真夏のスペイン Dragon by Gaudi 独立の機運に燃えるバルセロナ短訪 スペイン滞在中の個人線量 鷹取敦 掲載月日:2015年8月27日
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◆個人線量と周辺線量2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出され、広範囲の地域を汚染した放射性物質について関心が高まり、個人でも線量計を持つ人が増えました。線量計には、周辺線量(ある特定の地点のある高さに着目し、その点が周辺から受ける放射線量)を測るためのものと、個人線量(生活や仕事等で移動する個人に着目し、その個人が受ける放射線量)を測るためのもの等があります。 個人線量と周辺線量が分かれているのは、場所によって線量率(時間あたりの線量)が違うからです。屋内と屋外によって違います。また屋内でも建物によっては屋外より高い場合があったり、同じ建物の中でも部屋によって違う場合もあります。当然、屋外では場所によって変化します。 変化する要因は、原発事故のような汚染による汚染が場所によって均一でないこと、建物の壁面等の材質や厚さによって遮蔽の程度が違うこと、事故に起因しない自然起源の放射線の程度が場所によって異なること(地面の種類や覆土、舗装によって異なる)、コンクリートの建物の場合、骨材によって自然放射線の程度が異なること、石造りの建物の場合、花崗岩など放射線が多めのものがあること、など複雑です。 そこで、人が実際に外部からどれくらい放射線を受けているか(外部被ばく)測定するために個人線量計を用います。 ◆個人線量計以前は個人線量計といえば、たとえば一ヶ月分の被ばくを記録し、その合計(積算線量)1つしか分からないようなものが多かったのですが、最近はリアルタイムに積算線量を一定時間間隔ごとに自動的に記録するようなものがあります。筆者が個人的に所有している複数の個人線量計のうちの1つに、iPhoneにUSB経由で接続してデータを簡単にダウンロードしたり、GPSの座標と合わせて記録できるものがあります。チェルノブイリ原発事故以来の老舗(?)の放射線測定器メーカーとして定評のあるポリマスター社のPM1904です。 ◆ポリマスターPM1904(日本の代理店の紹介ページ) http://www.taroumaru.jp/main/pm1904/ iPhoneに接続したまま記録すると地点座標も一緒に記録できるのですが、それではiPhoneのバッテリーが持たないので、1時間に1回平均値(線量率)を自動的に記録する方法としました。 ◆スペイン滞在中の個人線量以下がその結果をグラフにしたものです。X線による手荷物検査と、航空機による上空の線量(宇宙線の影響を受けます)は正確に測れないので、その部分は除外してあります。ポリマスターPM1904で記録したものより鷹取敦が作成 東京都品川区の自宅やドバイ空港着内が0.03μSv/h程度、成田空港あたりが0.06μSv/h程度です。 バルセロナ市街が0.07μSv/h程度、セゴビアが0.12μSv/h程度と東京、成田より少し高めです。 バルセロナのホテルやマドリード市街は0.13μSv/h程度、マドリードのホテルは0.15μSv/h程度とさらに高くなっています。 東京とスペインの屋外の放射線量率の違いは地域差(地面からの自然放射線の違い)、スペインで屋外より屋内の方が高いのは、石造りの建物からの自然放射線によるものではないかと考えられます。 このように個人線量の時間毎の記録は、個人の行動の記録でもあります。福島県内等でもDシャトルという個人線量計で時間毎の個人線量を記録する取り組みがありますが、このようなデータはプライバシーに準ずるものと考えて慎重に扱う必要がありそうです。 ※線量率の数値は、自然放射線の寄与と同程度の範囲では、きちんと較正されたもの同士であっても線量計の機種によって大きく異なる場合があります。 |