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町田川の西側には大名小路、大手口、千代田町など武家屋敷の名残がある町並みが展開するとともに、東側には魚屋町、材木町、木綿町、大石町、米屋町、十人町など下町的な町名も続くと述べた。 さらに西側には京町、呉服町、刀町、高砂町など、これまた江戸時代からつづく歴史的な町名がつづく。 下は江戸時代末期の唐津城下町絵図の一部であるが、確かに八百屋町、米屋町、刀町などがあることがわかる。 唐津城下町絵図(一部) 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 そのひとつひとつに下のような解説があり、非常に興味深い。東京では郵便番号制度を創設した際に、地番を簡略化したり、古い地番を整理し近代的なものとして統合した。 たとえば、東京都港区六本木にも材木町という地番があった。現在、テレビ朝日がある場所だ。このように合理化により歴史的、文化的無形文化財がどんどん破壊されてゆくのは偲びないだけでなく、犯罪的ですらあると思う。 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 私はこの後、これらの地名を見ながら唐津城下町の旧市街を駅に向かって歩くのだが、旧市街地には古い地名だけでなく古い建築物も残っていた。 場所は唐津から呼子や名護屋に行くバスの大きな停留所(大手口センター)のすぐ裏にある地番は唐津市本町である。 ひときわ目立つ建築物に遭遇した。 その歴史的文化的な建築物は、旧唐津銀行本店の建物である。 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 実はこの煉瓦造りの歴史的建築物は、日本近代建築の祖といわれる辰野金吾氏(1854〜1919年)監修の明治の洋館「旧唐津銀行」(唐津市本町)であり、その保存整備工事が行われた。 何とその辰野金吾氏は唐津市出身であるという。 当初、「旧唐津銀行の保存整備の竣工は10月のオープン予定だったが、敷地内から見つかった唐津城三の丸の石垣の記録保存のために来年(2011年)3月末に延期されたとのことだ。 ところで、この旧唐津銀行は1912年(明治45年)のレンガ造りの地下1階、地上2階建ての建築で、延床面積は約900平方メートルである。辰野氏が監修し辰野の弟子、田中実が設計した。 唐津一帯は、先に松浦川河口の写真でも説明したが、明治時代石炭産業が隆盛し、そのひとつの象徴が旧唐津銀行とのことで、2002年、近代遺産として市重要文化財に指定された。 しかし、老朽化が激しく総事業費約8億7000万円をかけ保存整備が2008年度よりはじめられていた。保存工事は当時、清水建設が保管していた創建時の設計図や写真などを基にして、可能な限り当時の姿に戻したという。 銅板ぶきだった屋根は、粘板岩系の天然スレートとしたほか、内、外部の装飾金物も復元している。また1階の公衆室と営業室の仕切りカウンターには高さ1・3メートルの真ちゅう製の格子を設けている。壁に穴を空けて鉄筋を入れるなど耐震補強も行っている。 来年のオープン後は、1階を多目的スペースとして観光情報コーナーや休憩所とし、2階を辰野氏ら郷土出身建築家らに関連する展示コーナー、さらに地下は大正時代をイメージしたレストランにするという。 以下は、唐津市観光課発行の「よみがえる明治のロマン〜休暇辣銀行保存整備事業〜」より。 旧唐津銀行本店は、明治45年、1912年に建築された煉瓦造り地上2階、地下1階の建築物です。 設計、施工には唐津出身の明治時代を象徴する建築家、辰野金吾の弟子である田中実が携わりました。 建築様式はイギリスのクィーンアン様式を日本化した辰野式と呼ばれるもので、外壁は赤煉瓦調のタイルと白い石で化粧し、屋根の上に尖塔やドームを載せて王冠のように強調しているのが特徴です。 外壁の化粧材とされた褐色のタイルは明治の煉瓦からの移行を示す先駆的なものです。建築内部もデザイン性に優れた装飾が施されています。 石炭産業の興隆にかかわる経済活動の高揚を背景として建築されたこの建物は、唐津地区の近代化を示す歴史的遺産として市指定の文化財となっています。 唐津市本庁にある旧唐津銀行本店は、明治45年に建築され、後に佐賀銀行唐津支店として平成9年まで銀行として利用されました。 平成9年に佐賀銀行から唐津市に寄贈され、歴史的にも貴重なこの建物を保存、活用するため、昨年から改修工事を行っております。 旧唐津銀行本店の内部 下は唐津が生んだ秀逸な建築家たちのプルフィール。 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 旧唐津銀行本店から唐津駅はすぐ近くである。 JR唐津駅(筑肥線) 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 唐津駅内の小さなレストランで朝食をとる。 駅の南側に出ると、下の写真にある重厚な建築物があった。近寄ると唐津市の図書館であることがわかった。何とも立派な図書館である。 唐津市公立図書館 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 下は図書館入り口前に立つ彫像。 唐津市公立図書館 撮影:青山貞一 Nikon CoolPix S8 2010.9.11 つづく |