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歴史短訪、新羅の首都慶州 28

Histric short visit to Gyeongju, Hometown of Silla

蔵経板殿(八萬大蔵経)@

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
掲載月日:2015年8月30日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁
歴史短訪、新羅の首都慶州 2015.6.23-25
1 日程概要 8 石窟庵 15 仏国寺伽藍@ 22 海印寺の歴史 29 八万大蔵経A
2 新羅の古墳群 9 如来坐像 16 仏国寺伽藍A 23 海印寺の周辺 30 八万大蔵経B
3 皇帝パン 10 修復問題 17 境内風景 24 伽藍の概要 31 八万大蔵経C
4 雁鴨池@ 11 仏国寺概要 18 慶州で青磁 25 大寂光殿 32 釜山へ
5 雁鴨池A 12 仏国寺の門 19 海印寺へ 26 大毘慮殿 33 釜山臨海部@
6 雁鴨池B 13 仏国寺石橋 20 トレッキング 27 梵鐘閣 34 釜山臨海部A
7 雁鴨池C 14 多宝塔と釈迦塔 21 海印寺の門 28 八万大蔵経@

 下は今まで紹介してきた海印寺の伽藍であり、★印は詳細に紹介した伽藍です。その中で唯一紹介していない伽藍があります。それは地図の最も上にある印、蔵経板殿(八萬大蔵経)です。

 この蔵経板殿(八萬大蔵経)は、世界文化遺産であり同時に世界記録遺産でもあり、非常に貴重な歴史的遺産です。
 


海印寺境内の伽藍配置図 下側が入口  出典:海印寺パンフレットより

 下は上空から見た蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産)です。写真上側の中庭形式の伽藍が蔵経板殿です。蔵経板殿は手前にあります大寂光殿から急傾斜の階段を登って行きます。


蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産) DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24

 下が蔵経板殿です。中庭の両側に八万大蔵経の版木を保存する蔵経板殿があります。


蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産) DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24


 下はUNESCO(UNESCO)による世界遺産登録書です。


UNESCO(UNESCO)による世界遺産登録書
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24


 まずは、海印寺のパンフレットから蔵経板殿(八萬大蔵経)の概要について解説します。


◆蔵経板殿(八萬大蔵経)−世界文化遺産及び世界記録遺産

・蔵経板殿/国宝第52号、ユネスコ世界文化遺産


 まず大蔵経を奉っている建物を蔵経板殿と呼びます。蔵経板殿は修多羅殿、大蔵殿、東・西の寺刊殿の四棟からなっており、全体的には長方形のように配置されています。

 約八万枚の大蔵経板を保管している世界で最も古い大蔵経保管施設で、初めて建てた年代は不明ですが、記録によると1481年(成宗12)に建て直しを始め、1488年(成宗19)に完工したと伝えられています。

 保全技術と装置が科学的に設計された建物で、当代の科学精神をそのまま含んでいる15世紀朝鮮初期様式の世界唯一の大蔵経板保管用の建築物です。

 建物を西南向きに建てて直射日光が直接差し込まず、版殿内部の底は、塩・炭と石灰・砂の順で敷いていて、木材経板の保全維持に最も良い平均湿度を維持させて経板の変形が少ないことだけでなく、害虫の進入までも防止することができます。

 窓も大きさと形を違えて自然的に通風されるようにしており、経板の両端の角木(バットエンド)による空間から空気が流れるようにすることですべての経板が空気と接するようになっています。

 そのような自然の条件を利用して設計した合理的で科学的な処理が今まで完全に大蔵経板が保存されている重要な理由の一つです。建築技術が発達した現在としてもついていくことができない私たちの先祖の知恵と神秘の技術に感嘆させられます。蔵経板殿は1995年12月に世界文化遺産としてユネスコに登録されました。


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)の構造図
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)の構造図
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24



海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)の空気循環システム構造  DVDより
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24



蔵経板殿(八萬大蔵経)の空気循環システム構造 ベンチレーター
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24



蔵経板殿(八萬大蔵経)の湿度維持システム  DVDより
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8   2015-6-24


・八万大蔵経/国宝第32号、ユネスコ世界記録遺産

 これは大蔵経は経(キョン)・律(ユル)・論(ノン)の三蔵のことを言い、仏様のすべてのお言葉を体系的に集大成した仏教経典の総書を指します。

 海印寺に奉安されている大蔵経は高麗時代に刊行されたことで高麗大蔵経とも呼ばれ、枚数が81,350枚に達して8万4千法文を載せたことで八万大蔵経とも呼ばれています。

 高麗大蔵経は契丹とモンゴルの侵略に抵抗し、仏様の原力に頼って国難を克服しようとした高麗人の民族的な熱望で顕宗(ヒョンジョン)2年(1011年)から着手し、約240年間をかけて、完成した世界最初・最高・最古の木版本で、規模と内容、形式から見て当代の東アジア文明の結晶体と評価されています。

 高麗大蔵経は高宗(コジョン)23〜28年(1236〜1251)にかけて大蔵都監を設置して板刻することになりましたが、16年間81,350版(両面彫刻)、経の種類は1514種類で、それを本として構成すれば約6800冊にもなります。

 経板の1枚の大きさは横68cm、縦24.5cm、重さ約3.2kgの四角木版であり、長さの両端にはよじれないように角木を付け、四隅には金属又は鉄板で飾って板が互いにつかないようにして、全面には漆塗りを行っています。

 約5千2百万字の欧陽詢体の字はひたすら一定で美しくて、一つの文字も誤って書いたり落としたりしたことのない、完璧な保存状態によって東・西の寺刊殿の高麗刻板(国宝第206号:28種2,725板、宝物734号:26種110板)と一緒に2007年6月、世界記録遺産に登録されました。

 約800年間の多くの戦乱と火災にもかかわらず、禍を被らずに受け継いだ、私たちの先祖が守ってきた偉大な文化遺産を今の私たちが子孫に譲り渡すことが出来るように、大切に保管しなければならないことが私たちの役割であります。


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)の内部   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24



海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産)の内部   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24



海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界遺産) 版木彫刻師   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24




海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産)の版木彫刻   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産)の版木彫刻   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産)の版木   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24


海印寺の境内 蔵経板殿(八萬大蔵経)(世界記録遺産)の版木   DVDより
撮影:池田こみち Nikon Coolpix S6400  2015-6-24



つづく