さらにアマルフィ海岸やソレント半島を魅力あるものとしているのは、同地域が歴史的にイスラム文化の影響を強く受けてきたことに由来している。
イスラム文化がイタリア文化とうまく融合することにより、教会、修道院から生活するひとびとの建築、また要塞から道路、橋などの建造物に至るまで秀逸な構造、色彩を含む文化を醸成してきたと言ってよい。それらがラッテリー山脈がティラニア海に面する海岸の特異な地形と組み合わさり、世界一美しい海岸となっている。
アマルフィ大聖堂
カントーネの浜辺にて
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アマルフィ海岸にある自治体(コムーネ)は、生活と生産に結び付いた独自の伝統工芸や食文化を持っている。レモンやオリーブを使った食材やリキュールなどのお酒、チェターラのアンチョビの缶詰と青魚、そしてヴィエトリ・スル・マーレの手描きの陶器、ソレントの寄せ木細工などの伝統工芸品を生み出している。
東日本大震災後、日本ではリアス式海岸をもつ岩手県などにおいて新たな街づくりが模索されている。また今世紀に入り、持続可能な社会づくりが国民的な課題となっている。
イタリアは周知のようにチェルノブイリ原発事故の後、脱原発を国民が選択したが、アマルフィ海岸のコムーネは9世紀から、まさに地道で質素なそれでいて世界に通ずる持続可能なまちを継続していると言えると思う。
それら、ひとつひとつは小さいまちであっても、それぞれがキラリとひかる独自性と多様性を持ち、それにかつての海洋共和国、都市国家の誇りと伝統をもったコムーネを地域主権自治として貫徹していると思える。実にすばらしいことだ。安易に国の補助金や交付金に頼らず、慎ましやかに虚勢を張らずコムーネを経営しているのである。いくら道路や橋が立派でも、世界から人は集まらず地域は活性化しない。
ポジターノのタイル細工
ソレント半島突端に近いネラーノの集落 |
アマルフィ海岸に点在するそれぞれの地域は決して経済的には豊かとは言えない。しかし、人々の暮らしぶりは実に生き生きしていて「豊かさといこい、そしてやすらぎ」が感じられる。
それも地域の人々がその地域ならではの歴史・文化、アイデンティティを大切にし、誇りを持って暮らしているからこそではないかと思われる。ナポリやローマでは得られない人々の営みを肌で感じることができ、また、訪れる人に優しい地域である。
私たちは過去、世界中の多くの国々を歩いてきたが、これほどあらゆる観点で魅力ある稀有で秀逸な地域は、アマルフィ海岸をおいて他に世界に存在しないのではないだろう。
私たちは「成長の限界」で世界的に有名なローマクラブ(The Club of Rome)に10年近く在籍したが、仮にローマが滅びたとしても、アマルフィ海岸のコムーネは過去がそうであったようにこれからも持続すると推察できる。そんなまちづくりが今、先進諸国で求められているのではなかろうか?
すこしでも私たちの気持ちを皆様に感じていただきければと考え、小さくてもキラリと光る持続可能な社会の姿を求め春まだ浅い南イタリア・アマルフィ海岸を行くを企画した。
2013年2月12日
12 Feb. 2013
青山貞一・池田こみち
Teiichi
AOYAMA, Komichi IKEDA
環境総合研究所 顧問
Environmental
Research Institute, Tokyo
東京都品川区にて
アマルフィ公国とはにつづく
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アマルフィ海岸コムーネの位置図 Source:Google Map
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