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晩秋の長州・萩短訪

A萩市の産廃処分場問題

青山貞一 東京都市大学

現地訪問 2009年11月21日〜22日

独立系メディア E-wave Tokyo
無断転載禁


長州藩・毛利家
@今に残る希有な歴史文化都市 H吉田松蔭誕生地と一族
A萩市の産廃処分場問題 I吉田松蔭刑死と墓所
B産廃処分場問題講演会 J毛利家の菩提寺 東光寺
C反射炉跡と造船所跡 K松陰神社と松下村塾
D浜崎地区:旧萩藩 御船倉 L御成道と萩城跡
E浜崎地区:旧山村家住宅 M菊屋家住宅とその庭園
F菊ヶ浜・相島・笠山 N萩の城下町を歩く
G萩博物館 Oエピローグ

 萩市の産廃管理型処分場問題の事の起こりは、萩市北東部、阿武町に接する山林に当初ゴルフ場用地として買った土地の一部(約9ヘクタール)に産業廃棄物の管理型最終処分場が計画されたことにある。

 以下は事の起こり。 出典:議会の事例研修会用資料から


■萩市の産廃問題、事の起こり

平成元年8月、本市の山林に民間業者がゴルフ場建設計画の申出があり、地域活性化のため、全面的に事業進行に協力していた。

しかしながら、ゴルフ場を取り巻く環境は非常に厳しく、事業は一時凍結していた。

平成16年になり、ゴルフ場建設計画地内に、管理型産業廃棄物最終処分場を設置しその後、ゴルフ場を造成する計画の情報があった。許可権者である山口県に確認したところ、事前協議の手続を準備していることであった。

 平成2年にゴルフ場開発者と旧村が締結した(新市継承)した「ゴルフ場の建設に関する開発協定書」第6条において、当該開発業者は、「取得した用地をゴルフ場以外の用途に供してはならない」と規定してあり、信義則違反である。

計画地に最も近い集落には、地下水を水源とする飲料水供給施設を設置しており、また、近傍の集落においても湧水を水源とした簡易水道整備中であり、飲料水への影響に不安がある。

計画の場所は、市街地に近く、国道や県道を利用して全国から大量の廃棄物が集まり、観光都市萩への影響(都市としてのイメージ・観光動線への影響)が大きくなる。

処分場排水により、農作物や水産物の風評被害により農業や水産業への影響が大きくなる。

最終処分場を民間が設置し管理する場合、排水処理及び地下水への浸出問題が発生した場合や事業を閉鎖した場合等、将来的に適正な維持管理ができるか不安がある。

 下の図は、萩・福栄水と命を守る会会報にあった産廃処分場の概念図。



出典:萩・福栄水と命を守る会会報より


◆管理型最終処分場の計画位置と地形計画
  出典:議会の事例研修会用資料から

○ 萩市は、山口県の北部に位置し、総面積は698.86?と広範で、北部は阿武町をとりまく形で日本海に面し、東部は益田市(島根県)、津和野町(島根県)、南東部は山口市、阿東町、西部は長門市、美東町に接している。

○ 地形は、全体として東部の中国山地から北西部の日本海に向かう傾斜地で、南部市境界付近に標高700mを超える山々が連なっている。

○ 低地は少なく、阿武川河口部に形成された三角州にある市街地とその周辺地に見られ、丘陵地は、田万川地域から須佐地域にかけての臨海部に比較的なだらかに広がっている程度で、大半を山地が占めている。




出典:青山の講演パワーポイント


出典:萩・福栄水と命を守る会ちらしより


◆管理型産廃最終処分場の計画概要
  出典:議会の事例研修会用資料から

 以下は、産業廃棄物最終処分場設置計画を策定したコンサルタントが萩市に来庁した際に聴き取った計画概要。

  1 事業計画者

    東京都内に本社のある民間事業者

  2 事業計画の概要

   ・ 施設の種類

     産業廃棄物の安定型最終処分場

   ・ 施設の設置場所

     萩市黒川地内

     (地目:山林 地積:約165,000u)

   ・ 事業内容

敷地面積

約165,000u

埋立面積

約82,000u

埋立容積

約1,509,000?

     *東京ドームの約1.2倍

   ・ 埋立期間

     事業者の計画では約20年間

◆管理型最終処分場事業計画のこれまでの主な経緯
  
出典:議会の事例研修会用資料から

年月日 内容

1.8.

ゴルフ場建設計画を村に申し出

2.2.14

事業者と村とで「ゴルフ場の建設等に関する開発協定書」の締結

5.3.15

事業者と村とで「環境保全に関する協定書」の締結

11.19

事業者が「環境影響評価準備書」を県に提出

6. 4.22

事業者が「林地開発許可申請書」、「国有財産用途廃止申請」、「農地転用許可申請」を県に提出

     5.31

「環境影響評価準備書」に対する村が県に意見書の回答

     7.13

「環境影響評価準備書」に対する県が村に意見書の通知

 7. 1.13

「山口県森林審議会」の開催

     3.24

「林地開発許可申請書」、「国有財産用途廃止申請」、「農地転用許可申請」の許可

     3.30

「ゴルフ場の建設等に関する開発協定書の一部変更

 15.12.22

「産廃処分場」隣接地の額縁登記

 16. 4.20

コンサルタントが県にゴルフ場開発の一環として産業廃棄物最終処分場建設の協議

 16. 7.16

産業廃棄物最終処分場建設現地法人の設立

 16.11. 8

村が事業者に対して、ゴルフ場建設のその後について質問状の提出

16.11.25

事業者からの回答

16.12.20

村議会報告(産業廃棄物最終処分場の建設は受け入れない。)

17. 9.10

ゴルフ場用地の大部分が関連会社へ売却

18.12.14

萩市議会が産業廃棄物最終処分場建設反対の決議の実施

12.26

市民団体が萩市長に要望書・陳情書を提出

19. 1.19

市民団体が山口県知事に陳情書を提出

  6.4

市民団体が山口県知事に建設反対署名簿を提出

  7. 1

産廃処分場問題対策室の設置

   9. 7

産廃処分場建設問題調査特別委員会の設置



◆反対運動の盛り上がり

 このように、日本有数の希有な歴史文化を残す萩市に、こともあろうか産廃処分場が計画されたこともあり、萩市、阿武町あげての反対運動が巻き起こった。


出典:萩・福栄水と命を守る会会報第1号より


出典:萩・福栄水と命を守る会会報第2号より


出典:萩・福栄水と命を守る会会報第3号より


出典:萩・福栄水と命を守る会会報第4号より


つづく