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シルクロードの今を征く

Now on the Silk Road 中国歴史・文化概説

 ソグド (人)(文化2)

青山貞一 Teiichi Aoyama  池田こみち Komichi Ikeda 共編
掲載月日:2015年1月22日 更新:2019年4月~6月 更新:2020年4月1日
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本中国の歴史と文化の解説は、Wikipedia(日本語版、英語版)それに中国の百度百科を日本語に訳して使用しています。また写真は現地撮影以外に百度百科、Wikimedlia Commonsを使用しています。その他の引用に際しては、その都度引用名を記しています

 この部分は参考情報です。必要に応じてごらんください!

ソグド(人) 文化2

芸能


伎楽面の酔胡従、出典:東京国立博物館
Source:Wikimedia Commons
HIkarimura - 美術選集、美術選集刊行会、光村美術出版蔵版、昭和2-4年, パブリック・ドメイン, リンクによる


 唐初期の長安では、社会的地位の高いソグド人によってソグド文化が宮廷にも流入し、服装や楽器、胡旋舞などの踊りが流行しました。

 法隆寺や東大寺に現存する伎楽の面で酔胡王と酔胡従は、ソグド人をモデルにしています。

ソグド人の商品

中世に描かれたソグド人の商人

 ソグド人の遠距離交易では、一つの商品を遠くへ運ぶことは少なかったと言えます。各地の同族と近距離の商品の取り引きを多数行ない、利ざやを稼ぎながら移動しました。近距離の取り引きが積み重なった結果として、さまざまな商品が広域に流通して行きました。

 唐などに向けた朝貢の貿易においては、貢物の遠距離運搬が行われました。ソグド人が売買する商品は、以下のようであり、主に扱われたのは奢侈品(しゃしひん)でした。

 ・絹製品:シルクロードという名の通り、絹馬貿易によってウイグルに備蓄された絹製品(馬価絹:ばかけん)など 
 ・家畜:馬、ラクダ
 ・奴隷
 ・香薬類:麝香・沈香・檀香・鬱金根・砂・樟脳・胡椒・大黄・肉桂
 ・貴金属:金・銀・銅貨・金銀器
 ・貴石類:玉(ぎょく)・真珠・瑪瑙・珊瑚・琥珀
 ・そのほか:ワイン・鉄製品・陶磁器・ガラス製品・絨毯

 ソグド語古代書簡によれば、4世紀頃にソグド人が扱っていた商品は奢侈品が中心で、ワイン、麝香、金、麻の服(諸説ある)、毛織物、胡椒、銀、樟脳などが記録されています。

 西からは金と銀を輸入し、胡椒、銀、ワインなどを輸出していた。610年代から620年代のアスターナ古墓群で出土した文書によれば、ソグディアナから1500キロメートル以上離れたトゥルファン(高昌)のような地域でも、ソグド人が交易を独占していたことが分かります。

 商品は絹、金銀、香料、ウコン、鍮石、薬草、塩化アンモニウムなどであり、絹のほかは西方の商品でした。税はササン朝の銀貨で集められ、中国の銅貨(銅銭)は使われなかったのです。

 712年のサマルカンドの記録によると、奴隷1人は200ディルハム、大きな服(おそらく絹製)は100ディルハム、小さな服は60ディルハム、絹1枚は28ディルハム。750年頃の敦煌では生絹一枚は銅貨(銅銭)460枚、銀貨1枚は銅貨32枚でした。9世紀以降にソグド商人の活動は次第に衰退し、奴隷と麝香が最後の重要な商品となってゆきました。



 突厥は馬の交易を行い、6世紀から8世紀にかけて中国は軍馬を輸入しました。唐は隋の時代にはなかった大規模な騎兵隊を編成しました。馬の飼育に適した地域としてオルドスも有名であり、馬丁や馬交易の商人としてオルドスに移住したテュルク系のソグド人もいました。727年には馬交易を行うための互市がオルドスに設けられました。

奴隷

 馬やラクダと並ぶ高額商品が奴隷でした。戦争や犯罪などによって国内外から捕らえられた奴隷は、付加価値を高めるため外国語や礼儀作法、歌舞音曲その他の技芸を教え込まれ、商品としての教育を施された上で売られました。

 10世紀の状況について地理学者のイブン・ハウカル(英語版)は「サーマーン朝統治下のサマルカンドはマー・ワラー・アンナフル中の奴隷の集まる所であり、しかもサマルカンドで教育を受けた奴隷が最良である」と記しています。奴隷交易は10世紀以降も重要であり続け、サーマーン朝は奴隷交易に高い関税をかけて利益を得ました。これら奴隷貿易では契約文書が用いられており、近年になって多数発見されています。

香料・香木

 香料や香木が東ユーラシアに流通するのは紀元1世紀頃からであり、ソグド人の東方進出と同時期にあたります。同じく時期に伝来した仏教の儀礼において香料は重要であり、仏教の普及が影響したとされます。香料の中でも価格の高いものが麝香でした。麝香のほかでは、沈香・鬱金花・白檀・丁香が高かったのです。

 ソグド語古代書簡によれば、麝香はソグド人の商品でした。麝香は重量と値段のコストが良いために遠距離交易に適していました。麝香が採れるジャコウジカはソグディアナに生息していなかったので、ソグド人は市場で仕入れていたと推測されます。

 歴史学者・地理学者のヤアクービーによれば、カリフの宮廷では最高級はチベットの麝香、次がソグドの麝香、その次が中国の麝香であり、ソグドの麝香はホラーサーンの商人がチベットで買ったものとされています。イブン・ハウカルの記録では10世紀でもソグドの麝香が取り引きされており、アブー・ザイド(英語版)はソグド商人が持っていた麝香について書いています。

 ソグディアナからチベットをつなぐ麝香のルートは12世紀まで記録があり、サマルカンドは麝香交易を主導していました。ソグド人にとって麝香は主に西アジア方面に送る商品であり、陸路と海路で運びました。

金銀器・琥珀


ソグド製の銀食器。ササン朝の影響を受けている。7世紀から8世紀
Source: Wikimedia Commns
I, Sailko, CC 表示-継承 3.0, リンクによる



ソグド人の銀製ワインカップ。水銀アマルガムの金メッキが施されている。7世紀
Source: Wikimedia Commns
Daderot - 投稿者自身による作品, CC0, リンクによる


 中央アジアやイランで作られた金銀製品にはソグド産もあり、ササン朝製の金銀器にはソグドやホラズムの銘文があります。

 9世紀〜10世紀には、ソグディアナとホラズムでバルト海の琥珀が流通しており、サマルカンドやパンジケントの神殿や、奈良の正倉院の宝物にある琥珀はソグド人の交易でもたらされたとされます。


ソグド・文化3
つづく